「音に意識を向けさせる映画」教皇選挙 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
音に意識を向けさせる映画
音が効果的な映画だった。足音、扉を叩く音、自動音声の女性の声、ドアの鍵が閉まる音、PCのキーボードを叩く音、文字を書くペンの音、いきなりの爆発音。息をする、泣く、眼鏡をかける、廊下で言い合いをする。音が上手から下手へびゅーんと流れるシーンも見事だった。信者の心に訴え感動させる作りの教会、とりわけカトリックの教会の考え抜かれた音響と光と香りの記憶が蘇った。
窓もドアも締め切った中、最後の投票で窓から光が風が入ってくる。音はしないのにその場に居る人々も観客もかぐわしい香りの空気と光を浴びてConclaveは終了する。
Conclave関連の映画はこれで4本見た気がする:ロン・ハワード監督の「天使と悪魔」(2009)はミステリーサスペンスで最後は残酷。「ローマ法王の休日【Habemus Papam】」(2011)はいかにもモレッティ監督の映画で、教皇になりたくないよ~という話で可愛かった。「2人のローマ教皇」(2019;Netflix)は実在の二人の法王をモデルにしているから生々しいが俳優が素晴らしかった。アンソニー・ホプキンス演じるベネディクト16世(ドイツ人)とジョナサン・プライス演じる今の教皇フランチェスコ(アルゼンチン人)。真逆の二人の会話が楽しくて仲良くて笑えた。そして今回の「教皇選挙」(2024)はNetflix「西部戦線異状なし」を監督したドイツ人のエドワード・ベルガーによる。レイフ・ファインズが演じたローレンス枢機卿は、彼が今まで演じた様々な役の中で一番適役だったように思う。美しく青い瞳、真面目で謙虚で権力欲から遠い。亡くなった教皇を大事に思い大きな責任感とストレスの中、誰が最も教皇に相応しいか最後まで真摯に考え苦悩する。問題山積のキリスト教の中で世界一信者の多いカトリックが持つべき寛容と誠実を抑えた演技で伝えた。スタンリー・トゥッチも適役。カトリックの底力なのか、そうであって欲しいという願望なのか、現実はどうかわからないけれど。
おまけ
超保守で戦闘的な枢機卿の名前をテデスコ(イタリア語で「ドイツ人」の意味)にしたのは何か意味あるのかなあ。
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体調が懸念されていたフランチェスコ。イエズス会初、南米出身初のパパ。20日にイースターの挨拶でバルコニーに出て翌日に亡くなるとは。(2025.04.21.)
フランシスコ教皇の人となり
◆「パパは天国にいるの?教皇フランシスコの答え」―YouTube動画
◆「子どもの祈り小川 靖忠 神父」― 上記動画を受けての小川神父の教え
talismanさん
山口崇、フランチェスコ教皇、訃報つづきですね・・お知らせ拝領。
talismanさんと僕とはホントまったくの同年代みたい!NHKのあの「天下御免」は、家族全員で楽しんだ初めての連続ドラマでした♪
中野良子の紅さんの事を因幡小僧の秋野太作はとっても好きだったんですよ。でも紅さんは源内さんに ほの字だったもので可哀想だったなぁ。小学生の僕も紅さんには憧れたものですよ。で、杉田玄白は坂本九が好演でした。
最終回は赤ちゃんが生まれて「まぁ可愛い女の子?」オムツをチラッとめくって見せて「ゴメンゴメン、天下御免〜!」って。
大正琴のテーマ曲も水前寺清子のナレーションも昨日のことのように覚えてますよねー(笑)
山口崇は清潔な俳優さんでした。
呼吸音が後半やたら気になって、こう…背後からのしかかられてるようなプレッシャー的なら効果を醸し出してたような気になってました。音関係は全般的に好印象でした♪
シェルタリング・スカイにコメント、ありがとうございます😊
“ひねた文学作品”は、必ず共感と共に 嫌な思いももたらせてくるもの。
だから、
自分がその映画に出逢う次期については、先送りにしてペンディングしておくのも賢明ですよね。
たくさん観ているとその辺りの“勘”も身につくのだもん(笑)
まだ観ていない作品についてもこうしてお喋りできるtalismànさん。正直で少女のようでありながら文才がひかる。ユニーク。大好きですよ。
お茶飲みながらお話ししてる気分です。
(きりんのきょうのお昼のお茶はカモミールティーにハチミツです) 。
☕✨🌿
音!確かに音に凝ってましたね
イザベラ・ロッセリーニの部屋、小鳥が飼われていて、場面の展開に合わせて右、そして左がらピッ!ピィッ!と聞こえてきました
(ウチにも鳥がいるので、何となくなごみました)
呼吸音に至っては、もはや映画のBGMとして上手に使われていましたね。ストーリー展開に緊張感がありました。だから内容はちょっと眠くなるような映画だったのに、眠くならなかったのかな?
