「神を理想とする彼らが1番人間らしい」教皇選挙 AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
神を理想とする彼らが1番人間らしい
突然のローマ教皇の死により、次の教皇を決めるために世界中から100人以上の候補者が集められ、外部と完全遮断された礼拝堂で教皇選挙〈コンクラーベ〉が行われる。
文字に起こせばこれだけの話ではあるのに、その話の中に保守派とリベラル派の対立、聖職者のスキャンダル、野心、汚職、多数派と少数派…様々なテーマが次々と何重にも重なってくるのがおもしろい。
神を信じ、神という理想に少しでも近づけるよう生きる彼らが、むしろこれでもかというほど、生々しく人間らしい姿を曝け出すのも、おもしろい。
選挙を取り仕切る主人公ローレンスの息遣いや足音が作品内でもすごく強調して響き渡っていて、それがより一層緊迫感や焦りみたいなのを感じさせてくる。それもあってか、まるで自分もあの場で選挙に参加する1人になったかのような気持ちになった。まさにスリリングなサスペンスエンターテイメント作品!特に最後の衝撃は、是非映画館で味わってほしい。
また、劇中色彩として赤がところどころで印象的に描かれていて、それが絵画のようでとても美しかった。
色彩だけでなく、選挙の準備ひとつをとっても、歴史や気品を感じられる作法や衣装に、思わず「美しい…」と見惚れてしまうシーンが度々あり、その手もこの作品が魅力的だった部分のひとつだった。
宗教に対しての新たな気づきもあり、音と色彩と巧みな脚本で満足度の高い作品だった。
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