傲慢と善良のレビュー・感想・評価
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タイトルなし
かつて、ぶりっ子なんて言葉が大流行りしました。 女子トイレと男子の前では、ガラリと態度が変わる女。 松田聖子さんの事です。 デビュー当時の聖子さんは、男子からは大人気でしたが、女子からは総スカンを食らっていました。 しかし、すぐに女子からも絶大な支持を得ます。 素顔はさっぱりした人だと見抜かれたからです。 奈緒さんは若い頃の富田靖子さんに似てるので、この映画のぶりっ子ヒロインは、サイコパス化して性悪女どもを血祭りにあげるんだろうな、と思いながら観ていましたが、真っ当なラブストーリーでした。 奈緒さんは前半のぶりっ子と、後半の自然体を上手く演じ分けていたと思います。 が、この程度の変化では、藤ヶ谷くんファンから、やっぱこの女ぶりっ子じゃね?と、裕木奈江さんのような理不尽なバッシングを受けないか、心配になってしまいます。 松田聖子さんのように男を取っ替え引っ替えする女傑や、富田靖子さんが出ると期待してしまうサイコさんにまでならなくとも、「疑惑」の岩下志麻先生のように「あんた、最低ね~」なんて言いながら、桜庭ちゃんの顔面にワインぶっかけるぐらいの豹変ぶりは観たかったです。
面白かったです
まずは主演のお二人が良かった。特に藤ヶ谷さん、あまり期待してなかったのですがとても良かった。奈緒さんは安定の実力で安心して感情移入できた。
他のキャストも皆さん絶妙な嫌らしさを違和感なく表現されていてドラマに深みが出ていた。
また撮影がとても良くて構図や色調も絶妙だった。
一方で音楽はジャンルが異なれば良い音楽なのだと思うが、サスペンス的な不穏な曲調だったのでやや違和感があった。
最後に脚本の妙というか、原作既読だが最後こんな話だったかな、と確認したらやはり筋としては違う展開だったが、直球のハッピーエンドで映画版の方が好みだった。
いまいち踏み切れない恋愛をしているお二人の背中を押してくれそうな作品でデートムービーにはよろしいかと。
傲慢さも善良さも
原作を読んで、ここに描かれた人間の心の闇のような部分をどう映画化するのだろう?と思って鑑賞。
映画は小説よりも素直な人物像。
それはそれで別のものとして見れば、とても良いお話。
結婚相談所の夫人も小説では謎めいたヒントをくれる人だったけれど、映画では答えを出してしまっている気がする。架は自分の傲慢さも社会的な立場に固執していたこともあっさり認める。真実を取り巻いていた母親や田舎独特の重苦しい空気は真実自身がさっと切り捨てたようにみえる。
一つ気になったのは、真美が自分のついた嘘のことを、子供じみた嘘と言ったこと。あれは当時の真美にとっては人生をかけて必死についた嘘。振り返って、あの頃は子供じみていたと心境が変わるには日が浅すぎる気がする。達観、成長したという印象を持たせるための台詞?
小説の持つ沼のようなおどろおどろしさが映画では薄れ、婚活を通して自分を見つめ直した若い二人のラブストーリーになった。
それはそれで良い。
しかし毒親育ちのアダルトチルドレン気味の主人公、ほんとに多いなー!
奈緒さんの演技よかった
予告で気になってたので鑑賞!
仕事も恋愛も順調だった架だったが長年つきあった彼女にフラれ、マッチングアプリで婚活を始める
そこで出会った控えめで気の利く真実と付き合い始めるが1年たっても結婚に踏み切れずにいた
しかし、真実からストーカーの存在を告白された直後、「架くん、助けて!」と恐怖に怯えた着信を受ける
彼女を守らなければとようやく婚約したが、真実が突然姿を消した
両親、友人、同僚、過去の恋人を訪ね居場所を探すうちに、架は知りたくなかった彼女の過去と嘘を知るのだった―
というのがあらすじ!
観終わったあとにこれはミステリー?
と疑問に思っちゃいました笑
ストーカーのところは警察に通報してほしくないと言った時点で嘘だなって思っちゃいました…
それに架の女友達が酔ってたからという理由だけで酷すぎる…笑
でもそのおかげで2人はちゃんと向き合えたわけでよかったと言うべきですかね…
いろいろとグサグサと刺さる言葉が多かったですね
結婚できてる人は自分がほしいものがちゃんとわかってる人
確かにそう思いましたし自分は全然わかってないなと思っちゃいました笑
それに自分も傲慢なんだなと思い知らされました…
観てて思ったんですけど奈緒さんの演技はやっぱりいいなと思いたした!
