傲慢と善良のレビュー・感想・評価
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とんでもない傲慢さの果てに
原作が辻村深月で本屋でも平積みされていたのを覚えているので期待して観ましたが、恋愛に於ける現代社会の自意識に隠れた傲慢さと必要以上の善良さについて描かれているけれども、想像以上に内容が薄く、底の浅い物語で驚きました。
おそらく原作ではもっと丁寧に心模様が描写されているのでしょう。
架が付き合っていた女友達があまりにも露悪的で違和感ぎありましたが、そんな人らに70%なんて言ってしまう傲慢さがあったのは分かります。
ただ、それに対して毒親の抑圧から自分を変えたくて婚活して、付き合って、ストーカー被害の嘘まで吐いて、挙げ句の果てには失踪してしまう真実のほうが恋愛の枠を超えた人としての傲慢さが酷かったです。彼女の善良さを帳消しにしてしまうほどに。
最後に2人がやり直すシーンなんてシラけて観ていられなかったです。
なんだろう。ズレているなぁと思いました。
傷があるみかんは甘くなる
27歳
女性なら言わずもがな、この年齢が直面している悩みを想像できるのではないでしょうか。
途中まで原作を読みました。グッサリと刺さる言葉と、何度読み返しても理解し難い言葉とが混ざり合い、つい目を背けてしまいました。最後まで読み切れずに、でもやっぱり気になって、そんな時に映画化が決まりました。なのに自分のうっかりにより映画館で観そびれ…(笑)、なんやかんやで視聴が今になりました。
私は今、仕事にやりがいをもち、自由に自分が好きなように暮らす幸せを感じている一方で、周りがどんどん結婚していき、いわゆる分かりやすい「幸せ」の形である結婚を夢見る自分もいて、周りと比べては勝手に肩身が狭くなり、自分自身を責め、未来に不安を抱き、時々生きている意味さえ分からなくなることがあります。洋服や車のような持ち物は人と違うもの、できるだけ人と被らないようなものを欲しがるのに、恋愛・結婚となると世間一般のようにできない、普通じゃない自分が嫌になります。自分に自信をもてることがあって、自分は人より優れていると思う部分もあって、何でこんな人に彼氏ができてこんな人が結婚できて、私にはできないのか、と心の中でいつも思ってしまいます。そんな自分が心底嫌いです。まさに傲慢です。今の私は婚活に奮闘していた時の真実と同じです。
映画のレビューでは無くなってしまいそうですので、自分のことはここまでに。
リアルな現代の恋愛・結婚観、人間の生々しさが苦しくなる程描かれている作品です。原作の方が言葉が強調されて胸に響いてきます。そして、映画は映像でリアルに胸に届きます。どちらも良いです。奈緒さん演じる真実、原作を読んで想像したそのまんまの真実でした。
嫌われないための善良は努力。傲慢さは時に人を素顔に導く。
藤ヶ谷さんと奈緒さんの距離感がとても自然。
お二人の写真がたくさん登場した冒頭のシーンは、お芝居としてではなく本当の恋人同士の写真のようで微笑ましかったです。
ただライトな作品ではないことを理解していたので、微笑ましいのは束の間でしたね。
架といる時の真実は間違いなく幸せそうだった。だとすればなぜ真実は姿を消したのか。
その後足取りを掴むべく架は奮闘するわけですが......。
架が真実の両親に会いに行ったシーンは、「この両親、世間体ばかり気にして自分達が信頼しているものは絶対に正しい。自分達が信頼していないものは真っ向から反対」みたいな雰囲気。
過去に真実にお見合い相手を2人紹介したという小野里、当時のお見合い相手など、周囲の人物から話を聞けば聞くほど、最初こそ「そんなはずない」と思っていた架にとっても、真実自身が自分の意思で架の元を去ったと思わざるを得ない状態に。
同時に自分が知らない真実の様子が周囲から語られることによって、自分が共に過ごした真実と、自分が知らない真実との間で剥離していく。
傲慢と善良。これは全ての人間に当てはまるのかもしれません。
人は見た目が100パーセントなんて言葉もありましたが、実際に視覚が占める割合は9割以上といわれており、相手の印象はほぼ外見で決まるとも。
それは美人とかイケメンとか顔だけではなく、穏やかそう、怖そう、といった性格的要素も含みます。
人間というのは外見と少しの会話から得た僅かな情報から自分や相手に点数を付けてしまう。
「僕なんて」「私なんて」と思う人でさえ、自分の価値は高いと思っているから自分と人生を共にする相手に妥協はできない。
