教皇選挙のレビュー・感想・評価
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おじさん集団
シンプルな作品でしたが、ラストが意外でした。リアルではまだまだできなそうですが、作品中では現代にアップデートできてたバチカン。あと男性優位とかおじいさん・おじさんだけの集団って本当気持ち悪いですね。ある意味、今の日本の権力中枢みたいでした。服装が違うだけで。
教皇選挙(映画の記憶2025/3/21)
120分一本勝負の緊張感との根比べ。
ということで何やらリアルでも教皇の体調不良報道があったこの作品を観に。作り話をうまく作り上げたある意味シミュレーションストーリーだよね。
まぁ真面目な作品苦手な人にはオススメはしない。
主演のレイフ・ファインズの鼻息まで演技が凄かったな。あえて音大きめに録ってた。
息遣いで緊張感を演出するのは色々あるけど、かなりの高感度マイクで集音してたに違いない。
ホラーのハァハァ感じゃなく、緊張のフーン、、、みたいなの。(伝わらないかもしれんから観た人が察してくれたらいいw)
ストーリーはほぼ読めてしまったので、あれだったが、最後に爆弾しかけおったな。
映画業界的に何でも話をそっちにもってきたがるのもそろそろやめてほしいものだ、、、
(個人的評価6点/10点中)
根比ーべ
聖職者の戦争。興味深い異文化体験
コンクラーベの室内に風が流れる
静やかで、息遣いや老眼鏡をかける音などが大きく感じるような空間だった。それは厳かであり、排他的でもあった。
そこに、小さな風が吹く。完全に閉じているはずのコンクラーベに、風穴が空いた描写は、宗教性を感じた。
しかしこの作品は、見る人によって感想が大きく変わりそうだと感じた。
敬虔あるいはそうではなくともクリスチャンが文化や思想に根付いてる人と、そうでない人でも違うだろう。またこの作品のバランスは、保守もリベラルもどちらも評価しづらそうだな、と感じた。昨今のその手の目線で評論しなければならない立場の人ほど、評価をすることをし難いのかもしれない。正直、クリスチャンが文化思想に根付いておらず、中庸な人の方が色んなものに引きずられずに最もこの作品を楽しめるのではないか、とすら感じた。
私の目線では、聖職者の枠を超えるような悪がいるわけではなく、しかし否定したいようなことはそっと否定され、否定したくないものはちゃんとそこに在って、何か大きな改革が起きた訳ではなく、しかし少しだけ窓が空いた気がしなくもない。一貫した温度感と質感が、とても良い作品だった。
ミケランジェロだって本当はやりたくなかった
ローマ・カトリックのトップ(教皇)を選出するための会合(コンクラーベ)を舞台にした小説の映画化。
教皇からの信任厚く、他の枢機卿からも一目置かれるトマス・ローレンス主席枢機卿(猊下と呼ばれていたけど、教皇は何て呼ばれてるんだろう)。
上昇志向も権力欲もない彼は辞任を申し出るも許されず、教皇の急死によって開かれるコンクラーベを自分が執り仕切ることに。
コンクラーベの会場はシスティーナ礼拝堂。有名な祭壇画『最後の審判』が映し出されるが、焦点は合っていない。
設営する神父を見上げるようなアングルでカメラが旋回するが、決して他の天井画を捉えない。あとで考えると、閉鎖性、秘匿性の高いカトリックの暗喩にもみえる。
コンクラーベは上位得票者による決選投票などなく、誰かが有効得票に達するまで延々繰り返されるという、冗談みたいだがまさしく根競べ。
決着がつかずに焦燥感を募らせるトマスは『最後の審判』にたびたび視線を向けるが、彼の主観で映し出されるのは荘厳に描かれたイエス再臨や美しい聖母ではなく、苦悶する人間を地獄へと引き摺り込もうとする醜怪な悪魔。
神に最も近い場所に仕えながら、他人を蹴落としてでも玉座を勝ち取ろうとする聖職者の内面を象徴しているかのよう。
ある媒体によると、原作者はフランシスコ現教皇選任の際のコンクラーベから想を得て起稿したそうだが、シチュエーションはどちらかといえばヨハネ・パウロ二世の時の方に近い(現教皇の前任は生前退位)。
有力候補が次々と脱落するなか、トマスはリベラル派の仲間から教皇になるよう促され「自分はジョン(ヨハネ)を名乗る」と決意する(因みに、英語圏でのヨハネ・パウロ二世の呼び方はジョン・ポール・セカンド)。
しかし、物語は予想外の結末に…。
急逝した前教皇の人間性やポリシーが不明なので、個人的にはいろいろ邪推したくなる。
対抗馬のアディエミと関係を持った修道女を呼び寄せたトランブレは、前教皇の指示だったと主張し、前教皇が彼を解任しようとした理由もほかにあることが発覚。でも亡くなった前教皇から証言を得られる訳もなく、真相は藪の中。
もし本当にアディエミの教皇就任を阻みたい意向を前教皇が持っていたとすれば、それはスキャンダルゆえなのか、それとも有色人種だからか。
メキシコ出身のベニテスの容貌はメスティーソ(白人との混血)というより、純粋な先住民に近い。
しかも彼の場合、非白人というだけでなく、身体の特異性は厳格なカトリックの立場からみればキメラ(怪物)のようなもの。
彼に紛争地ばかり担当させていたのは、バチカンから遠ざけたかっただけ?それとも、偶発的な排除を期待していたから?!
