教皇選挙のレビュー・感想・評価
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映画の教科書に載せられそうな傑作
良かった所
①先の展開が読めない脚本
②キャラクターが際立ったキャスト陣
③個性を際立たせるアクセサリー(衣装)
④宗教的知識が無くても楽しめる編集
⑤印象的な音楽
①について
選挙して教皇が決まるだけの映画と油断していた。様々な思惑が交錯する群像劇が描かれ、登場人物の過去や人となりが少しずつ明らかになっていく。練り込まれた脚本が素晴らしかった。
②映画の性質上、キャスト陣はベテラン陣が占めている。おじさん(おじいさん?)ばかりで、単調になりそうな映像が飽きることなく見続けられたのは、細かいキャラクターを演じ分けたキャスト陣のおかげ。
③主な衣装の色は赤、白、黒のみ。基本は西洋系の顔ばかりで、日本人にとっては名前を覚えるのが難しい。ただ、演者のキャラクターに合わせて、小物が違うので区別がしやすかった。タバコ(電子)、メガネ、十字架などの他、衣装の着こなしに注目しても面白い。
④宗教の知識が全く無くても大丈夫。密室の演出、扉の開閉、話し声、タバコの吸い殻など、ハッとさせる編集・演出で事前知識無くても十分楽しめた。
⑤アマチュアオーケストラに所属する妻と観に行ったが、音楽を絶賛していた。ダークな雰囲気の音楽は当然のこと、映画館の音響的で聴いた讃美歌に感動したそうな(私は音楽知識はからっきし)。音響や楽器の知識があれば、より一層楽しめる映画かと。
一見地味でニッチな内容を、さまざまな工夫で極上のエンタメに仕上げたスタッフやキャストに脱帽の映画。文句なしの星5つ。傑作です。
"疑念"の白い煙が上がるとき
全国で上映館が拡大された恩恵で田舎町でもやっと観ることができた。
数日前に予習がてら観た「二人のローマ教皇」とは全く趣の違う、本格ミステリー・サスペンス作品だった。
世界一有名な文字通り「密室選挙」。
原作は、コンクラーベに参加した枢機卿にインタビューして書かれたものらしい。劇中に登場するエピソードは創作だろうが、きっと似たようなことが現実に起こっていたのだろうと思わせる。
閉ざされた扉の向こうで繰り広げられる選挙の内幕。それは「聖」とはかけ離れた「俗」なるもの。色々な「思惑」が蠢き合っている。
鑑賞して感じた素直な感想は、世俗を離れた聖などこの世にはない。俗の中に聖を見いだすのが信仰や宗教というものではないか?というものだった。
不安と緊張感を高めるストリングスの音色。
バックミュージックのように静かに聞こえる人々の話し声。
時々ぼやける画面。
破壊された礼拝堂の窓から差し込む光。
閉ざされた空間の中でジリジリと経過する時間にアクセントを付けていく音と画が巧みだった。
ローレンス枢機卿役のレイフ・ファインズが見せる、選挙執行者としての責任感ある振舞と一候補者としての野心、苦悩。シスター役のイザベラ・ロッセリーニの目で訴える演技が印象的。
ラストで衝撃の告白がある。
それを飲み込んだローレンスが空を見上げる顔は、特別な感慨を含むものではなく、やれやれ、という一仕事終えた男の俗なる顔にしか見えなかった。陸に這い上がった亀も池に戻して、バチカンも日常に戻る。と・・・
ローマ教皇。その権威と裏腹に持つ「聖」と「俗」の間という曖昧な位置づけが、何か人を惹きつける力を持っている。
そんなことを考えながら、俗物である私は映画館を後にして日常に戻るのであった。
コンクラーベの選挙時に『コンクラーベ』を鑑賞
教皇死去に伴い、教皇選挙がまさにはじまろうとした時に鑑賞した。そんなことも意識しないで映画館に足を運んだが、超満員だった。マスコミも取材に来ていた。世の中、異国で行われるイベントに興味のある人間がこんなにいるんだとびっくり。
本作を観て、教皇は存命中から、後継者の目星をつけるものだということを知った。というか会社でもなんでもそういう世界はつきものだということだ。スキャンダルがないだろう
か、周囲の評判はどうか、どこの国々でどんな布教活動をしたか。レイ・ファインズ演じる、選挙をとりしきるローレンス枢密卿の孤軍奮闘ぶりも見もの。驚いたのはローマ教皇なのに、イタリア出身の教皇が40年も出ていないことだ。イタリア人枢機卿のぼやきが印象的だった。
