教皇選挙のレビュー・感想・評価
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静謐でスリリング、色使いが素敵
たんたんと静かな中で進み、
出身地、肌の色、といった神様は区別しないところでおきる諍い。
コンクラーベの映画と聞いて、もっとどろどろかファンタジックなモノがあるかと思っていたけれど、
スリリングや人間の本質に関わるところが絶妙なバランスで入っていた。
もっとキリスト教のこと知っていたら
もっと深いところまで感じられたかも。
薄暗い空間での衣装の色
象徴的な壁画やシスターたちの色など映像としても素敵
最後の
神様がお造りになられたそのままで
って そこまで含めて現代への投げかけもある。
文句なし!緊張感満載の120分。これぞ映画❗️
文句なし。ハラハラドキドキ、緊張感満載の120分だった。時間も完璧。観た後も余韻が残る。バチカンシスティーナ礼拝堂のコンクラーベが舞台だが、コンクラーベで決める教皇選挙も結局は今の日本、世界の政治・社会とリンクする。ラストは驚き。でも、いざ鑑賞が終わると納得だし、色々考えさせられた。音響、脚本すべてにおいて完璧だし素晴らしい作品。これぞ映画、これぞアカデミー賞作品賞と思わせてくれた。今でもアカデミー賞が脚色賞のみが信じられない。素晴らしい作品だった。おすすめします。
まず2025年年間ベスト5には間違いなく入る作品。
ジジイ同士の捻り合い
見応えありました
2時間近くの上映時間でしたが、退屈することなく楽しめました。
日本では一部の人くらいしか知らないことについてなので
個人的には未知のことに興味深いものがありました。
やはり人間の行うことには聖職者であれどそれなりの善と悪が
必ずあって綺麗事では済まないでドロドロということと、
投票中に起きた出来事の時に一枢機卿の発する意見が言い得て妙というか
真理、在り方を突いていて納得させられました。
昨今はタブー視されていたことが時代とともに変容してきて
いるからこういう映画も作られるようになったんだなと鑑賞時に
「拒絶と受容」そんなことを考えながら観ていました。
そして最後は「そう来たか!」と思いました。またここで一石を投じる
展開になりました。
全体的に内容が大人ならストンと入ってくると思いますが、小さい子には
難しいかも知れません。
あとは終始猊下役のレイフ ファインズがとてもいい演技をしていました。
こんくらべ
おじさん集団
シンプルな作品でしたが、ラストが意外でした。リアルではまだまだできなそうですが、作品中では現代にアップデートできてたバチカン。あと男性優位とかおじいさん・おじさんだけの集団って本当気持ち悪いですね。ある意味、今の日本の権力中枢みたいでした。服装が違うだけで。
教皇選挙(映画の記憶2025/3/21)
120分一本勝負の緊張感との根比べ。
ということで何やらリアルでも教皇の体調不良報道があったこの作品を観に。作り話をうまく作り上げたある意味シミュレーションストーリーだよね。
まぁ真面目な作品苦手な人にはオススメはしない。
主演のレイフ・ファインズの鼻息まで演技が凄かったな。あえて音大きめに録ってた。
息遣いで緊張感を演出するのは色々あるけど、かなりの高感度マイクで集音してたに違いない。
ホラーのハァハァ感じゃなく、緊張のフーン、、、みたいなの。(伝わらないかもしれんから観た人が察してくれたらいいw)
ストーリーはほぼ読めてしまったので、あれだったが、最後に爆弾しかけおったな。
映画業界的に何でも話をそっちにもってきたがるのもそろそろやめてほしいものだ、、、
(個人的評価6点/10点中)
根比ーべ
聖職者の戦争。興味深い異文化体験
コンクラーベの室内に風が流れる