「あの子いい子なのになんで結婚できないんだろうね」「明るいし話すの上手いし好きになってくれる人たくさんいそうなのに」と周りが言う人が結婚できないのは、自分を卑下する割には知らず知らずのうちに高望みしてしまっている「傲慢さ」がある。真実はそれに加え、親には従順になってしまう「善良さ」も持ち合わせている。
架自身も、小野里の話を聞くうちに、友人に真実とどのぐらい結婚したい気持ちがあるかと聞かれ「70%ぐらい」と答えていたことで、彼女に点数を付けていたことに気付かされ、自分の「傲慢さ」を知る。
それが架を取り巻く人物達によって真実に伝わっていたことも知り、自分を正当化しようとする様は滑稽でした。
真実が出ていった原因が自分にあるとは微塵も思っていなかった。だから真実の消息を辿るべく駆けずり回っていたのに。
その滑稽さが際立つ藤ヶ谷さんのお芝居が素晴らしいと感じました。
真実もあの家庭環境で育ったことで「本当の愛」を知らずに育った人物なんですよね。毒親の元で従順に育った一人の女性で、ただ本当に愛してくれる人と出会いたかっただけなのに。
真実はそんな親から重圧を受けて育ったから、早く架にプロポーズしてほしい焦りからストーカーなんて嘘をついてしまったけど、初めて一緒に居たいと心から思った相手が自分に70点なんて点数を付けていたと聞かされたら悲しみに押しつぶされますよね。
時間が経ち「あの頃の私は」と真実は自分を客観的に振り返り、架の上っ面しか見ていなかった自分を「傲慢」だと言い放ちます。
奈緒さんの繊細なお芝居により真実の抱える苦しみが伝わり、凄いなと感服させられました。
架と真実は再会して、架は真実に「やり直せないか」と提案しますが、しかし真実はやり直す気はないことを態度で示します。
その後真実がよしのに「今の若い子達って自分が恋愛してるかどうか人に言われなきゃ分からないんだ?カッコ悪くなっちゃうのは、それだけ必死だったってことじゃない」と言われたことで、再会した時の架がどれだけ必死だったのか思い出します。
架が自分が未熟だったことを痛感し真実に別れのメールを送ったことで、真実も架への気持ちに気付かされ、架に思いを伝えに行きます。
正直真実はボランティア活動をしていた高橋と一緒になる展開なのかなと思っていたんです。
しかし架も真実も互いの「傲慢さ」を認められたことで、見栄を張らず素顔を曝け出すことができ、共に生きていく結末を迎えられたんだと思います。
「傲慢と善良」というタイトルからは想像もしなかった奥深い愛の物語。素晴らしい映画でした。
何もなく無垢な2人の心
2人の出会いから別れ、それぞれが持っている肩書きなどを外すことで得られる新たな出逢い。
そんな2人の心情を丁寧に描きつつ、2人の心の距離感を大事に紡いでいる点は素敵に感じられた。
その関係性の描写はとても共感を持てた。
婚活ってなんなんだろう
原作小説は未読で鑑賞。
ハイスペック男子が婚活をして、ある女性とお付き合いをし、結婚目前までせまるが、突如としてその女性が姿を消してしまう。そこから、本当の彼女の感情と自分に向き合っていくストーリー。
個人的には私自身も婚活サイトやマッチングアプリを利用したことがあり、リアリティがあるなと感心してしまった。
特に、「婚活は就活に似ている」という言葉。お互いが雇用者かつ就活生の目線で相手を見定める。このひとは本当に信頼できる人なのか、欠陥がないかを探している。相手を品定めするような傲慢さを持ちながら、表面上は善良な人物を繕う。まさにタイトルどおりのことが起こっているのが今の婚活市場であると本作は言っている。
ネットを通じて不特定多数の人と交流ができるようになった今、結婚という人生の一大イベントにおいて、多数の人の中から自分に合う人を探し出すのに労力を使うことは自然で、広く浅く知り合うためには善良を演じなければいけないし、相手が自分の理想に反した場合はすぐに切り捨てていく傲慢さも必要になってしまう。
作品中では、彼女が突如として家出してしまうところから、ストーリーが動いていく。
高スペックがゆえに、女友達も多く、彼女たちはよからぬ嫉妬や噂話を広めてしまう。それを心配する彼女と主人公自身も引く手あまたがゆえに、この彼女と結婚してしまって本当に良いのだろうかと揺れ動く。
色々あって、最終的にはお互いが思っている「こういう自分でありたい」と相手が「好いてくれる自分」にはギャップがありましたという結末。
婚活を通じて相手の本心にせまる純愛ストーリーだった。
子育て中に出会えて良かったと思う映画!今の子供達は今後もっと婚活に苦労する。
原作はあえて読まずに、観に行きました。回を重ねる後に、そして副音声も聞くと、さらに新しい気づきと学びがあった。