本作の教皇は、政治的野心にまみれた私利私欲の人間よりも、無欲で公平で利他主義の人間を、ひそかに後継者に思い描いていた。そこに忘れかけていたヒューマニズムがよみがえる。
デビット・リンチ作品の『ブルー・ベルベット』で観客を魅了した、イザベラ・ロッシーニの、正義の尼僧役がいつまでも心に残る。
戦って良いのは○○だけ
観てるうちに自分が悩んでるかのような閉塞感に囚われる。仲間が悪いことしてる予感がして、それを教会員(14億人も)の公正のために暴かねばならない…使命感にひっ迫されて。この使命(選挙管理)を終えたら枢機卿辞めるーって思うのわかる。
しかし、枢機卿仲間を信用できず、こんなのの誰かがリーダーになるなら自分がやるのがマシじゃない?と自分に投票しちゃうのもまたわかる。腐敗した教会を立て直す覚悟決めてたんだよね。
最後、ローレンスが新教皇かなって思ったら、拍手して誰かに言う「教皇を受けますか?」。
誰よー?有力候補は皆、自分が敗れたことにそれぞれの表情で残念がってるのを映されたあとで。。
まさかの!でもそうだ、彼の健康面を知ってから、なおさら彼は相応しいとおもった。彼は多様性そのもの。神が作ったままの体で良いんだよ。だって神が作ったんだよ。
戦って良い相手は、自分だけ←克己心の意味
確信は多様性を阻む←自分の信じるものだけ見て、柔軟性がなくなる
新教皇のスピーチの響いた箇所。思い返すとこうしか書き出せない。もっと良いこと言ってたんだけど。
他の枢機卿も、彼のスピーチに心掴まれたから、彼に託そうと決心したんでしょうね。
何と戦うのですか
予告見たとき、同じような服装のおっさんばっかりでキャラの区別つくかな?と心配しましたが、見事に分かりやすい濃い顔とキャラばかりで、説明にも全く無駄がなく解りやすかった。
映像も荘厳で美しく、窓ガラスが割れて光が差し込むシーンなど宗教画のよう。
投票シーンで票を壺?に落とすシーンがどれもとても好き。
テデスコに対するベニテスの語りは、なるほど、と考えさせられた。
SNSでヘイトをもっともらしく声高に書き散らす人たちに対しても言いたくなる😆
ローレンスとベリーニや、ローレンスに頼まれて調査する男性との会話とかも色々深いし、脚本が素晴らしいな。
無宗教ではあるけど、宗教に関して寛容でありたいと思っているし、リアルにフランチェスコ教皇の演説とかも素晴らしかったので、宗教興味ないとか言わず沢山の人に観てほしいてす。実際現実とリンクしてロングランしているし、かなり観てる人は多いのかな?
現実の新教皇はベニテスの秘密を知ったら立ち位置的に拒否しそうだけど、ここは映画ならではのびっくりあっぱれな展開でした。
うーんもっと書きたいことはあるのだけど…崇高な文才が欲しいです。
宗教を知らない私にはサスペンス的な意味での面白さかも
ネタバレが怖いので詳しくは書けないけれど、ラストに驚いた人がほとんどだろう。
もともと,宗教がわからない人間にこの映画の本当の深さはわからないと思う。ただ、組織のトップを投票で選ぶとなれば、聖職者といえど人間だし,いろんな陰謀や策略がある。そこは面白いし、どうなるかと引き込まれた。
教皇になると教皇名というのを名乗るらしいが、名乗ったその名前は何を象徴してるのだろう。選ばれた教皇にあと少しで世界で1番有名な人間になると語りかけるけれど,多分日本人は知らない。だからやっぱり本当の重みはわからないなぁ。
ほとんど話には出てこないけれど、急死した元教皇がものすごいできる人物だったのだろうなぁと思った。
世界平和を心から願う今日この頃
混んでます。
ローレンス枢機卿の最後の表情とは
変わらない選挙システムと変われない組織
教皇の突然の病死から新教皇選出に至るまでの教会内部のドタバタ劇を描く本作。教皇が亡くなるとすぐさま教皇の「印」が破壊されます。偽文書発行を防ぐためですが、そこまでしても権謀術数や欺瞞や不正を防ぐことはできません。そもそも亡くなった教皇自身が重要情報を首席枢機卿に伝えず、こっそり隠しています。理由は不明です。組織ガバナンスが機能していません。
主人公は首席枢機卿として教皇選挙を取り仕切る男、ローレンス枢機卿です。彼には首席枢機卿を辞任したいと申し出て教皇に慰留された過去があります。彼はなぜか教皇に心酔しており、亡き教皇を偲んで一人涙を流す男です。なぜローレンスがそこまで前教皇を絶対視しているのか、理由は不明です。そんな忠僕のようなローレンスですが、教皇は生前に次期教皇有力候補のトランブレ枢機卿を馘首にしようとしていたこと、新たにカブールからベニテスさんを新枢機卿としてこっそり任命していたことを知らされていませんでした。なぜ教皇はそんな大事なことを首席枢機卿に伝えなかったのか。気まぐれな教皇のお陰で右往左往させられるローレンス、中間管理職の悲哀が滲みます。