静やかで、息遣いや老眼鏡をかける音などが大きく感じるような空間だった。それは厳かであり、排他的でもあった。
そこに、小さな風が吹く。完全に閉じているはずのコンクラーベに、風穴が空いた描写は、宗教性を感じた。
しかしこの作品は、見る人によって感想が大きく変わりそうだと感じた。
敬虔あるいはそうではなくともクリスチャンが文化や思想に根付いてる人と、そうでない人でも違うだろう。またこの作品のバランスは、保守もリベラルもどちらも評価しづらそうだな、と感じた。昨今のその手の目線で評論しなければならない立場の人ほど、評価をすることをし難いのかもしれない。正直、クリスチャンが文化思想に根付いておらず、中庸な人の方が色んなものに引きずられずに最もこの作品を楽しめるのではないか、とすら感じた。
私の目線では、聖職者の枠を超えるような悪がいるわけではなく、しかし否定したいようなことはそっと否定され、否定したくないものはちゃんとそこに在って、何か大きな改革が起きた訳ではなく、しかし少しだけ窓が空いた気がしなくもない。一貫した温度感と質感が、とても良い作品だった。
ミケランジェロだって本当はやりたくなかった
ローマ・カトリックのトップ(教皇)を選出するための会合(コンクラーベ)を舞台にした小説の映画化。
教皇からの信任厚く、他の枢機卿からも一目置かれるトマス・ローレンス主席枢機卿(猊下と呼ばれていたけど、教皇は何て呼ばれてるんだろう)。
上昇志向も権力欲もない彼は辞任を申し出るも許されず、教皇の急死によって開かれるコンクラーベを自分が執り仕切ることに。
コンクラーベの会場はシスティーナ礼拝堂。有名な祭壇画『最後の審判』が映し出されるが、焦点は合っていない。
設営する神父を見上げるようなアングルでカメラが旋回するが、決して他の天井画を捉えない。あとで考えると、閉鎖性、秘匿性の高いカトリックの暗喩にもみえる。
コンクラーベは上位得票者による決選投票などなく、誰かが有効得票に達するまで延々繰り返されるという、冗談みたいだがまさしく根競べ。
決着がつかずに焦燥感を募らせるトマスは『最後の審判』にたびたび視線を向けるが、彼の主観で映し出されるのは荘厳に描かれたイエス再臨や美しい聖母ではなく、苦悶する人間を地獄へと引き摺り込もうとする醜怪な悪魔。
神に最も近い場所に仕えながら、他人を蹴落としてでも玉座を勝ち取ろうとする聖職者の内面を象徴しているかのよう。
ある媒体によると、原作者はフランシスコ現教皇選任の際のコンクラーベから想を得て起稿したそうだが、シチュエーションはどちらかといえばヨハネ・パウロ二世の時の方に近い(現教皇の前任は生前退位)。
有力候補が次々と脱落するなか、トマスはリベラル派の仲間から教皇になるよう促され「自分はジョン(ヨハネ)を名乗る」と決意する(因みに、英語圏でのヨハネ・パウロ二世の呼び方はジョン・ポール・セカンド)。
しかし、物語は予想外の結末に…。
急逝した前教皇の人間性やポリシーが不明なので、個人的にはいろいろ邪推したくなる。
対抗馬のアディエミと関係を持った修道女を呼び寄せたトランブレは、前教皇の指示だったと主張し、前教皇が彼を解任しようとした理由もほかにあることが発覚。でも亡くなった前教皇から証言を得られる訳もなく、真相は藪の中。
もし本当にアディエミの教皇就任を阻みたい意向を前教皇が持っていたとすれば、それはスキャンダルゆえなのか、それとも有色人種だからか。
メキシコ出身のベニテスの容貌はメスティーソ(白人との混血)というより、純粋な先住民に近い。
しかも彼の場合、非白人というだけでなく、身体の特異性は厳格なカトリックの立場からみればキメラ(怪物)のようなもの。
彼に紛争地ばかり担当させていたのは、バチカンから遠ざけたかっただけ?それとも、偶発的な排除を期待していたから?!
