「Donaldにも、ゴメンナサイが言えた頃があった。」アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 えふいーねこさんの映画レビュー(感想・評価)
Donaldにも、ゴメンナサイが言えた頃があった。
セバスチャン・スタンのファンなので、トランプを演じると聞いた時は「見るのもイヤなあの男を、推しが演じるなんて〜!」とガックリ、劇場公開時かなり迷ったものの(近場での上映が無かったのもあり)結局見ませんでした。
気にしつつ、高い評判は聞きつつも今回やっと配信で視聴。
いやなんとも…よく作ったなぁこんな映画。
もう、ソコソコいい年になってるのはわかってるんだけど、セバスタの魅力の1つである「子犬っぽさ」が序盤、まだ頼りない若トランプに滲み出ていて自分が何を見てんだかよくわからなくなりました(苦笑)
「負けても負けるな」はスポーツだったらいいアドバイスと思う。
ただ、スポーツなら真に競って勝つべきは自分自身のみ、というところに落ち着くだろうが、悪のメンター(メフィストフェレスのような)ロイ・コーンの言う「負けるな」はひたすら他者を貶めて貪欲に自身を拡大していくための処世術。
年をとり、してきた事の毒が総身に回ったロイ・コーンは心身ともに弱ったことで逆に人間性を取り戻していく(ように見える)が、もう取り返しがつかないことばかり。この展開はかなり胸苦しい。
「勝って威張りたい」の一念でひたすら登りつめていく、その結果は残念ながら現行の現実で実際に見ることが出来る。いまだに信じたくないが。
ただ、この映画を観たことで現アメリカ大統領を「見る」ことがほんの少し、楽になったかも。見てるだけじゃなくて、現世のためになんかしないといかんな、とも思えた。
ハイリスクな仕事を見事こなしたセバスタに感謝。
コメントありがとうございました。
セバスチャンのオスカーノミネートはサプライズと言われましたが、本作を見る限り妥当でした。
ジェレミー・ストロングも本作でしっかり印象残り、トランプ逸話も知れ、満足の見応えでした。