「共生・共存」動物界 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
共生・共存
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人間がさまざまな動物に変異する奇病が発生している近未来SF。
変異した人間(新生物)は隔離され施設に入れられ、
逃げ出した新生物は迫害され、しまいには殺されたりする。
未知の病気にかかると、このように対応する現代人間への警告なのかなとも思う。
この作品では新生物がいる世界としてSFストーリーとしているが、
本質的なことは、人間同士でも共生・共存が困難な昨今、
新生物を人間の敵としたときに、人は結束する。そこにそうではない人がいるのが救い。
ゆえに、人間同士なんだったら、政治思想や宗教が違えども共生・共存できるはずでしょ?
との問いにも思えた。
本作で最も心揺さぶられたのは、車の中のフランソワとエミール親子の会話シーン。
前半は新生物となった母との想い出の曲を大音量で鳴らし、窓を開けて大声で母親の名前を呼ぶ。
後半は親子でスキーへ行った際の想い出話をし、フランソワがエミールを逃すシーン。
ここは胸熱だった。
人間が動物に変異する、新生物に注目しがちではあるが、
観てみると本質は上述のようなことにあったと思う。
実に鑑賞後感が良い作品だった。
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