あと個人的になんですけどドライブを断るシーンでめちゃくちゃヤギがいい演技してたと思いました!笑
原作は読んでないんですけど楽しめました!
それに原作を読んでみたくなりました😊
面白い映画をありがとうございました!
内に秘めた気持ちを巡る
他人事とは思えないようにリアルな内面に抱えた葛藤や悩みを、失踪した彼女のエピソードを辿りながら自分自身と彼女と向き合っていく物語。
飲み屋のよしのさんの話を聞く態度が、啓蒙的に上から目線に高説を垂れるでなく、否定も肯定もしないで向き合って真実の話に耳を傾けているのが印象的。
また、耕太郎の不器用な態度と真実のことを知りたいながらも多くを聞かないで側にいてくれることや、真実を送り出す際の哀愁漂う姿にむしろ心を打たれた。
人の欲望
婚活アプリで知り合った架と真美。
だが、お互いの本心と欲望のズレが
次第に生じる。
自分の価値観やプライドを持っても良い。
ただ、人を見下したり嘘をついて高望み
してては自分をさらけ出す事は到底無理。
70点でも70%でも、聞く方も失礼出し、答える
方も嫌な気分になりうる時もある。
ただ、目の前の人をきちっと見てたら
はっきり言えるのでは。
好きな人が存在するなら、良い所も悪い所も
良く観て欲しい。
結婚に対して打算と計算。期待と裏切り
に人の欲望という悪魔が降り注ぐ
人間性を垣間見た。
真実はしんじつとも読むし、皮肉だなぁ。
良い作品だが、冒頭の画のブレが気になった
原作の小説を読んでいて、映画化されるということで楽しみにしていました。
といっても内容の細かいところはもう忘れていました。
小説を読んだ記憶では、架が真実の本当や過去を辿って知るくだりなどにスリルやミステリーっぽさがあったと思いますが、映画ではそんな感じがなく、主に真実が田舎で働く姿や、二人がよりを戻すところが多く描かれている感じで、ほのぼのとした生き方や恋愛を描いた映画という印象でした。
それはそれで後味良かったです。
冒頭のカフェでの婚活やホームパーティーのシーンの画がぶれていて、自分がめまいでもしているのかと心配になりました。
あれはわざとなのでしょうか?
そのほかのレストランや飲み屋のシーンでは固定されていたし、ホームパーティーは賑やかで動きがある設定だからいいかもしれませんが、カフェのシーンで手ぶれのような画は必要なのか?と思いました。
主演の奈緒さんは、私が前回観たのは「先生の白い嘘」のセンセーショナルな役でしたが、テレビドラマも含めて色々な作品で色々な役をしていて大活躍で素晴らしいです。
若者たちの葛藤、そして共感の壁
普段はあまりこういったタイプの映画は観ないのですが、話題になっていたので見に行ってきました。 奈緒さんが演じる坂庭真実の行動や感情の描写に共感できず、むしろ苛立ちを覚えました。若さゆえの葛藤や駆け引きであることは理解できるものの、彼女の振る舞いに感情移入するのは難しかったです。恋愛の中で人間の複雑な心の動きが描かれているはずなのに、その描写が浅く感じられました。 物語が進む中で、藤ヶ谷太輔さん演じる西澤架との復縁がクライマックスとして描かれますが、終盤にかけて急ぎすぎた印象があり、感情の積み重ねが足りず、復縁の瞬間にさえも共感することができませんでした。特に、駅のホームで二人が再会するシーンはあまりにも予想通りで、新鮮さがなく、退屈さが残りました。
僕は奈緒さんのファンなので100%藤ヶ谷がワルイ(^^)
架が真実に誕生日プレゼントを渡す場面。架が指輪ケースを取り出す。ここで僕は(きっと真実も)、ケースの中身は当然、婚約指輪だろうと予想した。
ところが出てきたのは婚約指輪じゃなかった。
「えっ、婚約指輪じゃないの」 ( ゚д゚)
おいおい藤ヶ谷、オマエ学習能力ないのか?4年付き合って振られた元カノは、アータが結婚しないから別れたんだぞ。 元カノが、私にとっては ”まだ27” じゃなくて、 ”もう27” って言ってのを忘れたのか?
