劇場公開日 2024年11月8日

「マジョリティからマイノリティへの変貌」動物界 おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5マジョリティからマイノリティへの変貌

2024年11月11日
iPhoneアプリから投稿

最初は半獣(動物になった人間)のことを見下していた主人公が、話が進むにつれて主人公自身が徐々に半獣へと変貌していくことで、マジョリティからマイノリティへと立場が入れ替わっていく話。
映画を観ていて2010年公開の映画『第9地区』を思い出した。

鑑賞中は「自分が同じ状況に置かれたらどういう行動を取るのがベストなのか?」みたいなことを考えずっと頭を悩ませていたが、あまりの難問っぷりに頭から煙が出始めてきたところで「これは空想の世界の話で、実際には起こり得ないので考えても無駄」と思考停止。

映画を観終わっての結論は「マジョリティを守るための秩序によって、マイノリティがどれだけ苦しめられているのかをわからせるための映画」という感じ。
そう考えるとスッキリした。

父親のフランソワはきっと近所から「奥さんと息子さんがあんなことになって大変ねえ」と影でこそこそ噂されているとは思うが、愛する家族のことを最優先に考えて仕事や捜索に奮闘する姿に感動を覚え、途中から尊敬の眼差しで観ていた。
世の中には妻が妊娠中に不倫するような男もいるのに、妻の見た目が獣になっても愛し続けていて偉すぎる。

映画の最初と最後に出てくるポテトチップス演出が絶妙。
オープニングでは親に対する息子の反抗期表現だったのに対し、ラストでは息子に対する親の愛情を伝える手段となっていて、「ポテトチップスをバリバリ食べる」というちょっと滑稽にも思える画に、これだけの深みを与えていて思わず唸ってしまった。

おきらく
luna33さんのコメント
2024年11月11日

ポテトチップス演出はまさにそうですよね。
ラストに父親がポテチ貪り食う姿は泣きそうになりました。

luna33