「それでも酒を呑む」ロイヤルホテル なつさんの映画レビュー(感想・評価)
それでも酒を呑む
若い人だけが海外で働くことができるワーキングホリデー制度。
だいたい、海外なんて行っちゃったら旅行だけでも軽く躁状態になるのにワーホリビザは1年間。
はっちゃけるしかないでしょう。
カナダから来たハンナとリブ。
あれ、お金なくなっちゃった!どんだけ豪遊したのやら。
大都会シドニーの美しい街から一変してど田舎の何もない田舎街のパブで働くことに。
高級額が欲しいからって、そんな明らかに危険なバイトを斡旋するのもどうかなぁとは思う。
バスに揺られ、何もない荒野を眺める。
迎えにきたキャロルにナイスなとこですね〜と明らかなお世辞を述べるが不安増し増し。
先に来ていたイギリス人女性達はベロベロ。
これは君たちの成れの果てかな…と私は考える。
そこは何もないからこその唯一の男達の憩いの場。
そんなとこに可愛いちゃんねー2人放り込めば結果は明らか。セクハラモラハラアルハラなんでもありよ。
田舎のオージーの訛り、わからないスラングでバカにされ続け屈辱を受ける2人。
ハンナは常識的というか、いやいやながらもお金のために働く。いやいやは顔に出る思いっきり。
初日から帰ろう!って言ってるし。
一方でリブは少しずつ場に馴染み壊れていく。
何がリブをここまで堕落させたのかはわからない。
ただ、リブはシドニーでパブでの対応に少し嫌がった反応を出していて逆にハンナは楽しんでいたところが大きく関わっていたのかもしれない。
笑わないので受け入れられないハンナと笑顔で受け入れられるリブ。
ハンナにとっては嫌な客もリブにとっては擁護対応。
親友といっても同じ方向を向いている訳ではないのだ。
ただ、ハンナとリブの「せっかく嫌なことから逃げてきたのに」のセリフは気になった。
ハンナが作り、リブが落とすカナダのケーキ。
カナダを捨てるほどオージー達に染められたリブ。
オーナーと唯一の良心キャロルの不在の最後の2日間、2人はどう過ごすのか。
ついに斧を取るハンナ。
ますます落ちていくリブ。
そこでハンナの流血を見て初めてリブは友情に気づく。
そして、今まで受けてきた屈辱をぶつけるように酒の並んだ棚を2人してバッキンバッキンと無言で壊す。
無言で火を放つ。
それはセクハラの象徴であったエロライター。
バックパックを抱えて燃え盛るロイヤルホテルを背に歩き出す2人。
この何も言わずに疲れた顔をしながら、せいせいしたとか達成感とかなにもない顔で歩く2人が良かった。
スッパリと切れたような終わり方だったけど、これで良かったと思う。
派手な男共への復讐劇ではなく、諸悪の根源である「ロイヤルホテル」を亡きものとする。
これから何キロも歩くかもしれない。
安息の地はまだ遠いかもしれない。
お金は足りないかもしれない。
そんなことは関係ない。
彼女達は全てを燃やし尽くす。
この田舎街のパブで受けたたくさんの屈辱を過去のものとして歩き出す。
願わくばこの2人の再び通じ合った友情が続くことを祈るばかり。
決してオーストラリアの方々をバカにしている訳ではないけど、どこの国に行っても女っ気のない田舎街のパブに可愛く若いちゃんねーをつっこんだら同じ結果になる気がする。
いつまでも、性的搾取をされるのは女性が多いのだ。
紳士的な方もいるのだろうけど、そのパブに通うならきっと染められてしまうような気もする。
そして、逆の立場になったら女がヤングボーイに群がる気もするし。
いろんな意味で考えさせるし、同じ女としては終始イライラと不快感しかない。
でもハンナの嫌だ!という気持ちもリブの溶け込む姿勢もなんとなくわかってしまうのがなんか嫌だった。
とりあえず男どもの息子は全部ちょん切っても良くね?って思った。