「私もなりたい」動物界 映画イノッチさんの映画レビュー(感想・評価)
私もなりたい
エミールと運命的な出会いをする鳥人間フィクス(トム・メルシエ)
異質なものに変身してしまい、1番悩んでいるのは本人自身だという
ごく当たり前のことが、パニックになった周囲には分からない
ただ、そんな状況に自分が置かれたら
怖がり、排除し、挙句の果ては攻撃する側になっているかも知れない
自分のことを共感&理解してくれる相手がいるだけで
どんなに安心できただろうか、どんなに心強かったことだろうか
暴力を受けたにもかかわらず、心を通わせ、
彼が飛べるようになるまで応援・協力するエミールは、誰よりも気高い
それは、父親の影響も大きいし、母親と自分の経験が重なったことも大きいだろう
「失敗は成功の元」と言われるが、
その経験があったからこそ、失敗した人の気持ちが痛いほど分かるようになる
だから人生において「失敗」は、実は「失敗なんかではない」のだろう
この映画では不可抗力の結果なので「失敗」という言葉は当てはまらないけれど
方程式は同じだと思う
ところで、この作品だけでなく、他の映画でもそうなのだけれど、
特に海外の授業や学校生活で見られる明らかな"いじめ"
生徒による生徒への"いじめ"
ある時は言葉で、ある時は嫌がらせで、ある時は暴力で
なぜそれを教師達は注意したり、指導したり、排斥したりしないのだろうか
"いじめ"をとめるという行為は、日本人的発想なのだろうか、文化の違いなのだろうか
大抵が見て見ぬ振りするところが、不思議で堪らないし、心が痛む
この作品を見る前は、不完全な動物に変身した多くのきわどい姿が
特殊メイクで再現されるのかと思いきや、以外と少なかったのは予算のせいなのかな
感染源等の理由が分からなかったし、鳥になったりサルになったりするのがイマイチ
車で警察を振り切り森に入っていったシーンでの
あの決断と言葉は、無謀に見えるかも知れないが、父親としての強い強い愛の結晶
最後の最後になって、一気にダムが決壊するかのごとく涙が溢れた
あの父親のような人間になりたい・・・。