奈緒ちゃんとは知り合って1年とはいえ、婚活アプリで知り合ったんだぞ、婚活アプリで。
真実にとっては、 ”まだ1年” じゃなくて、”もう1年” なんだヨォ~。
僕には映画館中になり響いた真実の心の雄叫びが聞こえた (^^)
「え゙~、婚約指輪じゃないのぉ~、オ゙レ゙がホントに欲しいのは、婚約指輪なんですけどぉ、コ·ン゙·ヤ゙·ク·ユ゙·ビ···ヷ~~↗️」
それから、架が結婚したい率を聞かれて70%と答えた時、ワシはあまりの驚きに鑑賞中に心の中で大声で叫んでしまったぞ。
「な、70パーセントだとぉ~、200パーセントと即答せんかい。 100歩ゆずって120%じゃ。ましてや70%なんて0%と変わらんわい。何を考えてるんじゃ架」
というわけで、ワルいのは100%藤ヶ谷であるという結論に達したのでした。
あと、ちょっとドキドキしてしまったのが、真実とボランティアのリーダー耕太郎がミカン畑にすわっておにぎり食べる場面。
リーダーが、ためらいがちに真実をドライブに誘う。
耕太郎も真実も、そしてワシも少しドキドキしたぞ。大人でもこんなときは中高生と一緒じゃ。
最後は奈緒ちゃんと藤ヶ谷のヨリが戻ってハッピーエンドなんだけど、耕太郎が振られてしまって、ちと可哀想に思ったヨ。
1妻多夫制とか多妻多夫制が有ればいいんだけどネ。まあ、そんなことになったら桜坂ママ(宮崎美子さん)が卒倒してしまうに違いない。
そして真実は桜坂ママに「うちの敷居は2度とまたぐな」と言われてしまうだろう。
以上、「傲慢と純情」というタイトルに込められた原作者と映画制作者の想いには全く言及しない単なるラブストーリーの感想でした(^^)
とにかく奈緒がいい
原作は未読で鑑賞。
タイトルから想像してたのとは違っていた。
最初,男の傲慢と女性の善良を題材にしてるのかと思いながら観ていたけれど、もっと深い意味があった。
婚活アプリで知り合った2人,結婚を意識して会っているが踏み込めない。そして事件が起き彼女が消えてしまう。
最初に登場する奈緒の可愛らしさ、結婚に焦るあまりついてしまったウソに苦しみ、不器用ながら毒親から独り立ちしていく。そして再会するまでの彼女の変化にのめり込んでしまった。
どちらも傲慢であり善良なのかもしれない。今時の婚活について語る前田美波里の婚活を成功させるのは,自分に必要な物をわかってる子だという言葉が妙に心に残った。
う〜ん
友達は選びましょう…かな。
つかあんなん、さすがにおらんやろ。
裏で言うやつはいるだろうけど、架にも真実にも本人前にして(笑)
あと最後に本音を言いあった?
あの…駆けずり回ってる、自分に社長の器なのか?みたいなのが弱音を吐いたカッコ悪い自分ってこと?
いや〜ないわ〜っと思ったかな。
正直予告とか見てゴーン・ガールみたいなの想像してしまってた自分が悪かった。
つうかスワローズ帽の青年かわいそうやな。
東京でどんな失敗したんやろ?原作には書いてあるんかな?
恋愛ドラマとか好きな人にはええんかな。
自分は正直イマイチでした。
傲慢ではなく、善良でもなく
たくさん読まれた作品が原作ということでチョイス。眼を見張るようなストーリー展開はありませんでしたが、あるいはそのせいか、登場人物たちのセリフには色々と考えさせられました。 対する相手の本当のところなんて分からないし、さらに自分の今の感情すらみえないこともあります。それをサポートしてくれるのは、やっぱり周りの誰かなんですよね。 ときに邪魔する声もありましたが、小野寺さんやよしのさんといった年長者の言葉が二人に、そして私にも気付きを与えていました。特によしのさんの「カッコ悪く見えたってことは…」なんてズルい一言でしたよね。 良く思われたいと思う相手であればあるほど、男はどうしたってカッコつけてしまいます(女性も同じなんでしょうか)、それが相手が望む望まないにかかわらず。その点は大多数のペアで同じはずなのにたどる道はそれぞれ。それを左右するものを「妥協」なんて言葉を聞くこともありますが、それを「ビジョン」と表現されたところも目が覚める思いでした。 人との出会いに恵まれた二人が、それをもとにビジョンを身につけていく、そんな二人の成長を見るストーリーにも思えました。終盤に彼が元カノに対して発した言葉も、そんな変化を象徴していたようでした。 彼に対しては私も「嘘ついてまで一緒にいたいと思ってもらえてたんじゃない」って声かけてあげたかったなー。
良い作品です
