教皇選挙のレビュー・感想・評価
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アカデミー賞コンクラーベならば
ローマ法王死後の次期教皇を選ぶ選挙(コンクラーベ)における錯綜する権力欲や権謀術数を描いた物語です。女性聖職者を認め、他の宗教へも理解を深め、同性婚にも向き合おうとする改革派と、これまでのカトリックの伝統を守ろうとする保守派との対立は、現実のバチカンを反映しているとも言われています。
計算し尽くされたカメラがとにかく素晴らしく、緩む事のない物語の緊張感も抜群でした。そして、終盤の急展開も、M・ナイト・シャマラン的な単に驚かす為の仕掛けではなく、テーマを貫く強い主張と感じられて胸を揺さぶられました。
「アカデミー賞コンクラーベ」に投票するなら、『アノーラ』より本作だな。でも、本当は『名もなき者』だけど。
ローマ教皇を選ぶ選挙コンクラーベ。 今まで観ることのできなかったこ...
中々の傑作ミステリーで主人公を演じたレイフ・ファインズも他の主要人...
中々の傑作ミステリーで主人公を演じたレイフ・ファインズも他の主要人物の数人も名演技でずっと緊張感が続く。私はテデスコ枢機卿を演じたセルジオ・カステリットの演技もファインズと同等に良かったと思った。
確かにミステリー要素も楽しめるが、映画全体の日本離れした世界観が良く、巨大なセットが美しく音楽の "途切れ方" とかも良かった。
観てて途中「多分◯◯が実は◯◯だろう」と予想したが見事に外れた。
事前の勉強は不要だが、世界でおよそ14億人の信者を抱えるローマ・カトリック教会のトップで「神の代理人」ともいわれる存在のローマ教皇(今はローマ法王とは言わない)のフランシスコ(来日もした)について調べとくのは良いと思います。
後、煙突の煙の意味とか。
※2025年現在 カトリック教徒14億人の頂点のローマ教皇はフランシスコ (第266代)でベルゴリオ枢機卿が2013年に教皇となった。
前教皇のベネディクト16世が2013年2月28日をもって辞任したことを受け、その後継を選ぶために同年3月12日より実施されたコンクラーヴェにおいて、翌3月13日、新教皇の選挙権を持つ80歳未満の枢機卿115名による5回目の投票で新教皇に選出されたらしい。
2023年 フランシスコ教皇は「司祭が同性カップルに祝福を与えることを許可する」と発表もしており 性的マイノリティー(LGBT)のカトリック教徒にとって、大きな前進となった寛大なお方。
追記↓
2025年5月のコンクラーベ(4回目の投票)で選ばれたプレボスト枢機卿は新教皇レオ14世と名乗る(Léon XIV)。前フランシスコから枢機卿として任命され、側近となった方。第267代教皇ロバート・プレボストはアメリカ出身の初めての教皇であり、1955年シカゴ生まれの69才、母はスペイン人、父はフランスとイタリアの血を引いている。
画作りが美しい
地位 名誉 権力 聖職
美しい映像でした。スクリーンいっぱいに白い傘と赤い上着のシーンは圧巻でしたね。
聖職者と言えども人を貶める、宗教戦争だと仕掛ける、買収する票を買う。
誰の為に、何の為に教皇になりたいのか?
本当にこんな人達なの?って感じでした。
そんな中で話の中心となるローレンス枢機卿の誠実さが際立っていました。
私が会社員として過ごして来たこれまでで、彼のような仕事ぶりを目指していたなぁと思い返しました。出来てませんけどね。
教皇選挙が終わった後のエピソードは蛇足かなとも思いますが、ビックリ!驚きと困惑のラストでした。
そしてラストの修道女3人が重苦しい選挙から解放されて楽しそうにシスティーナ礼拝堂から出てくるシーンが印象的でした。
戦う相手
コンクラーベをテーマにしたミステリーということで、予告からずっと気になっていた本作。期待をこめて公開初日の朝イチで鑑賞してきました。中高年を中心に予想以上の客入りで、みなさんの関心の高さがうかがえます。序盤こそ登場人物の多さに圧倒されて混乱しかけましたが、しだいに整理され、関係性が把握できてからはストーリーに没入でき、楽しめました。
ストーリーは、キリスト教最大教派カトリック教会の最高指導者・ローマ教皇が亡くなり、後任を決める教皇選挙「コンクラーベ」が行われることになり、世界中から100人以上の候補者が集まる中、システィーナ礼拝堂で極秘裏に行われる投票を執り仕切るローレンス枢機卿が、投票の裏で進められる陰謀に気づき、その真相に迫っていくというもの。
その名前と目的だけは知っていましたが、具体的なことは何も知らなかった「コンクラーベ」。本作では、それがどのように進められているのかが描かれ、大変興味深かったです。もちろんそれがどこまで現実のとおりかはわかりませんが、古くからのしきたりにのっとり、細かな手続きを経て、厳粛に進められていることは伝わってきます。
