教皇選挙のレビュー・感想・評価
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重厚感漂う雰囲気良しのミステリー宗教仕立て
教皇が亡くなっての、次の教皇を選ぶための選挙を執り行う。その教皇選挙は隔離して行う必要があるという条件設定の元、有力候補者となる司教たちにも思惑や陰謀紛いの動きも。さらには記録になかった謎の候補者となる司教も現れて…。
外部から閉ざされたクローズドミステリーであり、教会を舞台にした教皇選挙という、ある意味、非常識なふるまいも正当化できてしまう特殊環境でのドラマに期待が高まったものの、思いの外、肩透かし感なのは否めない。
とはいえ、エンディングまで綺麗にまとまった作品なので、終始、楽しく鑑賞できました。
ただ重厚感を演出したいのかわからんが、映像の明度が暗すぎ!
「もっとも注意しなければならない罪は『確信』です」
秘密に覆われた教皇選挙を「のぞき見」。
神に仕えるべき聖職者であっても世俗の欲は人と変わらない。むしろ、教会のトップに上り詰めようとする人達であるから、人一倍上昇志向や権勢欲が強いのは当たり前かもしれない。これはエンタメであり実際とは違うであろうが、教会からクレームが来てもおかしくないほどスキャンダルが満載の教皇選挙である。最初から最後まで息もつかせぬ展開で、緊迫感に満ちた極上のサスペンスドラマになった。
教皇選挙を取り仕切ることになったローレンスの奮闘から目が離せない。死期が近い事を悟った教皇が、次の教皇選びを信頼のおけるローレンスに託したことが物語の伏線になっている。それは「教皇にふさわしい人物」を選ぶことに尽きる。不正に関わったり女性関係に問題がある者は駄目である。「開かれた教会」をめざし、宗教・人種・性別等の多様性に寛容な考えを持った人物でなければならない。まるで自分がローレンスになって教皇選挙を取り仕切っているかのような臨場感がある。疑惑の真相を解明し、不適格な人物を一人ずつ排除していく。すべて前教皇の意志に従って物事が進んでいくように見えるのも面白い。ローレンスにとっては大変な仕事だが、使命感の為か何となく楽しそうでもある。裏方に徹しているつもりが、自分が教皇になれるかもしれないとなった時の心躍る場面も面白い。これが本心の半分だろう。
教皇選挙のドタバタの末に「教皇にふさわしい人物」が選ばれた。ローレンスはやっと使命を果たしたと安堵したものの、彼も重大な秘密を持っており、完璧な教皇とは言えなかった。ローレンスも戸惑いながら、自分にどうにかできることじゃない、すべて神の御業であると自分を無理矢理納得させたように思えた。
大多数の枢機卿が賛同するまで何度でも投票を繰り返すという教皇選挙の仕組みから、こんなに見事なサスペンスドラマを作り上げたことに敬意を表したい。日本人には縁遠いが、カトリック教関係者にとっては、秘密に包まれた教皇選びの儀式を覗き見た快感もあるかもしれない。
ローマが舞台なのに何故製作国にイタリアが入っていないのか?
正直前半30分近くは退屈に感じた(おまけに枢機卿の名前を覚えられず苦労した)が、その後は目が離せなかった。音楽も素晴らしい。この選挙システム(=決選投票にしないでずっと同じメンバーでやり続ける)は改善すべきだと2度目の投票からずっと感じていたが、伝統を守っておかげ(?)で番狂せとなった。最後の告白にはたまげた。ローマが舞台なのに何故製作国にイタリアが入っていないのか不思議だったがこのストーリーならまあイタリアは協賛したくないだろう。
硬派な政治劇かと思いきや超エンタメ映画!
硬派なミステリー?政治劇?かと思いきや超エンタメ映画だった。
最近の大作映画に珍しくテンポがよく無駄なシーンがない!ほぼ会話劇なのに飽きさせない脚本と、編集に無駄がない。
ファインズ以外の視点を映さず、写すものをかなり意図的に絞っている(回想シーンとかない)
教皇の死を巡る謎を散りばめ、無駄のない会話をテンポよく進行しつつ人物紹介する前半。
後半は選挙の対抗馬を蹴落とすフェーズ!
まわりくどく詰めず、一撃で対抗馬にトドメをさす探偵役ファインズすご!
新教皇が実質決まる瞬間ー、あっ、これで決まりやな、と誰もが納得の空気にw
ラストの新教皇の秘密にも吃驚させられた!
