「過大評価」教皇選挙 fullofpromiseさんの映画レビュー(感想・評価)
過大評価
フラグの立て方がいちいちご丁寧なので展開が読めてしまう。
意味ありげに治療経歴アリと伏線張られた時点でほぼベニテス当確。後から病気の影響で選挙続行不可or当選撤回or死亡ラストかなと思っていたけれど、オチは唐突すぎて驚きというより白けた。
他の枢機卿達の権謀術数も大したことなく、月9ドラマのサスペンスみたいだった。
衝撃のラスト!とか言ってる人は映画全然見たことないのかなと思う。
あとアデイエミの配役に黒人は微妙な気が……黒人枠が必要だったのは仕方ないけど。
枢機卿達がスマホいじったり平気で煙草ポイ捨てしてる図はちょっと面白かったし、レイフ・ファインズの演技も流石。
映像美があればまだ良かったかもしれないけれど、似たような構図が延々に続くので視覚的にも満たされない。
階段のシーンは綺麗ではあるけど明らかに南伊のカゼルダ宮殿で、ヴァチカンじゃないじゃん!とやや萎える。
あとはキリスト教的寓意の扱いもやや野暮ったい印象。
窓が爆破された後に差し込む光はカラヴァッジョの《聖マタイの召命》や《悔悛するマグダラのマリア》的な神の啓示の光、ローレンスは当選意欲無さげでなんかナヨナヨしてるし確信を持たないこと云々の説教してるしファーストネームがトマスだし明らかに聖トマスが由来……と、いかにも「考察してください」的な態度も個人的には楽しめなかった。
そもそもキリスト教美術なんて寓意ありきなんだからいちいち突っ込む方が野暮なのか?と思ったけれど、例えば素晴らしい宗教画を観ている時にはいちいちアトリビュートがどれで〜などと考える以前に目の前の作品に没入しているわけで、ツッコミを入れたくなっている時点で作品が鑑賞者を世界観に没入させないクオリティである証拠だよなぁ、と座席でしみじみ考えていた。
個人的に関心ある主題だし前評判良かっただけにガッカリ感否めず。高尚な映像作品じゃなくて知的風味のエンタメドラマだと思って観たらそれなりには楽しめると思う。
エンタメ以上、シリアス未満
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。