本作では、新教皇の座をめぐる水面下の駆け引き、騙し合い、票集めの取り込み、スキャンダル探し、裏工作によるライバル潰し等を、疑心暗鬼のミステリー仕立てで描いている点におもしろさがあります。まるで汚い政治の世界を見るような既視感にげんなりしますが、神に仕える聖職者でさえこのありさまなのかと、人間の醜い本質を浮き彫りにしているようで、いっそ清々しいです。
物語の後半、繰り返される投票と明かされる真実によって、しだいに候補者が消え、折から発生していた爆弾テロが教会にまで及ぶに至り、ローレンスたちにとって最も忌むべき相手テデスコが最有力候補として浮上してしまいます。いよいよ宗教戦争を覚悟すべきかと情勢が傾きかけたところで、ある人物によってもっと大切なことに気づかされます。我々が戦う相手は、ライバル候補者なのか、他宗教なのか、それとも…。
長いコンクラーベの末、ようやく皆が納得する新教皇が決定しますが、その後に用意されたどんでん返しが鮮烈です。古きよき伝統としきたりは、時に大切なものを見誤らせることにならないか、信仰に最も大切なものは何なのかと、観客にメッセージを叩きつけているかのようです。ラストでローレンスが拾い上げたカメは、実直なローレンスに後を託し、よりよき信仰を求めて変化を恐れず、歩みは遅くとも前に進むことを目指そうとした前教皇の姿と重なり、味わい深いです。
静かに展開するストーリーにやや眠気を誘われる部分もありますが、じりじりと真相に迫る展開に浸れれば、最後まで楽しめる本作。大人の知的好奇心を刺激し、それに見事に応える良作だと感じます。
主演はレイフ・ファインズで、コンクラーベの裏で奔走し、揺れ動くローレンスを好演しています。脇を固めるのは、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、カルロス・ディエス、セルジオ・カステリット、イザベラ・ロッセリーニら。第97回アカデミー賞で作品、主演男優、助演女優、脚色など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞。
周囲は絶賛していますが、背景を思うと…
<致命的なネタバレを含みます>
映像をはじめ演出がとても美しく、俳優陣の迫力もとてもよかった。
ミステリーとしてもよくできているし、心理戦も素晴らしかった。
でも私はこれを手放しで人に薦めようという気持ちには、
今のところまだなっていません。
以下、これをご覧になっている方はすでに鑑賞済みという前提で書きます。
最後に選出された人についてはその人となりや属性から、
「希望が見いだせる」「よかった」という声が感想として多く聞こえてきました。
ですが、私はどうしても空しく悔しい気持ちが大きかったのです。
最後に仕切役が頭を抱えるその姿から私の耳に聞こえてきたのは
「ああなんということだ」という悲嘆でした。
本作の肝となる人物は、前教皇の進言に寸前のところで思いとどまりました。
その姿で今後に臨むことが本作の明るい未来なのだ、
きっとそう印象付けられているのだと思います。
しかしながら、おそらくその人物に対して見る目が変わってしまった仕切役の心、
あくまで秘密が明かされぬまま任務を遂行するであろう未来、
(仮に明かしたとすれば命すら脅かされないであろう現実)
これを思うと、なんとも居たたまれない気持ちになりました。
2025年、教皇庁の主要な役職に女性が就いたそうです。
ですが、これまでどれだけ優れていてもその座に就くことが叶わなかった人たち、
「見えないものとされた(今もなおされている)」人たちのことを思うと、
なんとも歯がゆい気持ちが残ります。
おそらくキリスト教、カトリックの世界を知っている人たちと、
私たちのようにキリスト教の普及率がそれほど高くない地域の人では、
この映画に対する感想も異なってくるのだと思います。
それはおそらく映画に造詣の深い男性なのか、
特に映画鑑賞を趣味としない女性なのか、
個人個人の背景によって着目するところが違うでしょうし、
各々にどのようなバックグラウンドがあるかによっても、
捉え方が変わってくるのではないでしょうか。
そのような意味で私は中央の点数をつけました。
声に出さないだけで、同じような思いを抱いた誰かと共有したくて。
なお、メタファーとしての亀やカナリアは膝を叩いた。
シスターが
音響がすごい
満席の劇場で鑑賞。
若い美男美女はいっさい出て来ず、かわりにいい顔のおじさんおばさんがいっぱい出て来て見ごたえある!