今作の魅力はやはり俳優陣。
レイフが枢機卿として厳粛に振る舞うシーンも良いけど後半のイライラしてるシーンもいいね。
脇の枢機卿の皆演技が皆素晴らしいー。
あと印象的なのは美術周り!
コンクラーベの舞台がシスティーナ礼拝堂、ミケランジェロの最後の審判の眼前。
本物の礼拝堂は作れないから大掛かりなセットを作って天井を合成したと聞いて度肝を抜かれた。全然違和感なかったし舞台としては最高!
ポイントで絵の人物に光が当ったり、
窓の使い方は、まあほんと分かりやすい情景描写だけどいいね。
西洋美術史の頂点!舞台として100点。
あと色彩設計の拘り。
赤色を枢機卿の衣装、キャンドル、ホテルのドア、ドアの封印、等コンクラーベに関わるものにしか使用していない。
赤以外の彩度の高い色を相当意図的に排除して、どのシーンもバキバキにかっこいい仕上がり。
まあとにかく凄い映画。
面白いエンタメ映画を今見るなら超オススメです!
多様性と聖職者の人間性
聖職者も野心と迷いを持つ人間である
評判の高い映画なので、期待を持って観に行きました。残念ながら私にはイマイチでした。理由は3つぐらいあって、
その1
教会が舞台のため、出演者のほぼ全員が「欧米系の容貌の中年男性」で服装や髪型が皆同じ、または酷似しているため、登場人物の区別がつきにくい上に、西洋人の名前が覚えづらくて、映画の序盤、人間関係や役割の違いがなかなか頭に入って来づらいこと。
その2
ストーリーが一貫して教会の中での会話劇なので、人の動きや場面転換が少なく、台詞から物事を理解せざるを得ず、観る側が左脳を使い続けなければならなくて、集中力が2時間もたない。
その3
登場人物が「比較的、善良な人」と「何らかの悪事を成した人」に分けられ過ぎていて、人物描写が画一的に感じられること。
神と人の関係、教皇の権威性、聖職者が信仰に対しても確信を持ち過ぎずに自ら迷いながら「罪深き人間」に寄り添う存在であるべき、といったテーマを描くのであれば、一人一人の中に善と悪が共存するような人物描写にした方が、リアリティがあるのじゃないかな、と思いました。
勧善懲悪が過ぎるなと。
普段、韓国映画または邦画ばかり観ていて、久しぶりの欧米映画だったから、余計に上記のように感じたのかも知れません。
ユーモアや気を抜く場面や登場人物が全然なくて、「すごく硬い映画だな」と感じました。この点は「ソウルの春」に似てるなと。
「ソウルの春」も、登場人物が「軍服を着た韓国人の中年男性」ばかりで、会話劇、「善良な人vs悪い人」が割とクッキリ描かれてる、という意味で、上記の3要素はほぼ同じなんだけど、私には「ソウルの春」の方が断然良かったです。
一緒に観に行った友人もほぼ同じ感想でした。友人曰く「もう一回観れば、面白さがわかるのかもね。ストーリーや登場人物の役割をわかった上で観れば」と言ってて、確かにそうかも知れないと思いました。
一般的にはダイバーシティに関して、欧米は日本や韓国より先を行ってると思われてるけど、「キリスト教の総本山であるバチカンにおいて、聖職者は欧米系の男性に限定されている」というのは、「男性天皇しか認め(たく)ない」という日本の保守とそっくりなんだなと感じました。最後のオチの顛末も、いずれ日本の皇室でも同様のことが起きるんだろうな、とも。
選挙で「票をお金で買う」、「過去の悪事が暴かれて有力な候補者が失墜する」などは、日本の選挙と酷似していて、国が変われど、人間がやること、犯す過ちはどこも一緒なんだなと感じました。
まるで聖堂内にいるかの様な体験
去年のクリスマス・ミサの時から映画「教皇選挙」を友人から薦められていたけど、日頃、シスターやご高齢の外国人神父様達を目の当たりにしているので、私的に普段通りの司教や枢機卿とシスターとSPがいるバチカンの風景だった。
