「動物である人間が持つ、原始的な愛のかたち」動物界 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
動物である人間が持つ、原始的な愛のかたち
観ながら、「人間も動物でしかない」という視点でこの世界は描かれているような気がしました。
動物に変わっていく子供ら「新生物」と呼ばれるものが、
・異教徒や移民など?
・新型コロナなど疫病のパンデミック感染した人々?
・怪我や病気で外見が変わってしまった人?
・政治的立場でマイノリティになってしまった人?
そのどれでもあり、そのどれでもないのかもしれない。
人間は他者とのかかわり・社会性によって成立する生き物であるが、「新生物」はそこから逸脱し、社会に居場所を失った「異形の者」すべてを内包していそうな気がしました。
そんな「異形」の在り方は、どことなくデル・トロ監督のモンスターたちや、石森章太郎がかつて描いた漫画版・初代仮面ライダー本郷猛を思い出しました。
そして動物も人間も変わらず、「妻や子がどんな姿や立場になったからって、夫(父親)は家族を慈しみ、守ろうとするものだ」という、本能のような「愛」を示していたような気もしました。
ただし、「何故感染し、どんなスピードで肉体が変異していくのか」の設定が曖昧だし、「人としての知性は残るのか消えて動物になっていくのか否か」なんてのも不明確なんで、そこらへんが気になって没入できず、ラストシーンで感情移入しきれなかったのが、作品のせいなのか、自分の性格のせいなのかは判断が難しいところ。
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