「観ているこちらも猜疑心でいっぱい」教皇選挙 ももさんの映画レビュー(感想・評価)
観ているこちらも猜疑心でいっぱい
この作品は是非とも予備知識なしで鑑賞いただきたい。
パンフレットも鑑賞後に読んで欲しい。
そのほうが楽しめると思います。
(しかし、カトリックとプロテスタントの違いやカトリックの大まかな規則などそのあたりは押さえておくとより良いかも。)
映像はとても重厚で美しく、システィーナ礼拝堂はレプリカだそうですがカトリック特有の荘厳さもひしひしと伝わってきました。
枢機卿たちの着衣の深紅が威厳や虚栄心や野心をまざまざと見せつけられるようでこれまたすごくインパクト大。
バックに流れる音楽もこちらの恐怖心にも似た心持を存分に引き付けるには十分すぎるほど崇高で重い。
枢機卿は神に仕える者であり、神ではない。
この言葉がすべて。
映画のストーリーを予想すれば人間の欲望が渦巻いちゃって、すったもんだあるんでしょ?って言うのがオーソドックスな流れかと思われますが、「神に仕える者」でもあるわけで、己に対しての深い深い猜疑心があるわけです。
ここがキモと感じました。
もちろん、選挙ですから男たち(枢機卿)の政治的な思惑も絡んでくるわけなんですが、あくまでもこれは肉付けに感じました。
真実は一つではなく、信仰は己の中にあるのではないか。
欲望は悪魔と言いますが、のまれるのも退けるのも己の中次第。
そして、それを見破れるのか受け入れるのか、共に考えるのか。
私はリベラルな考えが強めなので作品が投げかけてくる答えの様なものにほぼ共感するのではないかと思いますが、果たしてこの作品を受け入れることが出来るカトリック信者は何パーセントくらいいるのであろうか。
真実が語られたときはセリフにうっかり涙してしまったけれども、最後は鑑賞者にゆだねられたんだろうと思います。
すごくよかった。
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