教皇選挙のレビュー・感想・評価
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野心とは、聖職を蝕む力
鑑賞後、本当のコンクラーベが行われることになって戸惑った。この映画の世界がこれから始まることに、不謹慎ながら興味がわいた。
汚れのない候補者などいない選挙。聖職者が集まりながらも、そこで行われる政治的駆け引き。陰謀、偽善、中傷、欲望、、、。やはりそこは人間が生きる世界なのだな。
その気がないのに勘ぐられ、祭り上げられそうにりながらも、おそらく物事の行く末は無難は結末へと落ち着くのであろうと思われた先にたどり着くどんでん返しのような驚き。昨今の"多様性"という括りでは処理しきれないような、どこか闇をも含む結末。キリスト教社会で育っていないので、おそらくいろんなメッセージは見落としているのだろうが、それでも十分興奮できた。
8手先を読む教皇〜多様性の時代の宗教
2024(日本は2025)年公開、アメリカ・イギリス映画。
【監督】:エドワード・ベルガー
【脚本】:ピーター・ストローハン
【原作】:ロバート・ハリス〜『教皇選挙』
主な配役
【ローレンス枢機卿】:レイフ・ファインズ
【ベリーニ枢機卿】:スタンリー・トゥッチ
【トランブレ枢機卿】:ジョン・リスゴー
【ベニテス枢機卿】:カルロス・ディエス
【アデイエミ枢機卿】:ルシアン・ムサマティ
アカデミー賞8部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した。
1.聖職者も人
コンクラーベのために世界各地から枢機卿がバチカンに集う。
喫煙者も多く、吸い殻が地面に放置されている。
ピンク色(だったと思う)の派手なケースに入れたスマホをいじる枢機卿もいる。
世俗にどっぷり染まった聖職者を表現している。
立原正秋の小説に出てきそうな連中だ。
教皇になるための多数派工作も、実に生々しい。
2.多様性とカソリック
同性愛、中絶などに厳しい姿勢なのがカソリックであり、保守ど真ん中のイメージを持っていたが、
近年は変化しているようだ。
この映画を観て学んだ。
3.8手先を読む前教皇
チェスを趣味としていたらしい前教皇。
先を読んだ仕掛けを多数残していた。
4.キャスティングとストーリー
権謀術数うずまくコンクラーベ。
シスターアグネス含め、主要な枢機卿たちのキャスティングが素晴らしい。
本作がどれほど原作に忠実かは分からないが、
◆教皇候補者の足の引っ張り合い
◆異教徒のテロ
◆多様性への対応
◆栄達欲
をうまく散りばめ130分に納めた。
教皇になったら「ヨハネ」を名乗る、と宣言したシーンは人間そのものだった。
素晴らしいワンシーン。
5.まとめ
よく出来た映画。
だが、見終えた後、スッキリしたり、
元気になったりすることはない。
☆3.5
寛容の正しさを“確信”するという不寛容
正直、この映画が終始一貫して主張する多様性だの寛容さだのは、実際に政治的文脈で昨今主張する人々が徹底して無視する巨大な矛盾から全く不自由で、正直失笑モノだと思ってます。
多様性を主張するほどに「多様性こそ唯一絶対の正義である」という画一的な思想が強要されるし、寛容さを声高に主張する人ほど「不寛容な(と自らが思う)主張に対しては驚くほど寛容でない」矛盾に無自覚だったりする。
平和平和と無闇に連呼する人に限って、自らの主張を通さんとする時には、平気で暴力的手段へ訴えるのに似た、なんとも堂々たる自己矛盾。
要するに自分とお仲間達だけを一段上に置いて、下へ向けて垂れる寝言に過ぎないと思っちゃうんですよね、ぶっちゃけ。
ただ、まあそれは別にいい。
映画なんだから。ハリウッドのおハイソな人達は変わらないなぁって思うだけ。
とにかく、この映画は「高級と娯楽」を両立した素晴らしい映画だった。
相変わらず主にテレビ屋さんの支配する日本の映画に置き換えては絶対に考えられない、画面の高齢化。男たちの顔面に刻まれた深い皺が画面を埋め尽くすシルバー映画!
だが、なんと贅沢で豊かな絵面だろうと思った。
まあ世界最高位の聖職者たち(腹の中がどれだけ黒くても!)が一堂に会するイベントを描く訳だから、建物も衣装もやっぱり尋常じゃなく美しい訳で。
音楽も主張し過ぎず、むしろ登場人物達の履く(おそらくとんでもなく高級な?)靴が磨き上げられた教会の床を鳴らすコツコツという音が非常に印象的だった。
で、その道具立てを使って繰り広げられるドロッドロの政治劇。主役のローレンス枢機卿の、生真面目な調停者でありながら、誰を通したいという明確な意思を持ちつつ、しかしできるだけ公正でありたい...という揺れるキャラクターがいい。
それぞれの有力な枢機卿達のキャラクターも良く立ってるし、名探偵の助手君がまた絶妙なテンポで新情報を耳打ちしてくれるもんだから飽きる暇もない!