現実のバチカンも保守派とリベラル派のせめぎ合いが厳しいと聞く。
そんな中、リベラル派の現教皇は健康が不安視され、本当にコンクラーベが開催される可能性もかなり濃厚。
次はどんな人物が教皇の座に着くのか。
システィーナ礼拝堂の天井画や祭壇画を製作したミケランジェロは彫刻家としての自負が強く、絵画至上主義のダ・ヴィンチと対立した話は有名。
礼拝堂の絵画も当時の教皇に無理強いされてやむを得ず引き受けている。
作中のトマスもベニテスも本来なら教皇になりたくなかった人物。そのことを踏まえると、どんな人物が教皇にふさわしいかは、システィーナ礼拝堂自体が示唆しているように思えてくる。
ほぼ対話だけで成立する120分の映画を、熟練の俳優陣が弛緩なく見せてくれる。
予備知識がなくても十分堪能できる作品。
■追記■
猊下は本来、仏教用語で、日本なら座主や管長といったトップ中のトップにしか使われない敬称。
NO.2のトマスが猊下と呼ばれていることに違和感があったので、調べてみたら教皇には「聖下」という特別な敬称が用いられるのが一般的とのことでした。
シンプルイズベスト
原作者のロバート・ハリスはNetflix配給「2人のローマ教皇」で描かれた2013の教皇選挙にインスパイアされたフィクションだそうで、同じくNetflix配給「西部戦線異常なし」のエドワード・ベルガー監督が手掛けたということで国境のないNetflixだからこそ描けたかような教皇選挙の舞台裏を短期間で2本も観れて本作で本当にお腹いっぱいになれました。
脚本を手掛けたのは2重スパイを暴く難解映画「裏切りのサーカス」の脚本家ピーター・ストローハーン。本作「教皇選挙」でアカデミー脚色賞を受賞!
「裏切りのサーカス」でも会議室という閉ざされた部屋の中で、2重スパイをどう暴いていくかという濃密な密室劇だったのに対し、本作でもやはり選挙が行なわれるシスティーナ礼拝堂という隔離された空間の中でのサスペンスとなっている。
礼拝堂から一歩も出ない。聖職者以外は一切出てこない。色もモノトーンと赤のみという徹底したミニマルなつくりで(差し色に教皇の指輪の純金"金色"をタイトルに使用。)とにかくデザインが洗練されていてカッコいい。
後半、いざローレンスが教皇に選ばれるか?!というところで突如教会の高窓が爆破されるという事件が発生。選挙は仕切り直しになり、その間トランプ大統領的なレイシストであるテデスコ枢機卿にトドメを刺すベニテス枢機卿の感動的なスピーチにより選挙結果が覆ってしまう。
教皇の地位を望まぬものが選出されるように導かれるような、神の存在を薄っすらと感じさせるつくりになっていた。
ラストで前教皇の象徴でもあった亀を池に連れ戻すという描写は、引退してバチカンを去ろうとを考えていたローレンス枢機卿が結局は重大な秘密を抱える歴代教皇と同じような重荷を背負ってしまい、結局はバチカンから逃れられない。という描写だったと思います。
ローレンス枢機卿を演じたレイフ・ファインズをはじめとする役者陣の演技もよく、エッジの効いた音楽、ラストの衝撃展開など非の打ち所がない映画だった。
宗教に神は宿ってる?
うお!オモロ!!
オスカー本命だったのに取り逃がしたと聞き、でも面白いんでしょ?と、期待に劇場へ。
ふーん、厳格たる宗教界でもスキャンダルとかニュースで見た事有りますよ、少年少女への性加害とか、金銭搾取とか。
本作ソコにズバズバ切り込んで来る。
教皇とか、枢機卿と言っても、全く汚れて無い聖職者なんて居ないんでしょ?って。
スキャンダルの暴き合いに誰が勝利するのか?のドキドキミステリー。
意外なトコから意外な新情報も上乗せされたり、お前らは一体何を比べているんだ?