ミケランジェロの「最後の審判」があるシスティーナ礼拝堂のコンクラーベで使われる投票を数える道具、祭服、指輪、御神具等は細部に渡ってリアル。
枢機卿が頭に被るズケットとミトラの使い分け、礼拝堂の扉の両脇にスイスガードがいて、劇中のグレゴリオ聖歌も美しい。
映画鑑賞していて、リピーターのカトリック信徒が多いなとは思う。
3回鑑賞すると、ヨハネ・パウロ二世からベネディクト16世までと、まさかの生前退位で現フランシスコ教皇の選出に至る過去のコンクラーベの時にはどうだったかを思い返してみたり、2019年に現教皇の来日が実現するまでに日本人の枢機卿が空位だったとか、来日時にボランティアスタッフとして東京ドームの入場ゲートで信徒のIDチェックしたこととか、色々思い出した。
なので、教皇庁から切り離されて首席枢機卿がコンクラーベという教皇を決めるための選挙プロジェクトをマネジメントしつつ、天の目の「慈悲」とか「赦し」という眼差しを持っているのがキリスト教らしい映画だった。
人間の中に峻厳の柱と慈悲の柱があって、その柱を支える天の天秤が絶えず動きながら内面のバランスを取って、祈りの中でどこまでも自分に真摯に向き合っていくのか信仰の姿勢をありのまま映し出していてカトリックらしかった。
実際のカトリック教会もジェンダーや他宗教との対立とか、バチカン内部の保守派とリベラル派が存在して枢機卿の意見が分かれていることや、現教皇を真っ向から批判している枢機卿もいたりするからリアルな映画だったけど、14億人の信徒の頂点に着座するのはやっぱり重責だよねと感じた。
そんな中、どこまでも「神の代理人」としてフラットに見て行けるのかが教皇には大切な視点で何手先まで読んでいけるか、熟練されたマスターとして着座の覚悟が必要なんだとラストで思った。
自信満々な「確信」ほど傲慢で危険なものはないと思えたし、常に「疑念」を抱きながら進むって信仰上、純粋で大切なことだと思う。
若い子達がゴールデン・グローブとアカデミー「脚色賞」受賞作品ということで興味を持って普段通りポップコーン片手に劇場入るも、誰も音を立てて食べる子がいないのに感心したというかストーリーに引き込まれるために、上映中はミサを中心として進行しているから安易に食べられない厳かな空気を作っている稀有な作品。
まるで聖堂内にいるかの様だった。
面白いけど、違和感も
二転三転の根比べ
少しだけ前情報は入れておくほうが良いかも
神聖な選挙の裏には様々な秘密が!
「選挙は戦争じゃない」「いや、戦争だ!」
▼感想
評判が良いので鑑賞!
序盤は登場人物が頭の中で整理できず少し置いてかれたけど、選挙が始まったら一気に面白くなった!
この選挙のシステムは「隔離」、「立候補しなくても票が入る」、「教皇が決まるまで何度も繰り返す」など独自のルールがあり面白い。選挙が長引くと教会の信用に関わる、というリアリティもあった。この選挙の間はずっと重苦しい雰囲気が続き、水面下に様々な思惑がうごめくのはまさにただの選挙ではなく冷戦のようだった。
登場人物は全員赤の服を身に纏っているが、これが驚くほど映像を美しく見せた。礼拝堂の建造物や壁に描かれた絵も美しく、ストーリーだけでなくビジュアル面も楽しめた。
主演のレイフ・ファインズはさすがの存在感で、表情一つ一つに目が離せなかった。終盤は自分が期待していたほどの衝撃はなかったが、物語の全貌が分かったので改めてもう一度観たい。
▼お気に入りのシーン
選挙のシーン!
投票用紙の入れ方や用紙を燃やしたりなど、細かい所作も印象に残った。
割かし気軽に見れる
美!
憂いの目
コンクール
大ドンデン返し!!