「俺は今映画を観てるんだ〜」という気分に毎秒浸れる重厚なルック(昨今貴重!)で面白い事をドゥンドゥンやってくれるんだから最高に決まってる。
何気にさりげなくディテールの細かい描写で、どこまでがホントなのかは知らないけど(パンフ売り切れの為...)、カトリック総本山での高位聖職者の生活や、勿論コンクラーヴェの進め方もヘェーと興味満点で楽しめる。
残念なのはオチかなぁ。まぁこれがやりたかったんだろうなとは思うけど、正直「ふむ。で、だから何?」感が否めなかった。蛇足だったんじゃないかなぁ。主張としてはともかく映画としては。
あんなんを最後のドンデン返しにするぐらいなら「犯人はヤス」オチで良かったんじゃないか。(ぶっちゃけ少し疑ってた。お話に奉仕して便利使いされ過ぎだし。)
マジメな話、密室での宣誓の場面をカットして誰が選ばれたか(まああの時点では大体読めてるけど)をぼやかしたまま進めて、最後にバルコニーから広場の信徒達に向けて、新教皇が一席ぶつ、というラストならもうちょい茶番感も薄れて普通に感動できたと思うな。
実際の選挙は5月7日
ネタバレ厳禁
坊主巡り
この映画が制作されていた時には想定だにしていなかったはずだが、先月のフランシスコ教皇の死によってにわかにコンテンポラリーな話題となった本作。いわんや原作は2016年に書かれているので、当時は教皇が積極的に世界各国を歴訪していた最中だった。
実際の教皇選挙がこの映画で描かれたような権謀術数渦巻くものなのかは定かでないが、重厚な語り口と出演者たちの入魂の演技によって、見ごたえのある作品となった。
レイフ・ファインズも還暦を過ぎたが、相変わらずいい役者だと感心する。「シンドラーのリスト」で善人を演じた人は今やすっかりアクション俳優のイメージになったが、片や悪人役だったファインズは芸歴を積み重ねて名優の名にふさわしい存在となった。数々の出演作を見てきて、(シアターライヴで見た「人と超人」も渋かったが)何と言っても「レッド・ドラゴン」のダラハイド役が強烈な印象を残す。
「薔薇の名前」と違って、殺人などの血なまぐさい事件は特に起こらないが、投票の経過そのものが十分スリリングだ。ロマン・ポランスキーの映画の脚本や原作にもクレジットされているロバート・ハリスは基本的にミステリー寄りの人らしく、本作でもいくつかのツイストを効かせているが、finishing strokeはもっとインパクトが欲しかったところ。
煙突から出る黒い煙と白い煙。白い煙を見せなかったのはなぜ?当たり前のように黒澤明の「天国と地獄」の赤い煙も思い出した。
旧教皇は八手先を読む
おいめっちゃ面白いぞ
こんな皮肉きかせた映画作っちゃって実際の教会に怒られないのかな
私は宗教に無知で何も背景も設定も良く知らないまま見た。
公式サイトがネタバレページを用意してくれて、用語解説をしているのありがたすぎる!
ずっと、女性に生まれただけで同じ信仰をもっとシスターが無視されている、裏方の存在なことにモヤモヤしながら見続けていた。
男性中心・白人中心の世界に疑問を投げまくった末の、痺れる結末。
予想していなかった。
そうか、旧教皇は八手先を読むお方なんだもんな。
それにしてもインノケンティウスと名乗った意味を知りたい。。。ググってもよくわからなかった...
→公式サイトに解説があった!
