「【”傲慢と偏見と善良。”カッコ悪く見えるのは、それだけ好きって事!””今作は、様々な事情で恋愛に臆病になっていた純朴な心を持つ男女の恋愛を描いた”恋って何だろう。”と考えさせられる物語である。】」傲慢と善良 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”傲慢と偏見と善良。”カッコ悪く見えるのは、それだけ好きって事!””今作は、様々な事情で恋愛に臆病になっていた純朴な心を持つ男女の恋愛を描いた”恋って何だろう。”と考えさせられる物語である。】
ー 今作は、マッチングアプリを通じて恋に落ちたカケル(藤ヶ谷大輔)と、マミ(奈緒)のラブストーリーであり、”恋愛って何だろう”と考えさせられるヒューマンドラマである。ー
■カケルは、マッチングアプリを通じて出会ったマミと恋に落ちる。だが、一年経っても前の彼女が忘れられないのか、マミに対して誕生日プレゼントでネックレスは贈っても、婚約指輪は贈れない。
だが、マミがストーカーに付き纏われている事を知り、意を決してプロポーズをするが、マミは突如、姿を消す。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・映画内でも触れられているがジェイン・オースティンの「高慢と偏見」は相当にメンドクサイ男女の恋を描いた恋愛小説の逸品である。
故に、今作の原作の題名が大変に秀逸だと思ったモノである。勿論内容も。
・今作では保守的で過干渉な母(宮崎美子)が、今の時代には合わない結婚観を持つ代表人物として描かれているが、実はこのような結婚観を持つ人って、今でも多いのではないかなと思いながら鑑賞してしまったな。
彼女は、今作に登場する人物の中でも、一番”傲慢”な人ではないかな。
何より、娘のマミの十代までの人生及びその後の人格形成に多大なる影響を及ぼしてしまったのであるから。
・あとは、地ビールの開発と商売に成功したカケルやマミに”心配して”色々とアドバイスをするカケルの女友だちと姉(桜庭ななみ&菊池亜希子)も、”自覚薄き傲慢”な人だと思ったな。
二人が、幸せの絶頂にあったマミに対して彼女が行った狂言を見抜き、直接的に言った事でマミは自分の行いを恥じて、東京を離れ地方都市でボランティアをする決意をしたのだからね。
・カケルとマミも、劇中のお見合い斡旋者の女性(前田美波里)が言っていたように、基本的にはとても善良なのだけれども、”無自覚な傲慢”な人でもあったのかもしれないね。
それにしても、あの女性の、恋愛観を高い視点で笑顔で語る姿とその言葉の数々には、思わず唸らされたなあ。
”今の人は、皆、善良なんだけれども、何処かに傲慢さを持っているのよ。”
■個人的には、今作で一番善良な人は、マミがボランティアに参加した時に、ぶっきらぼうに彼女に接するコータロー(倉悠貴)だと思ったな。
コータローは、一生懸命ボランティアをするマミに徐々に惹かれて行くのだけれども、出会ってから随分時間が立った時に、少し恥ずかしそうに”今度の週末にドライブに行かない?”と誘い、マミもそれを了承するのだけれども、地域おこしのために廃棄されるミカンを地ビールにしようというプランが立って、マミが勇気を出して連絡したカケルの存在を知り、コータローはマミに駅から東京に戻るカケルに”急いだほうが良いんじゃない?”と言って軽トラのミカンのフォルダーの付いたキーを渡すシーンは”此奴は、良い漢だなあ。”と思ってしまったよ。
あとは、50代にして夫と離婚し、町の人達が集う飲み屋を営む女性(西田尚美)かな。彼女がマミがコータローについて言った言葉を聞いて、
”全く、今の人達って恋愛しているかどうかも人から言われないと気が付かないのね。カッコ悪く見えるのは、それだけ好きって事!”とマミを後押しする言葉も、とても良かったな。
<今作は、様々な事情で恋愛に臆病になっていた純朴な心を持つ男女の恋愛を描いた”恋って何だろう。”と考えさせられる物語であり、観ていてとてもじれったくも心地よき物語でありました。
そして、改めて”奈緒さんって素敵な女優さんだなあ。”と思うとともに、恋愛って素晴らしいなとも今更ながらに思ったなあ。>