教皇選挙のレビュー・感想・評価
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この映画が名作である事だけは確信している
レイフ・ファインズが選挙中に起きる様々な問題に頭を悩ませる話。
主人公ローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)は選挙の責任者として、集合する枢機卿たちの受け入れ準備を整え、儀式の段取りを仕切り、枢機卿同士の政治闘争や保守派とリベラル派の対立を取りなしつつ、自らの派閥の談合にも参加する。枢機卿とシスターが修羅場になれば事情聴取を行い、枢機卿の不正疑惑に奔走し、さらには亡き教皇からの遺言めいた不正の証拠を見つけて頭を悩ませる。それはそれとして選挙を妨害したいテロ勢力からの攻撃もあり、ローレンス枢機卿は大体ずっと困っている。
信仰・権力・倫理、それぞれの持つ魔力がせめぎ合うドラマの中で葛藤するローレンスの様がじっくりと描かれており、ここはレイフ・ファインズの圧巻の演技力が光を放っている。
選挙にあたりローレンス自身が語る「確信を持たず」というフレーズはこの作品の核心 。現在の行い、信仰、教義を絶対とせず、常に疑問を投げかけるという姿勢はとても正しいと思う。
その一方で、長い歴史に根差したカトリックという組織の中でその信念を貫くことの難しさも描かれており、物語のラストではその言葉そのものが思いがけない形でローレンス枢機卿に返ってくる場面がある。物語中ではリベラル派の筆頭であったローレンス自身もまた、自ら語った「確信を持たず」という言葉に強く揺さぶられ、その重みを思い知ることになる。この踏み込んだラストは、保守・リベラルという枠を超えて、カトリックという組織そのものへの大きな問いかけとなっていて、最後まで油断できない。
この映画の楽しい所は選挙にまつわる政治サスペンス部分だけではない。
教皇選挙(コンクラーベ)といえば、システィーナ礼拝堂で執り行われる枢機卿たちによる儀式で、白い煙が昇れば教皇選出、黒い煙は未決というのは割と有名な話だが、それ以外にも、実際に教皇が死んだ後の段取りはどうなっているのか、世界各地の枢機卿はどのように参集し、どのように選挙を行うのか。選挙に使う専用の紙、専用の投票箱、一人一人が唱える宣誓の言葉、華麗な紅の衣装。コンクラーベに伴う一挙手一投足が事細かに描かれており、深い歴史に裏打ちされた未知のディテールは、見ていて興味が尽きない。
映画はこの一連の儀式を決して無駄なものとしては描かず、その形式に含まれる宗教的な意味合いに大きな敬意を払っている。荘厳さと歴史の重みを画面の中に再現するエドワード・ベルガー監督の手腕が光っている。
このディテールの積み重ねによって観客も儀式の重要性を体感できるようになっており、映画への没入度が高まる。
また同時に、形式にこそ意味が宿ることや歴史を尊重することの重要性を暗に語っているようで、これは保守にもリベラルにも味方しないという、この作品そのものが放つメッセージなのかもしれない。物語・美術・構造のすべてを駆使して真の改革とは何かを問いかける。類まれなる作品である。
説教と物語の融合
左巻きのプロパガンダ映画
革新とは
リッチな映像と役者の演技が良かった。
ローマの豪華な建物や装飾をこれでもかと美しく見せて、コンクラーベ自体はもっとドロドロで複雑な展開を期待していたけど、内容は比較的あっさりしていた。
そこはヤクザや政治とは違って、聖職者であることと権威や欲との葛藤、伝統を重んじることと、革新、革新の中で自分が認められるものと、認められないものを描いている
映画でフォーカスするローマの豪華さや男性社会、権力の奪い合いが本来必要なことなのか、未来ある真の革新とはどうゆうものなのかを問い直す
キリスト教徒ではないのでわからない部分もあったと思うが、人間が集まると派閥ができて、異なる主義主張で争いが起きてしまうことについて考えさせられた。
亀とシスターのメタファーはあんまり気持ち良くはなかった。
音楽、演出、お芝居、どれも最高でした。 前半でしっかり登場人物説明...
音楽、演出、お芝居、どれも最高でした。
前半でしっかり登場人物説明、コンクラーベの仕組み説明、これまで発生した事件などの前振りがあり、後半で一気に回収してくる構成が良かった。
キャラクターの名前と顔が覚えられるか不安でしたが、何も心配ありませんでした。
また劇場で見たい作品。
タイムリー
リアルな人間模様で描くコンクラーベ — 結末の余韻も印象的
タイトルなし(ネタバレ)
コンクラーベ、ローマ教皇を決める為に行われる選挙を取り巻くストーリー。
ちょうど今年?新しくローマ教皇が選出されたのもあり話題だったのでしょうか。
私はsnsで見かけるまで知らなかったのですが、絶賛されていたので鑑賞。
ニュースで写真を見るくらいしかローマ教皇という存在を知らなかったため、伝統を重んじられた建物や衣装、規律、選出されるまでの流れなどとても新鮮で興味深く見ることができました。
淡々と静かに進んでいく作品ではありますが、音楽や映像のバランスも素晴らしく美術館を鑑賞しているような気持ちになりました。
お互いが疑心暗鬼になり探り合う様子など見ていてドキドキします。
最後の最後でLGBT要素が出てきたのは最近の流れというか、それも人気の秘訣なのでしょうか。
病院ではなくクリニックだというセリフでピンときて予想が当たりました。
昨今そういう展開があまりにも多いのでもはや驚きませんが、多様性というのは自他ともに何でもオッケーとする事なのか、作中に出てきた通り神の与えられたありのままの自分でいるという事なのか。
本当に複雑で難しいなと思います。
Xで、これのために120分だけ確保してくれたら人生が変わるから!み...
