「鋭い問題提起」教皇選挙 椿六十郎さんの映画レビュー(感想・評価)
鋭い問題提起
先ずは、フランシスコ教皇の病気ご快癒をお祝いしたいが、如何に開明的な現職の教皇様と言えども、この映画の結末にご理解頂けるか?甚だ疑問である。
この映画を評して「一級のミステリー」と言う表現が用いられるが、カトリックの社会に於いては簡単に楽しめる内容では無いだろう。それ程に難しい要素を含む。現在の教皇フランシスコはカトリック教会が直面した性加害問題にも正面から向かい、更にイエズス会出身者らしく自らを律し、弱い者の立場に立つ姿勢を見せる。しかし、限界もある。彼は、同性愛や離婚・中絶の問題に対しは従来のカトリックの立場を守り、それらを聖職者の「赦し」の範囲に留める事がやっとである。
一方、映画では終盤、従来のカトリックの示してきた多様性への問題を突きつける。どの様なカタチで問題提起するかは映画のスジに関わる事なので詳しくは触れないが、「さて、そんな解決が、本日、只今、カトリック教会に出来るのか?」と疑問にも思う。
それでも、この映画は作られる価値を持つ。それは、カトリックの社会だけでは無く、福音派でも、イスラムでも、仏教でも、更に無宗教でも言える根源的な問題を提起しているからだ。ミステリーとして楽しむのは良いが、それだけでは勿体ない、深味のある映画なのだろう。
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