「「傲慢」というよりも「優柔不断」、「善良」というよりも「現実逃避」」傲慢と善良 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「傲慢」というよりも「優柔不断」、「善良」というよりも「現実逃避」
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ストーカーされていたらしい婚約者が突然姿を消すという、序盤のミステリアスな展開には引き込まれる。
ここから、「それまでの認識を覆すような彼女の正体が明らかになる」みたいな話になるのかと思っていたら、比較的早い時期に、彼女が被災地でボランティア活動をしている様子が映し出されて、「これはミステリーではない」ということが分かってくる。
何を考えているのか分からないような藤ヶ谷太輔が、結婚に対するビジョンもないまま、漫然と婚活を続けている主人公のキャラクターにハマっているが、必ずしも、それが「傲慢」だとは思えない。
むしろ、婚約者が失踪した遠因ともなった彼の煮えきらない態度は、「優柔不断」と形容するのが適当なのではないだろうか?
一方の、奈緒が演じる婚約者が失踪したのは、自分がついた嘘に耐えきれなかったからだろうが、それは、「善良」だからというよりも、羞恥心からくる「現実逃避」なのではないだろうか?
いずれにしても、これは、婚活の結果、妥協して結婚しようとしていた男と、条件や見た目で結婚しようとしていた女が、一度距離を置いてみて、相手に対する本当の自分の気持ちに気付くという物語なのだろう。
そうなると、ストーカー騒ぎとか、失踪事件とかは、一体何だったんだろうという気がしないでもないが、「近頃の若者は、人から言われないと、自分が恋愛していることにも気付かない」という台詞によって、「そういうことなのか」と納得することもできた。
ただ、近頃の若者が、本当に、騒ぎや事件がないと自分の恋愛感情に気付けないのであれば、それは、とても厄介で面倒なことであるに違いなく、その点については、あまり共感することができなかった。
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