「玉座の審判に向かい絡み合う策謀。聖職者たちのエゴはいつしかむき出しに…喝采!これは珠玉のミステリー映画だ!」教皇選挙 おひさまマジックさんの映画レビュー(感想・評価)
玉座の審判に向かい絡み合う策謀。聖職者たちのエゴはいつしかむき出しに…喝采!これは珠玉のミステリー映画だ!
クリックして本文を読む
日本でも最近は「ローマ法王」ではなく「教皇」と呼ぶようですね。
「教皇選挙」=「コンクラーヴェ」。邦題は原題の直訳ですが、シンプルで秀逸。いいじゃないか……。
物語の幕開けは、あまりにも静かで厳か。眠気を誘うほどの静寂が支配する——。
だがしかし、次第に、ゆっくりと動き出す策謀。
赤い礼服が意味するのは「信仰のために命を捧げる覚悟」だと言うが、それは果たして神への忠誠か、それとも権威への執着か……?
物語が進むにつれ、絡み合う思惑はむき出しになり、そこからラストまで一気に集中モードに突入!
波乱あり、問題のクリアランス(解決)があり、ラストの選択も含めて満足度は極めて高い。
まるで海外の秀作ミステリー小説を読み終えたときのような、濃厚な読後感が味わえた。
有力な後継者たち、枢機卿それぞれの思惑が錯綜するが、観客が迷わぬよう巧みに整理されているのも見事だ。
本作の脚本を手がけたピーター・ストローハンに俄然興味が湧いた。機会があれば、『裏切りのサーカス』も観てみたい。
レイフ・ファインズ演じるローレンス枢機卿。その瞳が見据えた先には、「最後の審判」の壁画があったのだろうか。
重厚な演技に圧倒される。
他の役者たちの演技も申し分なく、どっしりと揺るぎない安定したパフォーマンスが物語を支えていた。
キリスト教に詳しくなくても、純粋に映画として面白い。
もし「ミステリー映画史」というものがあるならば、本作はまさにカトリック(=普遍)な立ち位置に据えられ、長く語り継がれていくことだろう。
コメントする