コンクラーベと呼ばれる教皇選挙のシステムは、
・枢機卿108名による互選式匿名投票
・立候補ではなく、選挙演説もない
・自分の名を書いてもよい
・全員の投票が済めばすぐさま開票され、結果が読み上げられる
・誰かが2/3以上の票を獲得するまで延々と続けられる
・選挙は外部と遮断されたシスティーナ礼拝堂という密室で行われ、部外者や女性の立ち入りは許されない
・選挙期間中、枢機卿団はサン・マルタ館という宿舎に寝泊まりし、外部との連絡は禁止
・選挙情報を外に漏らしたら破門
・新教皇の選出の可否は煙の色で外部へ伝える
物理的にも心理的にも閉じられた選挙であり、枢機卿たちは派閥ごとに秘密会合を繰り返し、票読みと票集めにかけずり回ります。候補者も演説もないものだから、下馬評やうわさや人間関係に振り回されるばかり。
ローレンスはリベラル派ベリーニを推していますが、なぜか票は集まりません。ローレンス自身を推す声もありますが、「私は教皇の器ではない…」と固辞します。
トランブレ枢機卿の陰謀により、有力黒人候補アデイエミは過去の女性問題と隠し子がバレて脱落。つぎにトランブレ自身もシスターの「蜂の一刺し」により陰謀がバレて脱落。やばい!このままでは保守派のテデスコが教皇になっちゃう!ローレンスはやむなくベリーニに変わりリベラル派の代表になることを決意します。でも「もし僕がなったら教皇名はヨハネにする!」となんかまんざらでもない様子。「枢機卿はだれでも教皇への野心を胸に隠している」というベリーニの言葉が思い出されます。
ローレンスが投票用紙に自分の名を記し投票箱へ入れた瞬間、教会の壁もろとも吹き飛ばされます。まるで彼の内心の傲慢さが神の怒りを買ったかのようなタイミングでした。あれは爆弾テロだったのでしょうか。でも爆弾のお陰でコンクラーベに風穴が開き、新しい風が吹き始めます。
事故の影響で一旦お開きになったコンクラーベ。枢機卿たちは別室に集まっています。「テロもすべて前教皇のリベラルな姿勢のせいだ!このままではローマが異教徒に乗っ取られるぞ!そんな弱腰でどうする!もはや宗教戦争だ!」勇ましい演説をぶつ保守派代表テデスコ。それに対し、「あんたら戦争っていうけど、ホントの戦争の悲惨さ知ってるの?もう僕こんな茶番はうんざりなんですけど。みんな選挙とか、権力とか、そんなことばっかりで信者さんのことなんてこれっぽっちも考えてないでしょ?教会の伝統とかそんなのにしがみついててもしょーがないよ。いいかげん前に進まなきゃ」と反論する新任枢機卿のベニテス。
この二人の演説で一気に流れは決します。だったらさ、最初から候補者立てて演説会すればいいのに。あるいは有権者を司教レベルとか、シスターとか、もっと拡げればいいのに。もっと開かれて民主化された選挙システムに改善すればいいのに。
14億とも言われるカトリック教徒の頂点に立つ教皇は「世界で一番有名な男」であり、それを選ぶのが教皇選挙。でもその実態は閉鎖的で、外側ばかり立派で、権力志向丸出しで、権威主義的で、女性は完全に排除された、教会内部の論理に縛られた内向きの茶番劇のようなものでした。同じカトリック教徒同士であれなんだから、異教徒に対して「寛容」だなんてありえない。主人公は冒頭の演説で「確信よりも寛容」と述べますが、一神教が「確信」を捨てるなんて自己矛盾も甚だしい。「自分は正しい、あいつらは間違っているという確信」こそが一神教のキモであり、すべての宗教戦争のタネでは?性的スキャンダルやマネーロンダリング問題などを頑なに隠し通そうとする組織の隠蔽体質の根源は、どうやらこの教皇選挙のシステムにありそうです。選挙が変わらなければ組織も変わりません。
本作ではカトリック教会内でのリベラルと保守の対立、人種、言語、文化による分断が描かれ、枢機卿たち同士の派閥対立、教皇という権力への野望と「無謬性」「理想の父」という幻想に縛られる苦しさなどが描かれました。伝統と内部の論理に縛られて変わることのできない組織と個人は、今後も様々な問題に直面し、それを隠したり誤魔化したりしなければならないでしょう。
