劇場公開日 2024年11月15日

「決断するたび変わりゆく姿が楽しくもあり、哀しくもあり」対外秘 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5決断するたび変わりゆく姿が楽しくもあり、哀しくもあり

2024年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

序盤はコメディ風の立ち上がり方。かと思えば、登場人物の誰もが数々の運命の決断に見舞われ、誰を切り捨てて他者を出し抜くかで、口では笑みを浮かべながら腹の底では何を考えているかわからない不気味さと油断ならなさを増していく。脚本にスピード感があり、それは良い反面、立ち上がりの関係性などはやや説明不足に思える箇所もある。肝心の対外秘ファイルもタイトルに掲げるには若干インパクトが足りないように思える。が、そこらへんにさえ目をつぶれば、徐々に本作の楽しみ方がわかってくるはず。純真な自分、何者にも振り回されない自分など存在しない。人生はまさに決断の連続。どちらを選ぶか、どのシナリオにコミットするかによって、己は磨かれ、キャラクターが決定づけられていくと言わんばかりだ。ヘウンの妻や女性記者の変わらない態度が逆に強く印象に残るのは、周囲の男たちがあまりに決断しすぎて振り切れ、変貌してしまうからかも知れない。

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牛津厚信