劇場公開日 2025年3月20日

「コンクラーベの裏にある野望と陰謀」教皇選挙 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 コンクラーベの裏にある野望と陰謀

2025年8月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

斬新

フランシスコ・ローマ法王の死去に伴って、今年の5月に行われた『コンクラーベ』によって、新しい教皇として、初のアメリカ人・レオ14世が、その職に就いたのは記憶に新しい。丁度、時を同じくして公開された本作。無宗教の多い自分を含めた日本人にとっては、あまり教皇の存在を意識することは無いだろう。しかし、14億人とも言われるカトリック教徒のトップに立つ新指導者の誕生は、バチカンの広場に集まる群衆の姿を捉えたニュースを観ても、その影響力は世界的に絶大と伺える。

そんなバチカンのシスティーナ礼拝堂で行われる、教皇選挙『コンクラーベ』の舞台裏に画策する、新たな教皇の座を狙う枢機卿達の野望と陰謀を描いた本作。今回の実際の選挙の裏側にも、こうした教会内部での覇権争いが隠されていたのなら、コンクラーベも、どこかの派閥争いでくり広げられる国の首相選挙と、あまり変わらないのかな…と思ってしまう。

まあ、それはさておき、本作では、100人以上教皇候補者の中から、教皇に相応しい人物を選出する、コンクラーベの運営を一任された、レイフ・ファインズ演じるローレン主席枢機卿を主人公に、その立場からの葛藤や苦悩を中心に描かれていく。第1回、第2回と選挙をしても票が割れ、決らない教皇の座。公平な立場から見定めようとするローレンだったが、その水面下では、過去のスキャンダル、闇献金、性差別、宗教戦争等の様々な確執によって、候補者同士の醜い足の引っ張り合いが行われていた。

作品を全体を通しては、教会のごく一部の人間だけによる密室選挙だから、もの静かなシーンが続く。しかしそこには、妬み、恨み、嫉み、葛藤といった負の感情が、人間臭い怖さを滲ませている。そして、何度目かのコンクラーベによって、ようやく決まったの新教皇は、それだけでも大きなサプライズだった。しかし、本作の真のサプライズは、その教皇が決ってからだ。このサプライズなラストとベニテス枢機卿が、宗教戦争を語る枢機卿を前に語る説法は、様々な多様性を願う製作者の意図を強く感じるもので、イスラエルやアメニカのトップに座る人に聞かせたい内容だった。

それにしても、あのシスティーナ礼拝堂は、映画の為にセットで造ったと言うのだから、ハリウッド映画は規模が違う。バチカンの実物は自分も観たことは無いが、昨年、大塚国際美術館に行き、全く同じに再現されたレプリカの礼拝堂を観てきた。レプリカとは言え、その荘厳さと威厳さに圧倒されたことを覚えている。また、衣装や小道具を映し出す映像もまた、美しさと気品が伝わってきた素晴らしい作品だった。

bunmei21
映画LOVEさんのコメント
2025年8月3日

こんにちは^ ^
レビューにイイね有難う御座います♪♪
システィーナ礼拝堂荘厳さと内側の枢機卿達の政治的なバチバチが面白かったですよね‼︎ 外と内側のギャップ萌えでした(°▽°)

映画LOVE
bunmei21さんのコメント
2025年8月1日

M r.C.B.2さん^_^ご指摘ありがとうございます
訂正しました

bunmei21
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年8月1日

共感どうもです。
素晴らしいレビューですが、「自分も」がダブってますよ。

Mr.C.B.2
bunmei21さんのコメント
2025年8月1日

トミーさん(^^)レーレンスの揺れ動く心境は、確かに人間臭さが現れてましたね。

bunmei21
トミーさんのコメント
2025年8月1日

共感ありがとうございます。
日本だと寺の簡素な美しさなんでしょうが、欧米のはどんどん積んでいった、そして古びていった美しさだと思います。
ローレンスが途中、自分が教皇に・・と揺れる様子が人間らしくて印象的でしたね。

トミー
bunmei21さんのコメント
2025年8月1日

ノーキッキングさん(^^)コメントありがとうございます😊
そうですね、私もそう思います

bunmei21
ノーキッキングさんのコメント
2025年8月1日

共感ありがとうございます。
やはりオスカーはアノーラなどではなくコチラが正解だと思うのですが。

ノーキッキング