異教徒である自分から見ると、誰が教皇に選ばれてもそんなに大差ないように思えてしまいました。いずれにしろ今後も経済格差は拡がるし、戦争は止まないでしょう。あらゆる宗教は戦争の原因にはなり得ても現実に戦争を止める力は持たないでしょう。
本作中ではかなり劇的な効果音や音楽が使用されていますが、劇中ではそれほど劇的なことが起こっているわけではありません。ただ着飾った男たちが閉鎖空間でチマチマと権力闘争を繰り広げているだけです。こう言ったら失礼かもしれませんが、一生懸命な彼らの姿は外から見るとやや滑稽ですらありました。
現実世界でもカトリック教会は様々な問題に直面しているようです。
・重心がヨーロッパから中南米へ移動している
・イスラム教徒はどんどん増えていく
・科学の進歩に対応が難しい
・性的スキャンダルやマネーロンダリング問題でマスメディアの批判や教皇退任要求デモにさらされてしまった
・いくら祈ったところで世界の平和は実現しない
・伝統と権威を重んじる硬直化した巨大ピラミッド型組織である
・若者や女性が離れていく
・かといってリベラルに寄るともともとの保守層が離れていく
現代の教皇は、なかなか大変です。ちなみに今回のコンクラーベに参加した日本人枢機卿は事前に本作を観て予習したそうです。普段はベールに隠されている、現役枢機卿ですら知らないような、生々しい教会内部の様子をこっそり覗き見するドキドキ感、それが本作の魅力でした。
神学的ビジョンは希薄
『教皇選挙』は美しい映像と緻密な演出によってバチカンの荘厳な雰囲気を描いていますが、神学的なビジョンはあまり描かれていないと感じました。
本来、教皇選挙は祈りと聖霊の導きによって行われる、極めて神聖なプロセスです。しかしこの作品中では、それを単なる政治的権力闘争として描かれているところが目立ちます。
ドキュメンタリー的に雰囲気の再現、現実のコンクラーベの緊張感と儀礼の形式を感じさせるものでしょう。また視覚的には魅力的で、ドラマとしては見応えがあるかもしれませんし、現代社会における教会の課題や内部対立を描こうとした試みは理解できます。しかし、そこに信仰の光や神学的深みがあまり見えなければ、「教皇選挙」という舞台を選んだ意味は希薄で、ただの政治ドラマの舞台にすらすぎないように見えてしまいます。
パンフレット買えばよかった
前半は映画になかなか入れず睡魔との戦いでうつらうつら…
中盤からはやっと引き込まれ、ラストは目が覚めるような亀のどんでん返し
ん〜もっともっと隠された仕込みがありそうだからパンフレット読んでもう1回観たい
面白かった
選挙を通じて「教え」を観る映画
この映画は、枢機卿の人間らしさを楽しみつつ、鑑賞者に宗教の教えを説いたものだと感じました。
カトリック教会という宗教の中でも最大級の組織における枢機卿というと、なんと高貴な人間であろうと小市民である私は思っていました。
しかしながら、枢機卿らはタバコを吸い、吸い殻が地面に捨てられたシーンすら描かれています。
物語の起伏を生み出す権威や性といった欲に塗れた者たちのギャップは、我々とそう遠くない人たちのように見えます。
特に好きなシーンは、最終投票の前、爆破された窓から光が射すシーンです。
息が詰まる部屋の中で様々な思惑が渦巻いて続いた選挙でしたが、淡い光に照らされて一斉にペンが走り出す枢機卿たち。
きっと新たな教皇と、それを選んだ枢機卿たちによってつくられる教会の明るい未来を描いているようでした。
人間らしさをもつ枢機卿たちと重ねて、きっと我々にも明るい未来が待っていることを感じさせます。
暗い映画館から外へ出て太陽の光を浴びたとき、自分のなかにある確信に固執せずに寛容をもたらしていけばいい。最後のどんでん返しで主人公がそうしたように。
そんなことをこの映画から教えてもらったと思います。
タイムリーで興味深い
「教皇選挙と大統領〜チェスの8手先を読んだ前教皇とチェスの駒にはならない新教皇」
5月7日日本時間23時30分 (現地時間16時30分) から始まった、実際の教皇選挙に合わせた上映会に参加しました。(2005年、2013年、2025年に行われたコンクラーベは、いずれも2日間で終了)
3月20日の公開から、4月21日の第266代フランシスコ教皇の死去と葬儀で、興行収入は倍増、公開劇場は5月から1.5倍、映画館にも「教皇選挙には聖霊の風が吹く」ロングランです。