久々の良いお話でした 原作は読んだことは無いですが、人の内面を表現していて見所の有る作品でした 色々人に当てはまる事で、日常会話のえぐい部分を見せられた映画でした 最後は話を詰めこみ過ぎたのが、ちょっと残念でした
お互いの素の部分の良いも悪いも尊重し合えるわかりあえる人が運命の人
この映画🎞のタイトルが「傲慢と善良」ですが。。。 要点は、映画では架が傲慢な性格、真実が善良な性格ですが 要は、カップルが、お互いの素の部分を見せる事が出来て、尚且つ、良い所、悪い所、イヤその人の個性をも好きになれる人が愛する人、運命の人だ❗️❗️❗️と気づかせてくれる映画🎞でした🥹感動✨ 藤ヶ谷さんは、傲慢な性格、奈緒さんは善良だけど訳ありな性格なヒロインを見事に演じてます。
「予告と違う好き」
今年235本目。 予告何回か助けてから失踪。そう言う映画なのかなあと全く違ったので好き。「Cloud クラウド」も予告と離れていてそのような作品が脳が驚きもあってお気に入り。藤ヶ谷太輔さんは昨年1月「そして僕は途方に暮れる」が非常に良くて俳優の力を存分に味わって、奈緒さんは「あなたの番です」など数々出てますね。途中がややゆっくりな所がありましたが最後が本当にいい。
結婚できない人間を血みどろにしてくる
前田美波里がすっごい刺してくる…
もうやめて……もう…
的確すぎる正論は人を傷つけます………
親とか先生からの評価は「良い子」で、躾がなっていて上品で最低限のマナーが身に付いていて、そういう子が実は…、という部分はさほど意外性もなく「あーいるいるそんな子~何なら私~~」程度なので、あらすじで読んだ時に期待してた実は殺人鬼的なサスペンスはありませんでした。私の期待の仕方がおかしいだけではある。
割と最後の方のヒロインの言い分勝手すぎるだろという思いはありますが、今まで周りの大人の期待に応えて成長しちゃった子供が、初めて自分勝手になった・一人の女性として男性に向き合ったという風に考えればそんなもんかなと思います。
ほんでお前ら超お似合いだよ。おめでとうな。
余談ですが、
女友達がクソすぎる。何であんなのと友達してんだよ💢
という方が多いと思うのですが、ほら、ヒーローがね、無邪気で世間知らずでお人好しって言われてて、実際最後までそうだったでしょ?
すごい性格悪い人はね、一般的なちょっと性格悪い人から敬遠されてしまうからね、すっごい良い人しか友達してくれないんですよ。
だから彼女たちには同じくらい性格悪いお互いみたいな友達か、主人公みたいなコイツら性格悪いって気付けないお人好しみたいな友達しかいないんです。そして後者の幸せをぶっ潰していくのね。
私にはリアルに感じました。
切りなね、その友達。何なら刺しても良いよ世間のために。
大変面白く観ました!
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと大変面白く観ました!
今作の映画『傲慢と善良』は、映画の中盤で示された、小野里(前田美波里さん)による、今の婚活の人達は「自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強い」「傲慢と善良」です、という言葉が、観客に突き刺さったと思われます。
この小野里による、「傲慢と善良」という映画のタイトルにもなっている言葉によって、西澤架(藤ヶ谷太輔さん)の婚約者であった坂庭真実(奈緒さん)がなぜ失踪したのかの理由以上に、観客は「傲慢と善良」の意味を考え続けたと思われます。
結論としては、美奈子(桜庭ななみさん)らに、真実がストーカーの被害を受けていたことは嘘だと暴かれ、その上で(本当は結婚したい気持ちが70%であって、真実の点数を言ったわけではないのですが)架は真実を「70点の評価」だと伝えられ、その事がショックで真実は架の前から失踪したのだと明らかになります。
ところが、真実に対して美奈子らが言い放った「ストーカーの嘘」の暴きや「70点の評価」の言葉は、真実の失踪のトリガーに過ぎず、真実の架からの失踪の理由は、真実の母・坂庭陽子(宮崎美子さん)の毒親の言動による抑圧が要因だったと、映画を通して分かることになります。
(西澤架と婚約した)坂庭真実は、毒親である母・坂庭陽子から自身の本音やエゴを抑圧され、「善良」な振る舞いをずっと強いられて来ました。
すると、(真実が、過去に婚活で知り合った男性と遊園地に行った時に再開した)同級生や、美奈子らは、真実の「善良」さを嫌悪することになります。
