「荘厳な作品だが、トロい前半がマイナスに ★3.7 (途中からネタバレ)」教皇選挙 レオンさんの映画レビュー(感想・評価)
荘厳な作品だが、トロい前半がマイナスに ★3.7 (途中からネタバレ)
荘厳なサスペンスだが、前半が起伏なくトロい印象でマイナスに。
(原作がある本作は脚本賞「Original Screenplay」に属さず脚色賞「Adapted Screenplay」となる)
教皇の死または辞任に伴い、世界から100名以上の枢機卿がバチカンに集まり、社会から閉ざされたエリア内で、次の教皇をその中から選出する。
3分の2以上の得票を得る者が現れるまで、何度でも再投票をするそのシステムがコンクラーヴェ。
本作はその一部始終を描いてる。
が、各枢機卿も人の子。 皆それぞれにその座に就くには難点を持つ。
●不正に他者のスキャンダルを煽ってまでその座を狙う狡猾者
●収賄を甘んじて受け入れてしまう者。
●その座に相応しい品格を持たない者。
●十分な資質を持ちながら、当人がその座を望まない者。
●その混沌とする状況の中、正論を説く者。
キャスティングはまずまずなので
誰がその役を演じているかは、想像してからご覧を♪
まるで政治家の選挙までのロビー活動が、コンクラーヴェでも行われていて、
根回し合戦が横行。 これがもっと面白く描かれてもよかったのではとも感じる
作品的には冒頭からやたら暗い映像が私の感覚では40分以上続く。
枢機卿の衣装や建物は本物?と感じるくらい作り込まれていて、(セットか現地ロケかはチェックしてないが)厳かな映像は流石ハリウッドと感じる。
が、物語も厳かににゆったり進行し、それほど起伏がない前半は暗い映像も相まって睡魔も醸す。 後の事件の伏線も描写しているが、さほどインパクトなく進行し中盤まではまあ我慢タイムか・・。
黒人シスターとある枢機卿のトラブルから、物語がようやく動き出し引き込む展開に。
犯罪サスペンスほどの緊迫感はないが、心理的に働きかける描写は通の映画ファンほど高評価するのではと感じる。
私が一番残念に感じる点は、各人物の行動の思惑は十分表現出来ているが、各自の人格や癖などの魅力が描かれてない点。
レイフ・ファインズは、苦悩する複雑な心境を巧く表す丁寧な演技は流石だが見てる方が気に入る様な描写がほぼない。
様々な謀略が暴かれている中盤以降は重厚な進展で引き込むが、前半のマイナスで私的には★3.7という評価に。
厳かな作品でも微笑ましいシーン等で、もっと寒暖を付けてほしかったと感じた。
ロッテンの評価は高い様だが、IMDbでは★7.4が示すとおり一般者の評価は「重い」印象を与えたのか、まずます止まりでアカデミー効果で上昇するはずが厳しい評価と言わざるを得ない。
ベルガー監督前作「西部戦線異状なし」も私的には違和感ある演出があり、あまり評価していない。
おなじ聖職者のサスペンスでも、ショーン・コネリー主演「薔薇の名前」(1987年)の方が私的にはもっと高評価。
ラストネタバレ↓
終盤の混沌状態でのカブール教区のベニテス枢機卿の、
本当の"聖職者たる言葉" は見事で聖人の様な容姿も相まって、意外だが適格者の登場にこの人こそ・・。と思わせる演出は見入る♪
見事に選出されるシーンにハッピーエンドかと喜ばせてからの、
よもやの LGBT !
またか!
しかもカトリック教会は女性司祭を認めていないので、それが教皇となるとあり得ないほどの大問題。
本作では、ベニテス枢機卿は完全な女性ではなく、
男性と女性の両方の身体的特徴両性具有者両性具有者かもしれないような曖昧な表現での結末。
それは人により「是」か「非」で評価が分かれるだろう。
さらなるテーマと深い余韻を与えようとの魂胆かもだが、
視聴者まかせのラストは私的に後者の判断。