自分と夫の結婚について、どれだけ傲慢だったか、、だから今夫婦関係で悩みにぶち当たっているんだと気づきた。でも傲慢な結婚の中でも、善良さも確かにあって、それこそ、私が今後の人生で大事にしていくべきもの。自分の軸や、夫の良さに気づけたから、これから夫婦関係に悩んでも、軸に戻ってこれると、夫婦関係の悩みの解決策を映画を通して、気づかせてもらえた。
また、今、小学生達の子育て中だけども、今は小学生達も、ゲームやYouTubeがほとんどの子達の日常になり、公園に行く子の方が少ない。高校生達は友達になりたかったら、対面ではなくインスタのメッセージから。。非対人コミュニケーションが多い日常を過ごす子達は、今後はさらに、面と向かって相手と向き合うことに恐れ、親から傷つかないように守ってもらってばかりで傷つくことへの耐性がない子供達は、恋愛へのトライにも臆病になるのは必至だろう。
しかし、親の関心ごとは、もっぱら、「我が子がどんな仕事に就けるのか」。そのための支援に、親は凄まじい労力を費やし、そのために母親はいるのかと思うほどだ。教育熱が高い地域に住んでいるけれど、習い事の話題ばかりで、子供が誰かと結婚したがった場合、我が子はできるか?という話は聞いたことがない。。
結婚は親は介入できる問題ではない、と思っていたが、子供時代に、色んなことを親に決められ、それに従順に過ごしてきた子供達は、恋愛したくなったとき、自分はどんな人生をあるみたいか、どんな人が好きか?という事にも気づけなくなるのは、当然だなと思った。
現代の少子化の原因は、不景気や結婚観の多様性だけでなく、子育てをする私たち親の関わりも十分にあるんだと私は感じた。
婚活中の方だけでなく、子育て中のママ達にも、おすすめしたい映画です!
藤ヶ谷くんと奈緒さん、皆さんの演技はとても自然体だけど、計算され尽くしたもので、さすがだなと感じました。ラストの2人の表情、お二人の人柄が滲み出ていた。
普通のラブストーリー
最後まで気持ちがついていかず…
70点じゃダメですか?
原作未読。ミステリー映画だと思っていたが、そのカテゴリーではなかった。主人公の2人は、子供と同世代。(子供はいませんが…)今時の恋愛事情が良く解った。なんやかんやあってもハッピーエンドで終わるのは良しとしましょう。前田美波里の恋愛観と西田尚美のセリフに共感しました。お互いに100点ならベストかもしれないが、結婚後100点をキープし続けるのはハード。結婚した後で、お互いに嫌な面が目についてくるから、後は減点のみ。でも70点でスタートすれば、加点の可能性があるわけだから、70点でも良いと思うけどね(加点、減点という表現は傲慢かしら?) 余談ですが、恋人募集中の若い人に「どんな人がタイプ?」と聞くと、「笑顔の素敵な人」と答える人がいるけど、「そういう人も良いけど、あなたをいつも笑顔にさせてくれる人の方がもっと良いんじゃないの?」と苦言を言っています。😅
タイトルなし
登場人物も、婚活中の私も、まさに傲慢と善良だなと思わされた
(私も婚活がルーティン化して3ヶ月で20人会って、だんだん相手を品定めしていって、その中で見た目そこそこ大手企業に勤めてて悪くないとこで手を打とうとしたし、
そういう相手のこと"ちょうどいい"ってほんのり下に見てました)
私だったらラスト、追いかけないかも
目上だと思ってた相手が自分を追いかけて必死にかっこ悪くなってより戻したがってるのを、断ることで自分がようやく自立した気持ちになれるし、より戻したらまた自尊心が下がるかもしれないから
だからまた付き合うことを選んだ2人は私よりよっぽど善良で、ちゃんと恋愛してたんだっていうのが作品の優しさと救いだなと思った
真実の地獄はとても現代的で、端から見てると甘えに見えるだろう
過保護な檻の中で少しずつ自分は無価値だと思わされて、何がほしいかもわからなくなって、でもそれはすごくくるしいことだ
正直、真実のずるさや傲慢さなんて全然誰でも持ち合わせてる程度のものだよ
良かれと思って裏で嫉妬めいたアドバイスしてきた女友達の方がよっぽど醜悪だし、正直あれくらいのずるさなんて誰でも持ってるよ
真実が70点て言われたのがショックで話し合う勇気のなさも、そのまま逃げちゃう甘さも、
架が真実を"ちょうどいい"ってほんのり見下してたのも、とてもありふれて私達の中にあること
そして、そこを見せてからが人間関係の始まりだと思うの
婚活においてほしいものが決まってる人が早いのも、傲慢と善良なせいで見つからないのもわかる
自分なんてそれほどと思いながらも、相手は自分には見合わないと思ってる
でもそれのどこがいけないのか?