ドキドキ密室ゲーム
傑作です!名作になります!!
えっ
そういうシメなんすかーって感じでした。
時代も時代ですから、どんな人がなってもいいじゃん教皇と思いましたが...
ましてや世襲制じゃないんだから、どれだけ聖人なのかで決めて欲しいが、測りで計れない徳というものに、なかなか決まらないんだろうなぁ。
しかし、皆さん、欲にまみれすぎです!
個人的には救いの無さを感じるラスト。
教皇の逝去に伴い、次の教皇を決めるコンクラーベが開催。
しかし、次から次に問題が顔を出し、次期教皇は誰になるのか・・・
その資質と資格があるのは誰なのか・・・
という、まぁありがちな聖職者の腐敗や俗物的な面が多々演出されている。
聖職者と言えども人なればこそ、と思うのか
それでも聖職者かよ、と思うのかはひとそれぞれでしょう。
教皇選挙は外界から隔離されて行われるのであまり場面の広がりもなく、
12人の怒れる男に宗教家の衣装や意匠で厳かな雰囲気になっている。
あれだけ神聖さからは程遠い野心というような展開をずーーーっと続けていたのに、
たかがあの程度の演説でコロッといっちゃうなんて枢機卿くんたちチョロすぎないだろうか?
「テロによって荒れた世相で教皇をやるなんて嫌だよ一抜けっぴ!」
くらいのしたたかさを持ってるのが教皇候補たちなんじゃないのかなぁ?
相変わらず保守派は狭量で傲慢と言いたい感じで描かれ・・・
リベラルな主義主張はただの政治用の武器でしかなく・・・
聖職者の取り繕った顔の下には野心が隠れていて・・・
選ばれた教皇もまた咎を背負った者であり・・・
このラストに救いはあるのだろうか?
教会内で描かれる腹の探り合いと、どこを切り取っても映えるシーン
映画公開時、現実にローマ教皇が崩御され、より話題となった本作。
現実では和やかな雰囲気で行われたといわれるコンクラーベだが、作中は思惑渦巻くものに。
過去のスキャンダルや不正で脱落していく者、あからさまに我こそが次期教皇に!という者、表向きは自分はなりたくないと思いつつも席を狙っている者…。
主人公は自分は次期教皇にふさわしくない!と思いつつも次第に思ってしまう、次期教皇となった自分の姿を。聖職者とはいえヒトなのだと、心の動き方の描き方が実に生々しい。
最終的に決まった新教皇もまさかの生い立ちであり、本作が閉鎖された世界に対しての多様性や変革を唱えているのがよくわかる作品だった。
反面、外の世界へ出たがっていた主人公は結局のところ教会という枠の中から出られないというのが演技と演出だけでよく描かれている。
どこを切り取っても絵になるアングル、シーンひとつひとつとっても意思と意図をもって組み込んでいるのを感じる良作だ。
と、ここまでしっかりしたレビューを書いておいて一つだけ残念なことがある。
私個人に言えることなのだが、人の顔と名前を一致させるのが苦手な人にとって、誰が誰だか理解するのが時間がかかる(苦笑) 誰が票を得たかが中盤くらいになるまでわからず困惑していた。自分のデメリットスキルがまさかこんなところで…と、少々悔しく思った。
相関図片手に観る
うまい、けど
世界規模の宗教集団の舵取り
宗教集団もこれだけの規模になるとトップ人事には政治が働く。本作では改革派VS保守派の綱引きがドラマチックに描かれていて惹きつけられた。あっと驚き、考えさせられるラストまで含めてとても面白かった。
選挙期間中も心労の絶えなかった主人公の首席枢機卿だが、やっと決まったと思ったラストで史上最大の秘密を抱えなければならなくなったのが気の毒…。
久しぶりに見たイザベル・アジャーニさんも良い仕事をされていた^^
教皇は8手先を読む
どこをとっても美しい絵画のよう。
ストーリーも面白いし、分かりやすい。
伏線回収も見事。
途中、ローレンスが自分の名前を書いて投票するところで屋根が崩れ落ちてきたのは笑った。教皇、怒ってんぞ。そうじゃないだろって。
教皇は何もかもお見通しだったんだろうな。
最後、ローレンスが葛藤するところでは
(頑張れ、乗り越えろ)
と祈ってしまった。
フィクションだから最後、いい感じに収まったけど、現実ならテデスコにもってかれるやろな。
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