「シンプルイズベスト」教皇選挙 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
シンプルイズベスト
原作者のロバート・ハリスはNetflix配給「2人のローマ教皇」で描かれた2013の教皇選挙にインスパイアされたフィクションだそうで、同じくNetflix配給「西部戦線異常なし」のエドワード・ベルガー監督が手掛けたということで国境のないNetflixだからこそ描けたかような教皇選挙の舞台裏を短期間で2本も観れて本作で本当にお腹いっぱいになれました。
脚本を手掛けたのは2重スパイを暴く難解映画「裏切りのサーカス」の脚本家ピーター・ストローハーン。本作「教皇選挙」でアカデミー脚色賞を受賞!
「裏切りのサーカス」でも会議室という閉ざされた部屋の中で、2重スパイをどう暴いていくかという濃密な密室劇だったのに対し、本作でもやはり選挙が行なわれるシスティーナ礼拝堂という隔離された空間の中でのサスペンスとなっている。
礼拝堂から一歩も出ない。聖職者以外は一切出てこない。色もモノトーンと赤のみという徹底したミニマルなつくりで(差し色に教皇の指輪の純金"金色"をタイトルに使用。)とにかくデザインが洗練されていてカッコいい。
後半、いざローレンスが教皇に選ばれるか?!というところで突如教会の高窓が爆破されるという事件が発生。選挙は仕切り直しになり、その間トランプ大統領的なレイシストであるテデスコ枢機卿にトドメを刺すベニテス枢機卿の感動的なスピーチにより選挙結果が覆ってしまう。
教皇の地位を望まぬものが選出されるように導かれるような、神の存在を薄っすらと感じさせるつくりになっていた。
ラストで前教皇の象徴でもあった亀を池に連れ戻すという描写は、引退してバチカンを去ろうとを考えていたローレンス枢機卿が結局は重大な秘密を抱える歴代教皇と同じような重荷を背負ってしまい、結局はバチカンから逃れられない。という描写だったと思います。
ローレンス枢機卿を演じたレイフ・ファインズをはじめとする役者陣の演技もよく、エッジの効いた音楽、ラストの衝撃展開など非の打ち所がない映画だった。