「権力欲に取りつかれてしまうオジさん達」教皇選挙 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
権力欲に取りつかれてしまうオジさん達
ローマ教皇を選出する為にシスティーナ礼拝堂で行われるコンクラーヴェ。これを題材にした映画がこんなに面白いとは思ってませんでした。
ローマ教皇(法王)と言えば、何十年も前になりますが、聖ヨハネ・パウロⅡ世が外遊中に、群衆の中から一人の男性が駆け寄って法王の靴に口づけしたのがニュースになってました。それ位、世界中から注目される存在です。信者にとって教皇は神も同然ですが、アメリカでは聖職者の性犯罪が少なくなく、必ずしも聖人とはいかないようです。
本作はカトリックの頂点である教皇ですから、ローレンス主席枢機卿としては、最もふさわしい人物が選ばれて欲しい、しかし有力候補者に問題が次々と露見、少しでもましな人物は誰か、みたいな雲行きになっていくのが、政治家の選挙みたいで面白かったです。
映像は格調高く、枢機卿たちが通路や広場を歩くシーンは遠目で見ると荘厳で美しいのに、近寄ってみるとスマホや煙草の吸殻があって、極めて人間臭い様子です。
興味深かったのは、最初の投票で31人が自分に1票を入れた事です。でも、決めかねている31人というセリフがあったから、権力と重圧とを考えたら皆が教皇になりたいという訳でもないんですね。
投票を重ねる毎に情勢が変わり、焦る者、罵り合う者、根回しする者、それを冷ややかに見つめる(?)修道女たち。ローレンスの緊張が高まります。彼が、問題発覚した候補と1対1で「あなたは教皇にはなれない」と宣告した後も、当人は退場も辞退もしないのですが(そもそも立候補する仕組みでは無い)、次の投票では確実に票が激減していたのは、周りがそのことを察知するのか、どうなってるんだろうと思いました。
おまけ
枢機卿は、本当は「すうきけい」と読みます、と確か塩野七生さんの本で知りました。
でもどの番組でも「すうききょう」と言っているので、 それで統一しているのかもしれません。
(単に日本語の読みの問題ですし)だから私は「すうきけい」で変換しています、その方がちょっと楽なので。
おはようございます!
さりげなく漢字間違い教えて下さりありがとうございます~(お固いX)
本作に出てくるのが年配オッサンではなく美女達だったら高評価だったかもです😏
塩野七生さんの『男の肖像』(文春文庫)という著作の中で、信長について書かれています。
文庫の紹介文…ペリクレス、アレクサンダー大王、カエサル、北条時宗、織田信長、西郷隆盛、ナポレオン、毛沢東、チャーチルなど世界を動かした不世出の英雄たちを著者一流の「好き」「嫌い」で一刀両断。リーダーシップの本質を描き出す。
→一人あたり10数ページと立ち読みできちゃう分量なので、お勧めです。
グレシャムさん、そうなんです、チェーザレ・ボルジアは子供の頃に漫画で読んで知っていたんですが、塩野さんの本で興味を持ったから、他の作家が(←忘れました)書いた本も読んで、それで肖像画を見たいと思ったんです。君主論も読もうかなと思って結局読みませんでした。漫画にも小説にも度々登場しますが、悪役なのに凄く魅力的に描かれるんですよね。イタリア統一を夢見た所とか、信長と共通点がありますね。
こんばんは!
塩野七生さん、私も好きです。
塩野さんが好きな人は皆んな途轍もなくカッコよく刷り込まれてしまいませんか。
チェーザレ・ボルジアとかカエサルとか織田信長とか。
早朝の情報番組のヘッドラインだけ見て、米国出身?もしや大統領の息のかかったガチガチの保守の人物では?とか想像してしまいましたが、全然違いました。私の映画の見過ぎ(?)です。
改革派寄りで、保守派の意見も聞き、大統領にも意見する方だそうです。レオ13世が世界の様々な問題に積極的に関わっていこうとした方だそうなので、レオ14世もその姿勢をとられるであろう、という事でした。
ゆり。さま
共感とコメント、ありがとうございました😊
白い煙、上がりましたね。これで3回続けて、2日間でコンクラーベ終了です。
新教皇はロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(レオ14世)、米国出身の教皇の誕生は初めてとのことです。
トランプ大統領は早速お祝いしていますが、片想いかもしれません😅
爆破事件で窓ガラスが割れた事を、神または前教皇の怒りのように感じた方もいらっしゃいますが、私はローレンスが次期教皇になることに問題はないと思ったので、爆発ではっと我に返った位に感じました。それにしては派手な演出だったから、やっぱり怒りなのかもしれませんが。
共感&コメント、ありがとうございます!
ローレンスさんは、自分に票を入れたり、「教皇になったらヨハネ」って言った途端に、教皇の座が遠くなりましたね。
ベニテスさんは、教皇就任を断るかと思って観てましたが、そこはあっさり裏切られました(笑)。
ゆり。さま、共感とコメント有難うございました。ラストは今風なアレンジでちょっと想定範囲でしたね。またコンクラーベの投票と投票の間におそらく枢機卿の間で活発な議論が交わされていると想像します。あの女性問題の枢機卿は、促され懺悔させられ公開処刑されたかと・・・。
法王(現在は教皇)が亡くなるとニュースでコンクラーヴェの事も触れるので、枢機卿たちが隔離された中で決まるまで投票を繰り返す、というのは知っていました。が、勝手にもっと過酷なものを想像していまして、会議室のような部屋に閉じ込められて、食料はカンパンみたいなのと干し肉と水だけとかで、決まるまでは休まずひたすら投票するのかと思っていました。実際は投票の時は隔離されるものの、宿舎は用意され、食事は修道女に給仕され、ストレスはあるんでしょうが結構快適そうでした。
レビュー本文の、それを冷ややかに見つめる(?)修道女、というのは、映画では描かれないが多分(きっと)そうだろう、というわたしの想像です。
きりんさん、本当に、あの場に自分も居るような気持ちで一瞬呼吸も忘れて見入ってしまうカメラワークでした。
システィーナ礼拝堂に4時間も座っているなんて、素晴らしい体験ですね。
私は30年位前にツアーでヴァチカン宮殿を見学して、最後にシスティーナ礼拝堂に向かうんですが、ボルジアの部屋でチェーザレの肖像画を観たかったのにそこへは行かないと知って、添乗員さんにお願いして私だけそこに行かせてもらいました。宮殿内はすごく混んでいて中々進めず、部屋には行けたけど時間がなくて肖像画のどれがそれか確認できませんでした。集合場所のシスティーナ礼拝堂に着いて素晴らしさに圧倒されましたが、5分位しか見学できなかったのが惜しまれます。
ゆり。さん
最後のあのどんでん返しのカメラワーク。レンズの向け方、まったく上手かったですねぇ!完全に騙されましたよ。
「テロで割れた天窓」は、システィーナ礼拝堂へ行ったとき、僕はずっとあの窓からの光でミケランジェロの天井画を観賞しました。
もちろん映画の撮影ロケは、そっくりに作った大掛かりなセットを造営したのでしょうね。
午前中は左の窓から。そして午後になるとあの右の窓からゆっくり光が差し込みました。
4時間も座って絵を見ていたんです(笑)
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