「好き嫌いの判断を決めにくい作品」エミリア・ペレス K2さんの映画レビュー(感想・評価)
好き嫌いの判断を決めにくい作品
ミュージカル、多様性、トランスジェンダー、幸福追求権、クライムサスペンス、法廷闘争、善と悪、愛憎劇、因果応報...いろんな要素がてんこ盛り
作品の良し悪しどころか、自分自身の好き嫌いすら決めかねる、シンプルなストーリーながら色々難解で、複雑怪奇な映画です
(感想が整理できなくて、レビューを書き始めるまでに時間かかった〜)
かなり無理のあるトンデモ設定+ご都合主義の強引なストーリー展開もありつつ、しかし、登場人物の心の動きや葛藤などを丹念に描いているようでもあり。おまけにクオリティが高いんだか低いんだかよく分からない、バラツキの大きいミュージカル仕立て、と、かなり好みが分かれる映画でしょうね。ワタシはトータル好きですけど (トータルね。嫌いなところもいくつもあるけど)
一時はアカデミー賞を総なめか?みたいな様子もありましたが、正直そこまでか?という気もします。AnoraはAnoraで、確かに作品賞これで大丈夫?という気もしましたが、本作を見た後では、コレよりは相応しいのかな、というのが正直な感想です
主人公のエミリアは、悪人だったり善人だったり、色々な表情を見せますが、結局、かなりワガママな究極自己中人間なので、殆ど共感はできません。しかしそれがなければ、この複雑怪奇な世界、物語自体が生まれない訳で...
一つ感じたのは、スペイン語のミュージカル映画は好きにはなれない、ということ。情報が多すぎる。絵と音の調和が取れていないというか...。
音楽と、意味が殆ど分からず決して流暢とも言えないスペイン語の"音"と、字幕で目から入ってくる日本語の歌詞(の意味)と、結構バタつきのあるダンスと、登場人物の表情や演技など、多くの情報が一気に入ってきて、脳ミソの情報処理が追いつかない。結果、ミュージカルシーンを一つの芸術として全く楽しめないのでした
そのへんを加味して、マイナス1点でした