現実のバチカンも保守派とリベラル派のせめぎ合いが厳しいと聞く。
そんな中、リベラル派の現教皇は健康が不安視され、本当にコンクラーベが開催される可能性もかなり濃厚。
次はどんな人物が教皇の座に着くのか。
システィーナ礼拝堂の天井画や祭壇画を製作したミケランジェロは彫刻家としての自負が強く、絵画至上主義のダ・ヴィンチと対立した話は有名。
礼拝堂の絵画も当時の教皇に無理強いされてやむを得ず引き受けている。
作中のトマスもベニテスも本来なら教皇になりたくなかった人物。そのことを踏まえると、どんな人物が教皇にふさわしいかは、システィーナ礼拝堂自体が示唆しているように思えてくる。
ほぼ対話だけで成立する120分の映画を、熟練の俳優陣が弛緩なく見せてくれる。
予備知識がなくても十分堪能できる作品。
■追記■
猊下は本来、仏教用語で、日本なら座主や管長といったトップ中のトップにしか使われない敬称。
NO.2のトマスが猊下と呼ばれていることに違和感があったので、調べてみたら教皇には「聖下」という特別な敬称が用いられるのが一般的とのことでした。
シンプルイズベスト
原作者のロバート・ハリスはNetflix配給「2人のローマ教皇」で描かれた2013の教皇選挙にインスパイアされたフィクションだそうで、同じくNetflix配給「西部戦線異常なし」のエドワード・ベルガー監督が手掛けたということで国境のないNetflixだからこそ描けたかような教皇選挙の舞台裏を短期間で2本も観れて本作で本当にお腹いっぱいになれました。
脚本を手掛けたのは2重スパイを暴く難解映画「裏切りのサーカス」の脚本家ピーター・ストローハーン。本作「教皇選挙」でアカデミー脚色賞を受賞!
「裏切りのサーカス」でも会議室という閉ざされた部屋の中で、2重スパイをどう暴いていくかという濃密な密室劇だったのに対し、本作でもやはり選挙が行なわれるシスティーナ礼拝堂という隔離された空間の中でのサスペンスとなっている。
礼拝堂から一歩も出ない。聖職者以外は一切出てこない。色もモノトーンと赤のみという徹底したミニマルなつくりで(差し色に教皇の指輪の純金"金色"をタイトルに使用。)とにかくデザインが洗練されていてカッコいい。
後半、いざローレンスが教皇に選ばれるか?!というところで突如教会の高窓が爆破されるという事件が発生。選挙は仕切り直しになり、その間トランプ大統領的なレイシストであるテデスコ枢機卿にトドメを刺すベニテス枢機卿の感動的なスピーチにより選挙結果が覆ってしまう。
教皇の地位を望まぬものが選出されるように導かれるような、神の存在を薄っすらと感じさせるつくりになっていた。
ラストで前教皇の象徴でもあった亀を池に連れ戻すという描写は、引退してバチカンを去ろうとを考えていたローレンス枢機卿が結局は重大な秘密を抱える歴代教皇と同じような重荷を背負ってしまい、結局はバチカンから逃れられない。という描写だったと思います。
ローレンス枢機卿を演じたレイフ・ファインズをはじめとする役者陣の演技もよく、エッジの効いた音楽、ラストの衝撃展開など非の打ち所がない映画だった。
宗教に神は宿ってる?