主人公達も結局どこまでも最後まで傲慢だったし、それを持ち合わせながらさらけ出せたから向き合えたと思う
この絶妙なバランス感が人間て感じしてよかったな…
どこにでもいる、ちょっと甘っちょろくて苦い想いをしてる人達って感じが
人を好きになるってとても曖昧で、どうしようもなさを愛せた時に初めて誰かと生きれるんだろうなと思う
白が裏テーマでしょうか
冒頭の真実の花束、架の部屋の花鉢、真実のステンボトル、みずかの花、ヤギの白。他にもあったかもしれませんがとても気になりました。2度目に観た時にさらに気になってしまいました。
架の婚活時のお相手が変わるたびにジャケットとインナーも全て変わっていた。
とても色が気になる映画でした。
架の一方的な気持ちを伝えて終わるのではなく、真実も全て伝えられて良かった。
面白かった
タイトルなし
原作を読んでいる途中で映画化を知り、読み終えたので観てみる事にした。
大まかには原作と変わらないが、架と真実に観客を感情移入させる為か、婚活から2人の馴れ初め、真実の疾走迄の流れは時系列に描かれていた。
中盤以降に描かれる真実の逃避先でのエピソードが変更されていたが、原作を読んだ時の感想では正に中盤以降を気に入っていたので、色々と変えられていたのは残念だった。最終的に2人が結婚式を挙げる事になる神社のくだりが出てこないのは最悪だし、架が真実を見つけてからのヤリ取りが何ターンも繰り返されて進まないのも安いドラマっぽく、表面的に辿り着いた所は原作と変わらないんだけど、描かれている事が何か違うような違和感を持った。
真実を演じた奈緒さんの演技は良かったし、性格最悪だったけど桜庭ななみさんが観れたのが良かった。
何度共感したか分からない言葉や感情たちが溢れてきます
原作を読んで映画を観ました。
もちろん原作の全てが入っている、という訳ではありませんが辻村先生が仰っていた通り、伝えたいことは全部詰まってると感じました。
映画だと真実や架はこんな表情をしていたんだなあと言葉を含めグッとくるものがありました。
また、原作でもグサグサと刺してきた人間の弱い部分や醜い部分が描かれていて、主人公たちに心打たれたりちょっと苦手になったり感情移入沢山してしまいました。
後半は映画オリジナルで、場所も違いますし所々フィナーレまでの動き方も違う部分もありましたが、自然に繋がってましたし、私はとても好きな流れでした。2人が感情を露わにしてるところには心打たれるものがありました。もう一度見たいと思える映画です。
臆病がゆえの…?
予告編を観たとき何となく抱いた
“思っていた感じ”と違っていた
多分、いい意味で
もっとサスペンス臭とかを想像していたけど
一生懸命に恋をしている若者が
成長しあう物語だった
作中、西田尚美が言ったセリフが響いた
恋愛してるかどうかも
人に言われなきゃ分からない
みたいな、そんな内容のセリフが良かった
今の若い子は、
手の中に世界とつながるツールを持ち
何でもすぐに調べられて、
恥をかくことも人に聞くことも
私が若い頃より、格段に少ない
そういう中でより慎重かつ無難に
失敗せず生きていくことに慣れて
コスパだのタイパだの映えだの
物事の本質から遠いところを
やたらと気にして生きている
きっとそれによって
臆病なんだろうと思う
それがゆえの、傲慢さかなと
それにしてもあの女友達は2人とも
きっと、好きだったんだろうな
でも牽制しあい、慣れきってしまい
もう選ばれないことに募らせたものを
あんなクソみたいな意地悪で
邪魔するなんて最高にブスだな
確かに私も真実みたいな女は苦手だけど
別に友達が選んだならそれでいいじゃないか
そんなことに外野がとやかくジャッジなんて
それこそ傲慢の極みだろ
キャスティングが合っていた
語りたい
傲慢と善良は紙一重で受手によって変わると改めて思った映画です。傲慢と思われる架はただの鈍感だし、善良と思われる真実は傲慢。主演の2人はびったりの配役で藤ヶ谷さん演じる架は小説からそのまま出てきた感じで自然な演技、奈緒さん演じる真実は奈緒さん以外想像がつかない。ラストシーンで2人の想いが重なるシーンにはウルっとしてしまいました。
そして小野里さん演じる前田美波里さんの迫力ある演技とよしのさん演じる西田尚美さんの癒される演技はこの映画のスパイスになっていたと思います。
映画観終わったあとは友人とこの映画について語り合いたくなります。
そして何度も観たくなる映画です。
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