劇場公開日 2025年3月20日

「赤と白と黒が織りなす極上の映像美」教皇選挙 かもしださんの映画レビュー(感想・評価)

4.0赤と白と黒が織りなす極上の映像美

2025年5月17日
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鑑賞方法:映画館

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教皇選挙(コンクラーベ)というコアな題材を扱いながらも、現代社会が抱える人種や性別、果ては個人的な価値観といった問題を浮き彫りにし、真の多様性とは何かを観る者に問い掛ける大傑作。

最早、全てのシーンが絵画。
丁寧に作り込まれた美しい映像の数々に目を奪われっぱなしでした。
壁を背に映し出される黒い服の聖職者たち、白い傘を差した無数の人が噴水の周りを通る真上からのカット、赤い服に身を包み投票を待つ枢機卿たちなど。
赤と黒と白が織り成す映像の数々は何処を取っても息を呑むほど素晴らしいものばかりです。
当然、衣装や小道具、セットなども文句の付けようがありません。
赤を基調とした質感の良い衣装や豪華な装飾品は勿論、イタリアにあるチネチッタ・スタジオに再現されたバチカン内部のセットが素晴らしい事!
荘厳なシスティーナ礼拝堂や聖マルタの家など本物と見間違えるほど。
それこそ、絵画の中に入り込んでしまったかのような錯覚さえ味わえる作品でした。

そうした美しさの中で繰り広げられる教皇選挙(コンクラーベ)が更に観客の心を掴んできます。
主人公ローレンス枢機卿を演じたレイフ・ファインズの視点で展開される物語なので没入感が物凄いです。
枢機卿が抱える苦悩がいつしかこちらへと伝わり、「なんとしてもコンクラーベを円滑に終わらせたい」という気持ちで一杯になります。
秘密裏で行われる選挙で陰謀や策略が渦巻き、主人公ローレンスを更に追い詰めてくるので緊張感も半端ありませんでした。
ミステリ要素を内包しつつ、静かに展開される物語から目が離せなくなります。

そして待ち受ける衝撃的なラスト!
これほどまでに「多様性」という問題を扱った映画で溜飲の下がる作品はなかった気がします。

間違いなく見逃し厳禁の作品。
見終わった後に「確かな事など何一つない」事を痛感させられる傑作なので、映画館に足を運ぶ事をお勧めします。

かもしだ
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