うお!オモロ!!
オスカー本命だったのに取り逃がしたと聞き、でも面白いんでしょ?と、期待に劇場へ。
ふーん、厳格たる宗教界でもスキャンダルとかニュースで見た事有りますよ、少年少女への性加害とか、金銭搾取とか。
本作ソコにズバズバ切り込んで来る。
教皇とか、枢機卿と言っても、全く汚れて無い聖職者なんて居ないんでしょ?って。
スキャンダルの暴き合いに誰が勝利するのか?のドキドキミステリー。
意外なトコから意外な新情報も上乗せされたり、お前らは一体何を比べているんだ?
ここまでは金田一みたいに見られます。
エンタメミステリです。
結局、宗教ってやっぱ信頼出来ねーな、って思ってたらラスト30分に突如怒涛の展開!!
えっ!!!??てスクリーンにビビった唐突なシーンに、神は見ているぞ、と思わせる絵から本来有るべき神の教え、観客が感じてた宗教への胡散臭さを刺しに来る。
あれよあれよと、大どんでんシナリオ!
わ!凄えな、キリスト教も現代にアップデートしたぞ、ても、これは映画で原作は小説らしい。
ありゃ、やっぱ現実の宗教はまだアップデートしないんだな。
⭐︎3.4 / 5.0
『トマス・ローレンス』の憂鬱
一般の日本人が「CONCLAVE」についての知識を持ったのは
「CX」で放送された〔トリビアの泉~素晴らしきムダ知識~〕との認識。
2000年代前半のことか。
新教皇が決定されるまでの長々とした選挙プロセスが
日本語の「根競べ」の音と近いこともあり、
番組内でも随分とウケたと記憶。
が、もともとはラテン語の「鍵を掛けられる部屋」の意らしく、
こちらの方が本作の趣向には合っている。
ローマ教皇の死去に伴い新教皇を選出するための「コンクラーヴェ」は、
出席する枢機卿の2/3以上の票を得るまで繰り返される。
選挙結果が決まらない時にはシスティーナ礼拝堂の煙突から黒い煙が、
決まった時には白い煙が上がり、
バチカンに集った信者たちは(勿論、マスコミも)
それに一喜一憂する。
全世界でも13億人以上の信徒がいるカトリックの頂点に立つ
僅か120前後しかいない枢機卿(本作では109人)。
さぞかし高潔な人物ばかりだろうだろうとの考えは
残念ながら当たらない。
彼らが絡む性的虐待事件は過去から連綿と続いている。
もっともここで描かれるのは権謀術数の類。
自身が教皇となる野望のため、
他者を出し抜き陥れるのに邁進。
それもその下準備は、現教皇が存命のうちから始まる。
なんとなれば「コンクラーヴェ」の場には
電子器具は持ち込めず、周囲には
ジャミングまで施され、
外界とのコンタクトは一切絶たれてしまうから。
聖職者としての資質そのものに首を傾げる人物も多々。
狭い世界では買収や讒言い不正行為、
加えて人種差別からの白人至上主義、
第47代アメリカ大統領と同様にDEI否定と
枚挙にいとまなし。
そんな枢機卿たちを見渡し、
「コンクラーヴェ」を取り仕切る主席枢機卿の『ローレンス(レイフ・ファインズ)』は
できるだけ高潔な人物が選ばれるよう腐心する。
彼には新教皇となる野望はない。
勿論、仲間内に推しはいるものの、
それよりも、より適正な人物をとの思いの方が強い。
そうした彼らの動きを
「コップの中の嵐」で世界が見えていないと断じる
アフガニスタンのメキシコ人枢機卿『ベニテス』がいる。
彼は、新参者で若者。
しかし戦火を自らで経験しているだけに
言葉には真実の響きがある。
鑑賞者の心にも重く響く直截的な言葉だ。
閉鎖された空間でも
事件は起き、新たな事実が提示され
度毎に情勢は二転三転。
しかし新教皇選出へと
パワーゲームは次第に収斂して行くのだが、
明らかになるのは途轍もない事実。
保守派はおろか、リベラル派をも嘲笑う、
いや、教皇庁の組織そのものに
鋭いナイフですぱっと切り込む衝撃が。
この結末には、驚愕するしかない。
