「基本的にはラブコメで、陰謀論に一石を投じる快作だと思う」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
基本的にはラブコメで、陰謀論に一石を投じる快作だと思う
2024.7.19 字幕 イオンシネマ久御山
2024年のアメリカ映画(132分、G)
アポロ11号打ち上げにまつわるエピソードに着想を得た「フェイク動画撮影」の裏側を描いたラブロマンス映画
監督はグレッグ・バーランディ
脚本はローズ・ギルロイ
原題の『Fly Me to the Moon』は「私を月に連れてって」という意味
物語の舞台は、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センター
冷戦、暗殺と暗いニュースが続くアメリカでは、宇宙計画においてもソ連に一歩先を行かれて焦っていた
実直に研究と実験を重ねるものの、アポロ1号の事故の余波は消えておらず、この流れを変える必要があった
そこで政府高官は、モー・バッカス(ウッディ・ハレルソン)を派遣し、PR担当のプロ・ケリー(スカーレット・ヨハンソン)にコンタクトを取る
ケリーは助手のルビー(アンナ・ガルシア)とともにケネディ宇宙センターに出向き、NASAのアポロ計画のイメージ刷新を行う事になった
プロジェクトはフライトディレクターのコール・デイヴィス(チャニング・テイタム)が指揮を取り、同僚のヘンリー(レイ・ロマノ)、主任技師のスチュ(ドナルド・エリース・ワトキンス)、スチュの助手ドン(ノア・ロビンズ)などが業務にあたっていた
ケリーは多忙なコールとヘンリーのそっくりさんを用意してインタビューを捏造したり、企業や放送局との連携を取って、タイアップを実現し、資金調達をしていく
コールはケリーのやり方には感心していないものの、結果を出しているので反対もできない
そんな折、モーはケリーにある極秘ミッションを言い渡すのである
映画は、散々言われてきた「月面着陸映像はフェイク」という陰謀論を利用した作品になっていて、実際に行われたかどうかわからない「フェイク映像制作」というものが行われていく
月面着陸船に載せたライブ映像と同じものを作成して、成功の是非に関わらずフェイクを流させようとするモーだったが、ケリーはそれが許せずに本物を流すように細工を施す
だが、実際に流れている映像がどっちなのかわからないまま事は進み、フェイク映像撮影現場で事件が起きてしまうのである
本作をカテゴリー分けするならば、SFではなくラブコメで、若干スリラーが混じっているような感じになっている
ダイナーでの初対面からイケメン全開で、要所要所で接近する様子も描かれていく
さらに、ケリーの中でコールへの想いが大きくなっていって、それに心を痛めるシーンなども登場する
ラストの締め方もラブコメそのもので、そう言った目線で観ていくと満足できる作品なのではないだろうか
いずれにせよ、大胆にもフェイク映像を実は作ってました〜となる流れは秀逸で、そっちが失敗していたというオチもすごいと思う
お蔵入りした理由もごもっともという感じで、視聴者はたった一人というのも面白い
モーが「Fly Me to the Moon」を歌って去っていくのだが、この後に流れるのはボビー・ウォーマックのバージョンのようで、そのあたりのこだわりも面白いなあと感じた