教皇選挙というテーマに共感できないかもしれないが…と小島秀夫さんが言ってましたが、
えー興味ないのでスルーしようかと思ってたんだけど、良作っぽいので観てみました。
猜疑心を煽る音楽が秀逸で、緊張感があってクールでいいけど、あまり抑揚がなく静かでシリアスな作品なので眠くなる人が多いでしょうね(笑)
かくいう自分も、前日よく寝たけど少し眠くなりました(笑)
評判より良くないかも…と思って観てたけど、最後の最後に、
だーい!ドン!デン!返し!!(ねるとん風で)
ひっくり返された…
このドンデン返しで、この評価。
欠点を挙げると…
教皇候補の面々の名前を覚えるのが少し大変で、特にテデスコとベニテスって似た名前の2人は途中こんがらがった(笑)
あと、静かで長く感じる作品なので、今より10~15分ぐらい短いほうがいいかもね(笑)
ネタバレ厳禁、あまり調べずに観て下さい。
神の息吹を感じながら
我ながら陳腐な見出しやと思うんですが、しかしシスティーナ礼拝堂を舞台に起こる出来事は、神の御意思が働いているかのような・・・そう思わせるに十分な見ごたえある映画です。
タイトルが指し示すように、ローマ教皇を決める選挙「コンクラーヴェ」がテーマの物語。先代の教皇が亡くなり、新たな教皇を擁立するため世界中の枢機卿がシスティーナ礼拝堂に集結。執り行うのは本作の主人公で首席枢機卿:ローレンスとなった。選挙は誰かが教皇選出条件である3分の2の得票を得るまで缶詰め状態にて投票を繰り返すシステムなのだが、そこは野心と陰謀が蠢いていた・・・てな感じのあらすじです。
観てて、もはや政治の世界。
教皇に選ばれればキリスト教で最も高い地位に就き、また後世に名が残る。その権力や今でも絶大であることから、選挙期間中、派閥やら野心やら過去の粗探しやらと、誰もが自分が教皇になりたいと感じているのがよくわかる。主人公の首席枢機卿:ローレンスは「自分がならなくても」と思いながら、また彼の旧知の仲であるベリーニも「自分はなりたくない」と言いながらも、結局は心の底に野心を持っている。やはり人間とは利己的な人間であると変に納得してしまう。
だが、神はそんな彼らの心を見透かし、教皇の器に非ずと言っているかのように騒ぎが起こり始めます。荘厳な舞台背景と格調高いカメラショットが、次々に起こる出来事を“神の御意思”かのように感じさせるんです。そして次々に起こる騒動の中で起こる一人のスピーチが、「ここでくるか!」と思わせるんです。このスピーチ、まさに教皇にふさわしいと感じさせ、「神はこの人を遣わしたか」とまた感じさせる。人間が執り行う教皇選挙なのに、
神が教皇を選出したかのような展開。
しかもクライマックスになってさらに一悶着あるのですが、これは現代に対するメッセージであるのでしょう。自分としては、
“多様性に対して寛容に”というものではないだろうか。
なんと格調高く、かつミステリックな面白さを兼ね備えた作品か。主演のレイフ・ファインズを含め全員が風格を纏っていて、さらに神の息吹を感じさせるような演出をしたエドワード・ベルガー監督。もちろんカメラマン:ステファーヌ・フォンテーヌの撮影があってこそ。そして訴えてくるは現代で最も叫ばれているであろうテーマの一つを、最も伝統的な行事の一つに取り入れたのも面白い。世の中は絶えず変化していて、そのままでいいものなどない。伝統に凝り固まらず、常に現状に対し疑念を持ち、前進という名の変革こそ大事であると訴えているのではないか。たしかに、“神は万人に対し寛容である”とも言うしなぁ。
コンクラーヴェを題材にしたミステリー作品である本作、その見ごたえは十分でした。これは、面白い!
枢機卿の内密
字幕版を鑑賞しました。
序盤に 睡魔が襲ってきて、登場人物の 低音の心地良い声だけが 聞こえたまま 一瞬 目をつぶってしまいました。眠気との戦いを覚悟していましたが、これほど強いとは。
眠気覚ましガムを 口に入れたことは どうか 内密にお願いします。
教皇が決まるまで 枢機卿たちが根気比べする コンクラーベ(原題『CONCLAVE』)は、教皇選挙それ自体は 実際に行われていますが、その実態はベールに包まれているため、今作の脚本はフィクションで、舞台となるシスティーナ礼拝堂も 本物ではなくセットとのことです。
ローレンス(レイフ・ファインズ)視点なのが分かると、だんだん会話の意味も わかってきます。
選挙2日目で 引き込まれて、選挙3日目ともなると、映画の中の バチカン市国のシスティーナ礼拝堂に いるような感覚になります。
音の演出が 臨場感を高めていて、演技が細かく 言葉だけではなく目での会話もあり、中盤あたりから 緊張感がずっと継続していたので、終盤の 礼拝堂に穴が空いた瞬間は とてもビックリしました。
精巣は 體の外にあり、卵巣は 體の中にあり、神聖なる受精の時(考え方によっては神の御前で)は、ペニスは頭を丸出しにして射精し、ヴァギナはそれを覆い隠している状態です。
男性が脱帽して挨拶する習慣は、もともとは キリスト教的な発想から来ているのかもしれません。
人間は 體の仕組みから 生き方や在り方を 学べるのかも しれないという希望に、あらためて氣付くことが できました。
もし 最初に造られたアダムの體の中に イヴ(子宮)が あったとしたら、イエスの體の中にも あったかもしれない...などと、ベニテス(カルロス・ディエス)の台詞のおかげで、インスピレーションが搔き立てられました。
「確信」についても 考えさせられました。
明るいエンディングの曲が、シリアスな作風に 絶妙にマッチしているように感じました。
全823件中、381~400件目を表示
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