本作の原作者は『ロバート・ハリス』で、
『ロマン・ポランスキー』が映画化した
〔ゴーストライター(2010年)〕も彼によるもの。
{ポリティカル・フィクション}と{ミステリ}の両方を兼ね備えた秀作を
ものしたことに感心する。
これは面白かった。
神のみぞ知る最高権力のゆくえ
ローマ教皇は、全世界にいるカトリック教徒13億人のトップに立つ最高位聖職者(聖座)としての宗教上の権威と、バチカン市国の国家元首として国際法上の権威の両方を保持している。
この地球上でも類を見ない絶大な権力は、神からの天啓によって与えられる━━━
わけもなく、泣くし怒るしお酒も飲むし、今時紙巻きタバコを吸うようなおじさんの集団によって与えられるのである。
先に述べた権力の前には人間の信仰心など蟻のようなもので、崇高な理想の名を借りた、野心渦巻く戦いの火蓋が切って落とされる。
名優レイフ・ファインズ扮する“疑念のトマス”は、さて、“主に愛されしヨハネ”に成れるのか。
13億信徒の頂点に必要な才覚は、革新なのか伝統なのか、はたまた別の御業なのか。
緊迫の2時間は、間違いなく最高の2時間だった。
コンクラーベで繰り広げられる政治闘争とミステリー
バチカン舞台のため映像を楽しみに鑑賞したが、想像以上にエンタメ性も高く面白かった。
コンクラーベで繰り広げられる政治闘争とミステリー。
絵になる構図と色のコントラストなどすごく作り込まれていて上質な映画だった。
絶対に見ることのできない教皇選挙を、一緒に隔離されて目の当たりにしているような感覚になり、気持ちが高まった。
最後の展開には思わずおー!となった。
これは映画館で観てほしい。
パンフレットもとても良く、中に投票用紙が入っているし、コンクラーベについての解説なども載っているため、もし知識が浅くて不安な方は、パンフレットの一章のコラムとキャラ関係図だけでも読んでから観たらきっと楽しめると思う。
今年はアカデミー賞前にノミネート作品の日本公開が少なく、事前に見られなかったが、個人的にはアノーラよりもこちらの方が好みだった。
確信
滑稽な権力闘争
小説を基にしたサスペンス風味の探偵ミステリー映画。
ドキュメンタリーではないけれども、一般人が生涯目に出来ない宗教儀式の様子が描かれると、本当にこんなことがあるのではというワクワクを感じます。
前半は多種多彩な登場人物の紹介とそれぞれの立場、コンクラーベのルール説明でやや眠くなりそうな展開ではありつつも、密室ともいえる教会建物内での情報戦は、緊張感にあふれていました。
中盤以降は、権謀術数乱れ打ちとひねりのある展開で、作品世界に引きずり込まれていきました。
権力と承認への欲求と自分の主義を押し通したいという欲に満ちたクソ聖職者たちの醜さと、カトリックの禁忌と差別を描いていて、まさに舞台はバチカンならぬバカチン。
やっと選ばれた新教皇に隠された秘密が大笑い。
亀の使い方がまた意地悪いほど皮肉がたっぷり。
これ、カトリックからクレーム来ませんか?(苦笑)
基本は描かれてる教会がそのものではなく、「俗社会の縮図・暗喩」であり、世界各国で起きている普遍的な権力闘争の愚かさを描いたものだから、カトリックの心の広さで許してくれるのかもしれません。
現実の問題を過剰に典型・類型化しすぎて、後半に行くに従いリアリティが損なわれていき、逆にドラマとしての面白さが増していきました。
その点で、面白かった。
それから、ラスト近くで右派闘争主義のキャラが「宗教戦争だ」と言い始めたシーンで、モンティ・パイソンの「スペイン宗教裁判」ネタを思い出して吹いてしまいました。
後半、ギャグっぽさが増していきますから特に。
聖と俗、時々カメ
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