ここまでは金田一みたいに見られます。
エンタメミステリです。
結局、宗教ってやっぱ信頼出来ねーな、って思ってたらラスト30分に突如怒涛の展開!!
えっ!!!??てスクリーンにビビった唐突なシーンに、神は見ているぞ、と思わせる絵から本来有るべき神の教え、観客が感じてた宗教への胡散臭さを刺しに来る。
あれよあれよと、大どんでんシナリオ!
わ!凄えな、キリスト教も現代にアップデートしたぞ、ても、これは映画で原作は小説らしい。
ありゃ、やっぱ現実の宗教はまだアップデートしないんだな。
⭐︎3.4 / 5.0
『トマス・ローレンス』の憂鬱
一般の日本人が「CONCLAVE」についての知識を持ったのは
「CX」で放送された〔トリビアの泉~素晴らしきムダ知識~〕との認識。
2000年代前半のことか。
新教皇が決定されるまでの長々とした選挙プロセスが
日本語の「根競べ」の音と近いこともあり、
番組内でも随分とウケたと記憶。
が、もともとはラテン語の「鍵を掛けられる部屋」の意らしく、
こちらの方が本作の趣向には合っている。
ローマ教皇の死去に伴い新教皇を選出するための「コンクラーヴェ」は、
出席する枢機卿の2/3以上の票を得るまで繰り返される。
選挙結果が決まらない時にはシスティーナ礼拝堂の煙突から黒い煙が、
決まった時には白い煙が上がり、
バチカンに集った信者たちは(勿論、マスコミも)
それに一喜一憂する。
全世界でも13億人以上の信徒がいるカトリックの頂点に立つ
僅か120前後しかいない枢機卿(本作では109人)。
さぞかし高潔な人物ばかりだろうだろうとの考えは
残念ながら当たらない。
彼らが絡む性的虐待事件は過去から連綿と続いている。
もっともここで描かれるのは権謀術数の類。
自身が教皇となる野望のため、
他者を出し抜き陥れるのに邁進。
それもその下準備は、現教皇が存命のうちから始まる。
なんとなれば「コンクラーヴェ」の場には
電子器具は持ち込めず、周囲には
ジャミングまで施され、
外界とのコンタクトは一切絶たれてしまうから。
聖職者としての資質そのものに首を傾げる人物も多々。
狭い世界では買収や讒言い不正行為、
加えて人種差別からの白人至上主義、
第47代アメリカ大統領と同様にDEI否定と
枚挙にいとまなし。
そんな枢機卿たちを見渡し、
「コンクラーヴェ」を取り仕切る主席枢機卿の『ローレンス(レイフ・ファインズ)』は
できるだけ高潔な人物が選ばれるよう腐心する。
彼には新教皇となる野望はない。
勿論、仲間内に推しはいるものの、
それよりも、より適正な人物をとの思いの方が強い。
そうした彼らの動きを
「コップの中の嵐」で世界が見えていないと断じる
アフガニスタンのメキシコ人枢機卿『ベニテス』がいる。
彼は、新参者で若者。
しかし戦火を自らで経験しているだけに
言葉には真実の響きがある。
鑑賞者の心にも重く響く直截的な言葉だ。
閉鎖された空間でも
事件は起き、新たな事実が提示され
度毎に情勢は二転三転。
しかし新教皇選出へと
パワーゲームは次第に収斂して行くのだが、
明らかになるのは途轍もない事実。
保守派はおろか、リベラル派をも嘲笑う、
いや、教皇庁の組織そのものに
鋭いナイフですぱっと切り込む衝撃が。
この結末には、驚愕するしかない。
本作の原作者は『ロバート・ハリス』で、
『ロマン・ポランスキー』が映画化した
〔ゴーストライター(2010年)〕も彼によるもの。
{ポリティカル・フィクション}と{ミステリ}の両方を兼ね備えた秀作を
ものしたことに感心する。
これは面白かった。
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