「ベルガー監督はこの名を「先入観のない純粋さを表す名」と語っている。」(公式サイトより引用)
ビジュアルもこだわられていて、終始絵が綺麗だったのも惹き込まれる理由の一つだった。
個人的に、ベリーニ役の俳優さんは「プラダを着た悪魔」で知っているので、ずっとその役のゲイに見えてしまった
開けてビックリ教皇候補不祥事ビックリ箱
天井の穴から風がそよぐ
歴史と伝統は無意味なのか
教皇とは、266代・故フランシスコ教皇に至るまで約2,000年続いてきた、世界でも稀なThe宗教指導者です。
歴史が長いと往々にして色々な問題や腐敗に見舞われるのが、『組織』というものです。
ご多分にもれず、特に中世においてはローマ・カトリックも様々な闇がありました。
ガリレオ裁判や十字軍や贖宥状など、無知のゆえか特権階級の私欲の故か、様々な闇に飲み込まれそうになってきました。
しかし、2,000年の長きに渡って消滅せずに連綿と歴史を刻んで来たということは、やはり何らかの霊的な役割が、人知を超えた偉大な存在から与えられている明かしではないかと、認めざるをえません。
皮肉屋からすれば、それは裏で国家権力と手を結んでお互いの利益を融通し合ってきたからでしょ?と、言うかもしれませんが、組織の上層部はそうかもしれませんが、末端では信仰と赤貧と無私に、朴訥に生きた聖職者がいたからこそ、でありましょう。
この映画は、恐らくそういったカトリックの良心のような市井の聖職者をよく知らない人達が作っているのではないかなあと、思いました。
教皇に推されるような枢機卿という人々の中には、もしかしたら映画で描かれている様な権力欲旺盛な方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的に聖職者である時点で既に無私の祈りの人なのであります。
聖職者は、自分の人間的な成功や私欲を捨て神さまや信徒の為に働く、基本的にはそう言う人でなければ、早々にボロがでてドロップアウトするしかないのであります。
確かにドロドロした権力闘争のようなものは、ある程度あるでしょうが、あんまりそこを面白おかしくスポットライトを当てるのは、真面目で朴訥な聖職者の方々に失礼かなと思います。
また映画では、新教皇にある秘密を持った枢機卿が選ばれます。確かに新しく教皇になったら、改革してくれそうな予感を感じさせます。
しかし。ん~どうなんでしょうか。
その秘密を明かして堂々と選挙で選ばれたら良かったと思いますが、秘密のままで選ばれ・受託してしまいます。
本人としては何も悪いことではなく、やましい所は無い、ということなのでしょうが、周りの人はそれを知っていたなら選ばなかったでしょう。
新しい事を始めるとか、改革するというのはとても大事な事ですが、そう言う時こそ関わる人達のコンセンサスを得る事が重要になるのです。
もしかしたら、20から50年後あるいはもっと先に、秘密にしなくても問題にならない時が来るかもしれませんが、今回選ばれたあの時は秘密を明らかにして、それでも良いですか?と聞くべきであったろうと思う。
それならダメです。と、いう事であれば、それこそ秘密は秘密にしておいて、教皇の側近になって働いてもらう、と言うことでも十分力と存在意義を発揮できることでしょう。どうしても教皇でなければ改革出来ない訳では無いでしょう。
最後に枢機卿長が、礼拝堂で亀に遭遇します。亀は恐らく男性の隠喩なのでしょうが、亀をそっと池に戻します。
歴史と伝統は、破壊しなければ改革できないかもしれません。しかし、簡単・安易に破壊してはいけない物もあるのです。一旦破壊したら簡単に元には戻せず、多くの場合二度と元には戻りません。
遅遅として進まないように見える改革も、性急過ぎては事を仕損じるのではないでしょうか。
亀は優雅に池を泳ぐでしょう。それが吉と出るか凶と出るか、それはこれからの歴史が証明する事になるのでは無いでしょうか。
映画ではなく現実世界のコンクラーベは、つつがなくしっかりとした地に足の着いた結果になる事を願って止みません。
Thank's, all Cast and Staff ! :‑D
眠てえ作品でした
宗教に興味がなくても、ミステリー映画として楽しめる
フランシス教皇の死去に伴うコンクラーベが迫っていることも影響しているのか口コミか、田舎のシネコンでも上映が始まったので観てきました。連休中ということもあるでしょうが、お客さんもまあまあ多かったですね。
100人以上の年寄りの男性が集まって(女性は蚊帳の外!)、密室で3分の2以上の得票者が集まるまで日を改めて選挙を続けるという、画面から加齢臭が漂ってきそうな感じなのですが、票を集める駆け引きや陰謀がうごめき、宗教に興味がなくてもミステリー作品として楽しめます。
前評判が非常によいので、期待しすぎる悪い癖が出たので、思ったほどではなかったので、採点は厳しめです。
レイフ・ファインズも歳を取ったなぁと思ってみていましたが、今調べたら62歳だったので、老けメイクだったのかな…
眠みに負けました
ああ…なるほどそうきたか!
最後にどんでん返しがあるとの情報を持っての鑑賞。
おお!そうきましたか。
今の時代らしいね。
皇帝選挙は、ホント権力欲のためのいろいろ、ドロドロ
だけど、そこは想定の範囲。
途中、ちょっと眠気も💦
だけど賞を取るに相応しい作品ですね。
まさにタイムリー
2025年5月7日からコンクラーベが始まるらしいことで、そんなタイミングで鑑賞できてよかったです。
正直知らないことばかりで、他の方が言う、次々に色んな事が起る極上のミステリーって感じはしませんでした。作品の素晴らしさは理解できるものの、私自身の無知さからか何が起こっても「そういうものなんだ、、」と受け入れてしまい、あまりミステリーを見ているようには感じませんでした。
オチもカトリック教界隈ではとんでもない事なのかもしれませんが、「なるほど、そうなのか、、」と思って見てしまいました。よかっただけに、演出もそういうことならもう少し上手い見せ方もあったんじゃ?と思ってしまいました。
しかし、バチカンの歴史に裏打ちされた厳かな雰囲気や、衣装、なによりレイフ・ファインズの演技は素晴らしくオスカーでもよかったと思いました。(シャラメもよかったですけど。)
全650件中、61~80件目を表示
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