動物界のレビュー・感想・評価
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設定で終わることない深い内容
観た人はきっと、自分ならどんな動物になりたいかと考える
予告編に魅了され、公開初日に映画館にて鑑賞。
冒頭わずか数分で、人間が動物化した「新生物」の姿と、人間とは比較にならない力の強さを有していることが示され、主人公の少年の母、父親にとっての妻が動物化しつつあり、入院中の病院から新生物収容施設にほどなく移されることが明かされる。
ストーリーはシンプルで、父子のやりとりや、関わり合う人々の言葉・態度から、新生物を恐れ、穢れたもので既に人間ではない存在とみなしている人が多いことが伝わってくる。このような奇病の原因やどんな人が罹患するかなどの説明は、映画内ではほとんど無い。人々はすでに事態を受け入れざるを得ないとわかっているのだ。そして、この現象が世界的に広がりつつあることや国により対応が異なることなども明かされるが、主人公たちの周囲では新生物は獣同様と疎まれ、捕獲対象であり時には狩られる。家族内に罹患者がいることは必死に隠さなくてはならないのだ。家族、あるいは親しい人、好きな人が新生物になったら自分はどうするのか。あるいは自分が動物に変化しようとしていると気づいたら。
…改めて言葉にしてみると、この「新生物」化現象を、今の社会で差別され虐げられがちな存在のメタファーとして受け取るのは容易い。例えば罹患すれば外観を著しく損なう病や、ある種の感染症の患者。例えば少数民族や様々なマイノリティ属性の人々。そのような深読みをしてももちろん面白く観ることのできる映画だと思う。
動物化といっても、完全に動物になるわけではないようで、人であるとわかる変貌の度合い、つまりは混じり方のビジュアルが人々に恐れられていた模様。が、一見醜怪に思える異形の姿はそれこそが新しい生き物であり、現代社会の中で脆弱化した人類にとって代われる可能性があるのかもしれない。その可能性が脅威だから、必死に彼らを囲い込み、排除しようとしたのかもなあ。
などと観終わればあれこれ思いつつも、観ている間は動物化した人間の美しさや力強さが描かれた映像が実に魅力的で、観飽きなかった。特に、鳥の人の飛翔場面と、終盤、逃げ出した新生物たちが森の奥にひっそり身を潜め生きようとしている場面は、再びじっくりと味わいたい。動画配信されたらまた観よう。
人間界も動物界も天国であり地獄
《試写会にて鑑賞》
素晴らしい作品を観ました。
まさかこんなに泣くとは…。
新生物との友情と父の愛に感動。
原因不明の突然変異で人類が動物化。
変容する過程、親子の苦悩と葛藤が
丁寧に描かれていました。
多ジャンルの融合とリアルな社会問題にも触れています。
共存か排除か。隔離か自由か。
それぞれが窮地に立たされた時、
何を優先し、選択して生きるのか。
現代のリアルな目線でストーリーを追うことができました。
また、美しいVFXや緻密な特殊メイク、息づかいが表現されている劇伴も素晴らしかったです。
終盤、新たな生存と受容に直面する家族に大号泣。
生きることについてとても考えさせられるストーリーでした。
因みに犬は無事です。
アルベール賢すぎます!芸達者!
《上映後のトークにて》
元は脚本コンテストに参加し、優勝した学生の原案だと聞いて驚きました。
最初は朝と夜で変化がはっきりとわかる狼男の設定だったらしいのですが、審査員だった監督が作品を制作するにあたり徐々に獣化する設定に変えたそうです。
また、様々な作品に影響を受けながら動物界を制作したとのこと。いくつか上げられていましたが、もののけ姫の名が読み上げられた時は深く納得しました。
まさに”生きろ”です。
進化なのか退化なのか、それとも…
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