実際のコンクラーヴェにどれぐらい忠実なのかわかりませんが、今日どんな組織でも保守(伝統重視)とリベラル(多様性重視)が争っていることが描かれた現代的なストーリーでした。
音楽だけでなく、どうやって録音してるのか息づかいとかちょっとした物音が「ここまで強調しなくても?」というぐらいデカくて、サスペンスが否応にも盛り上がります。
投票の途中で聖堂が爆破(予告編にも出てくる)はちょっとやりすぎと思いましたが…
レイフ・ファインズ(内心の苦悩を静かに表すすばらしい演技!)はじめリベラル派枢機卿たちは多様性を称揚するが全員男性で、男たちの権謀術数のかげで料理とかを準備するのは全員女性、という非対称性がこれでもかと描かれなんだかなあと思っていたら、最後そう来たか! このエンディングはカソリックのあいだで賛否が分かれそう。個人的には、貧しいものは幸いなりというキリスト教の教えにもかなったものだという気がしましたが。
サスペンス・ミステリーとしてもとても面白いです。
候補者たちも人間なり。
パワーゲームと最後の展開が秀逸
小難しい内容かと思いきや、お話は「白い巨塔」のようなパワーゲーム。テンポも良く、最後の展開には唸ってしまいました。勘の良い人は読めるのかもしれませんが、私は「そうきたか」と興奮しました。オススメです。
宗教映画で最もパンキッシュな作品
普通に面白い お金のかかった一級のミステリー作品
コンクラーベ(教皇選挙)は『ダ・ヴィンチ・コード』に代表するダン・ブラウンさんの小説で概要は知っていましたが、当然ながらその内部や状況を垣間見ることはできないので、本作はとても興味深かったです
しかも選挙の候補者がそれぞれ都合の悪い黒歴史や事情があったりして、予想を超えた展開が次々に起こるストーリーが秀逸、広義の意味で閉じられた空間で起こるシチュエーションものなんだけど、目が離せず始めから終わりまで飽きることなく楽しめました
そんなサスペンスフルな作品を盛り上げるのがヴァイオリンなどでの素晴らしい音楽、そして重厚で格調高い映像美
そんな本作、先日の第97回アカデミー賞でも8部門にノミネートされるのも頷けますし、特に主演男優賞にノミネートされたレイフ・ファインズさんの演技が見ごたえがあり、とても良かったです
バチカン市国の国家元首
まさか!!システィーナ礼拝堂爆破!?
ミケランジェロの天井画は大丈夫なのか!
というところが一番ビックリでした。
が、あれは破片か何かがガラス窓を壊しただけで済んだようなので安心しました。
バチカン市国は歴(れっき)とした独立国家なので、CIAのように情報収集する組織もあるのですね。世界各国に散らばっている枢機卿の中には大使のような方、スパイのような方もいて、場合によってはローマ教皇の指示の下、ゴルゴ13に要人暗殺を依頼してたりして。
ラストでは、順位も入れ替わるほどの二度目のビックリ!!
投票用紙を燃やした煙突の煙によって、新教皇決定を一般市民へ知らせるまであと一時間。
というタイミングで、そうきたかっ!、と思わず膝を打った人も多いはず。
アノーラ同様、ラストで一気に心を掻っ攫っていくパターン。お見事です。
ミステリーとして静かに物語は迷走していく
映画の雰囲気や曲が重厚で、私は凄く好きな映画になりました。
とても面白かった。
もっとドタバタと展開する映画かと思っていたけれど、ミステリーとして静かに物語は迷走していく。
山場が来たと思っても、土俵際で二枚腰で粘られて、最後はすくい投げで決められる、みたいな感じ。
何となく思っていた予定調和を最後まで覆される心地よさが残りました。
タイトルなし(ネタバレ)
こちらの方がアカデミー賞に相応しい、なんて感想を見る度になんか保守的な映画の見方してるのではとか思ってましたが、実際観てみると現代世界のアクチュアルな問題を描いてるし、選挙の駆け引きもエンターテイメントとして面白いしとんでもない傑作でした。
アカデミー賞は尖った映画にはとりあえず脚本(脚色)賞だけあげとけて傾向はありますが、この映画もそんな感じの扱いされたのかもしれません。
※以下、ネタバレになるかもしれない余談
30年くらい前、コンクラーベて名前の競走馬がいたのですが、牝馬にこの名前つけるとは先見の明があったのかもしれません。
チャップリン「独裁者」を思い出した。
メッセージ性が強い作品でした。
トランプを想起させる教皇候補者の説教に
反対した弱者の説教には、
チャップリンの「独裁者」を思い出した。
米国での公開が昨年10月でしたが、
あと半年公開が早かったら、米国大統領選挙も変わったかも
と思わせる作品で、知性の高い方にはお薦めです。
他国性企業で働いていた私ですが、
キリスト教団体も、同じ多国籍組織なんだと感じた。
「多様性」が企業文化を支えている。
その多様性がトランプにより否定されている昨今、
当該作品の最後の何気ない女の子達の映像に
将来への希望を感じたのは私だけではあるまい。
トランプが何をしようとも、
世の中は確実に「変化」しているのだ。
PS : 正論を貫き通してきた主人公、皆が望むなら、
教皇になってもいいかと思った時、
なんと、女差別をしている自分に気が付き愕然とする。
自分が思っている以上に、世の中は進化していたんだと気が付く。
その気持ちを「亀」と「女の子」が表現していた。
Michi
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