なぜなら、母から強いられた真実の「善良」さは、同級生や美奈子らのエゴ(「傲慢」さ)を否定する作用を働かせることになるからです。
そして美奈子らに、真実の偽りのストーカー被害は、(「善良」の抑圧で歪んだ)真実の「傲慢」さ(エゴ)の現われだと、暴き立てられるのです。
ここで美奈子らは、一見、真実の「傲慢」さ(エゴ)を批判しているようですが、実は、美奈子らが真実に言いたいことは逆で、「傲慢」さ(エゴ)を「善良」で隠している、その「善良」の方の問題を批判しているのです。
つまり美奈子らが言いたい本心は、真実は初めから自分たちと同じように(「善良」さをある程度辞め)「傲慢」さをきちんと日頃から表現し、それで傷つく時は傷つく必要がある、だったと思われるのです。
ところが、真実は美奈子らの「善良」の問題の指摘をこの時、受け入れることは出来ません。
なぜなら、真実が自身の「善良」さを辞めて、「傲慢」さ(エゴ)を表に出すことは、母・坂庭陽子から幼少の時から禁じられて来たからです。
真実はこうして、自身の「傲慢」さ(エゴ)を母に否定されまま、身につけた「善良」さも美奈子らに否定され、助けを求めるはずの架には「70点」と評価され母に否定され続けたために本心(「傲慢」さ)の問い掛けも架に出来ないままで、心の行き場を無くして、婚約者・架の前から失踪せざるを得なくなります。
そして真実が向かった先は「善良」さが深く肯定される、高橋耕太郎(倉悠貴さん)や、よしの(西田尚美さん)らがいる、東北のボランティアの現場でした。
映画はその後のラストで、真実と架との再会で、真実と架が互いに必要な存在であったことを再認識し、再び一緒になることを選択して物語は閉じられます。
私はこの映画のラストが、本当に美しい着地だったと思われました。
なぜなら、このラストは、真実が母に持たされてしまった「善良」さも、母に抑圧されている「傲慢」さも、どちらも持っていて良いのだと肯定していると感じられたからです。
架もまた、元恋人の三井亜優子(森カンナさん)を引きずり「傲慢」的に多くの婚約アプリで知り合った相手を軽視しながら、しかし全体としては他者に対して丁寧で「善良」な人物であったと思われます。
そして、映画ラストの架と真実との再びの関係のスタートが美しく思われたのは、架を演じた藤ヶ谷太輔さんも、真実を演じた奈緒さんも、「善良」と「傲慢」との双方に広く深く複雑に触れながら演じ続けていたからだとも思われました。
この映画は、毒親によって「傲慢」さを抑圧され作られた「善良」さの正体を明らかにしようとしています。
そして、この「善良」さは、毒親による抑圧だけでなく、日本社会全体の抑圧によるものだとも示唆され、日本人の多くも持ち合わせている「善良」さだとも思われました。
私個人が(真実を責め立てる)美奈子らに対して嫌悪感を持ったのも、この日本社会の抑圧で強いられている「善良」さが、良くも悪くも影響しているように感じました。
しかし一方で、一見嫌な存在でしかないと思われる、美奈子らや遊園地での真実の同級生が、私には一方的な嫌な存在とまでは思われませんでした。
なぜなら、美奈子を演じた桜庭ななみさんらもまた、こちらの嫌悪感を超えて深さある演じ方をしていたと思われるからです。
これらの俳優陣のそれぞれ深みある演技の素晴らしさは、優れた俳優の皆さんの力もあると思われながら、萩原健太郎 監督の手腕もあるのではないかと想像します。
ただ惜しむらくは、もっと美奈子らの心情が深く真実と対峙されて描かれる脚本構造になっていれば、もっと多くの人にこの作品の伝えたい中心が伝わったのではないかとも一方で思われました。
なので、「傲慢と善良」の言葉の意味は?と、観客側が映画を通じて積極的に考え続けなければ、美奈子らの本心も、対峙する真実の心の深層も、理解しないまま映画を鑑賞し終わった観客も少なくなかったのではと、推察します。
(真実に対峙する)美奈子らの心情はもう少し深く描く構成に出来たのではないかと、僭越ながら今回の点数になりました。
しかしながら今作の映画『傲慢と善良』は、「傲慢」と「善良」とをそれぞれ共に広く最後には肯定した作品になっていると感じられ、やはり優れた美しい映画の1本だなと、僭越ながら思われました。
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