「コンクラーベ」は世界史の授業で習いましたが、キリスト教について思い浮かべるのは、「神の沈黙」という言葉と何作かの映画と小説くらいです。
NYCに滞在する時には、セント・パトリック大聖堂の礼拝とコンサートに参加していますが、これも信仰ではなくほぼ観光です。
友人から、公式サイトの人物相関図をチェックしてから観た方がいいと勧められました。これは大正解と思いながら観ていました。
『教皇・選挙』と邦題を2つに分けたくなる、宗教ミステリーの荘厳な映像美と密室の政治劇。『そして誰もいなくなった』のような自民党総裁選挙と、米国大統領選挙を思い出しました。
アカデミー賞は脚色賞のみの受賞でしたが、作品賞に相応しい作品だと思いました。と同時に、宗教的にも国際情勢的にも、受賞は難しいと思いました。
5月2日にトランプ大統領が、ローマ教皇の扮装をしたAI画像をSNSに投稿して、ホワイトハウスの公式もRTしたことで物議を醸し、今だに炎上しています。
その2日後の大統領のSNSの投稿は、「スター・ウォーズの日」のコスプレだったので、大統領の支持者に向けたファンサのようなジョークだと説明されています。
教皇選挙が現職大統領の広報戦略に利用されるSNSの時代に、トランプ大統領が次に“なってもいい”お仕事が教皇で、お得意のディールでコンクラーベを考えていそうなことは分かります。
“神無き時代”に、ローマ教皇が代わると世の中はどう変わるのでしょうか。もしトランプ大統領が教皇になったら、想像は容易いけれど想像だけで終わってほしいメタバースです。
映画鑑賞後に、報道番組と新聞社のインタビューを受けました。半分は映画と宗教について、半分はXで読むこの映画の感想の面白さを答えてきました。
P.S.
新教皇の名前「インノケンティウス」、調べていくと「えっ!?」と固まりました。全ては前教皇のシナリオ通りなのか、あるいは最も選んではいけない人物だったのか…思った以上に、奥行きの深い作品でした。
リアルなコンクラーベでも、第267代新ローマ教皇「レオ14世」が誕生しました。初の米国出身で中道派、ロバート・フランシス・プレボスト枢機卿。保守派と改革派、そして世界の分断の架け橋となってくれることを期待します。
✎____________
P.S.2
このレビューを書きながら、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の世界最速ジャパンプレミアの配信を見ていました。
GW最終日冷たい雨の中、小池都知事から世界へのメッセージ、レッドカーペットでのファンサ神対応、都庁舎プロジェクションマッピングの「導火線に火をつけろ!“Light The Fuse!”」…
トム・クルーズ3年振り25回目の来日は、ド派手なプロモーションでした。
※レイフ・ファインズとトム・クルーズは同い年です。
✎____________
5月8日映画館で鑑賞
5月8日★★★★★評価
5月8日レビュー投稿
5月9日レビューP.S.追記
5月26日レビュータイトル編集
良作!!
キリスト教が身近ではない日本人がタイムリーにコンクラーベが始まるからといって観てキチンと理解できるのか、と思いながら行ってみたが全く心配いらなかった。
前半、二回目の投票まではよくある権力物かしらと映像の美しさは別にして少し白けた気持ちで観ていたが、後半からクライマックスに向けて一気に惹き込まれる。
ベニテス枢機卿のスピーチはもちろん感動するが、私はシスター・アグネスの「神は私に目と耳を与えて下さいました」という言葉にやられた。言う言わないという選択はあるだろうけれど、その「目と耳はある」という意識はもたなければと思った。
教皇に意外というべきかやはりというべき人が選ばれ、固唾を飲んて観ていた私たちはホッとするが最後の最後のオチにそんな……と絶句する。このオチは私的には蛇足かなとも思ったが、このオチがなければただの選挙戦映画にもなりそうなので、社会に問題提起を残すということかと納得した。
日本にも男系に限るか女系を認めるかという問題があるよねというのは飛躍し過ぎでしょうか。
伝統を延々と重んじていくのか、時代は進んでいるのだからと変革していくのか一人一人の問題でもあるよねと考えさせてくれる良い作品でした。
全736件中、121~140件目を表示
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