ペンを走らせる音、厨房での調理の音、衣擦れの音…
レビュー、参考になりました!
ワタシも音、音楽がいいなぁと思って観てましたよ。レイフ・ファインズは偏屈な料理人の役の映画の100倍ヨカッタです。海亀が産卵するときのような涙。さすが役者だなぁと思いました。
テデスコですが、アメリカのブルースロックバンドにテデスキ·トラックス·バンドっていうブルース・ロック・バンドがあって、似てるなぁと思って観てました。 テデスキ Tedeschi って、イタリア系の移民由来の苗字みたいです。ドイツ人って意味のテデスコはもともとはヨーロッパでの「庶民」という意味らしいので、ローマ・カトリックからすると田舎者的な侮蔑が込められていそうですね。
薔薇の名前、あれも面白いですよね。
クリスチャン・スレーターを初めて見た映画でした。
ご紹介いただいた作品見たら、感想をお伝えしたいです😉
おやすみなさいm(_ _)m
私もまた見たくなってきました。トム・ハンクスはもちろんなんですが、ユアンが出てたぐらいしか覚えてなくて😅
あまり見てないですが、教会舞台の作品て面白いですよね。
talismanさん、久しぶり!
いつも共感ありがとうございます。
確かに右から左に音が移動することで、画面に映らない様子がわかりますね。発見、発見。
テデスコってドイツ人で意味なんですね。知らなかったー。
なるほど。とても勉強になります。
カトリックは元締めがいるので、ある意味堅苦しい半面、国も人種も民族も超えた多様性を備えているけど、聖書の独自解釈で生まれた教義を絶対視する新興勢力は視野が狭く、孤立的、排他的になりがち→カルト化しやすい、ということも確かにありそうです。
基本、ユルイほうが平和で穏やかということかな。←単なる自己肯定😅
その筋(カトリック?)のお偉いさんたちも、「俺たちってさぁ、結果的には昔から人をたくさん死なせてるし、どちらかと言えば悪魔にちかくね?」とか思う人がいて、派生的に悪魔崇拝なども生まれたのかもしれないですね。そのおかげで怖ーいホラーやサスペンス映画もたくさん見られることになった⁈
神の代理人を選ぶ選挙での裏工作なのに、〝神に見られているのだからこんなことやめておこう〟とは思ってない枢機卿。
十字軍を編成するため騎士たちを招集する時は、「神がそれを望んでおられる」とか煽ってたし、本音のところでは結構、神様を軽んじてる節がある。
「天網恢恢疎にして漏らさず」という東洋の戒めを送りたくなります。
>テデスコ(イタリア語で「ドイツ人」の意味)
そうなんですね、勉強になります。票をカウントする際に「テデスコ枢機卿」と読み上げられてたので、ニックネームではないですよね。
ローレンスが教皇への「色気」(言葉は悪いですが)が出たのは、自分のためというよりテデスコが選ばれないようにするためで、前教皇がローレンスに根比べを仕切らせようとした理由が補強された感じがしました。
共感ありがとうございます。私もテデスコについて気になったので検索したところ、語源となったラテン語が「一般庶民の」を意味する言葉だったと書いたものがありました。その為、ポピュリスト的な役柄からこの名前になったのかなと思ってます。教会内の言葉がラテン語から変わってしまったと嘆いていたので、そんな皮肉も入っているのかなと感じています。
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