「【"音が鳴る写真"大切な人の人生の節目節目に記念写真を撮る大切さを描いた作品。平泉成さん映画初主演、おめでとうございます。そして、有難うございます。】」明日を綴る写真館 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"音が鳴る写真"大切な人の人生の節目節目に記念写真を撮る大切さを描いた作品。平泉成さん映画初主演、おめでとうございます。そして、有難うございます。】
◼️今作品は平泉成さんの60年に亘る俳優人生で初の主演作品だそうである。
素直に凄い事であると思ったし、一つの仕事を60年もの間、続けられて来た事にも敬服する。
それ故に、邦画の名優である佐藤浩市を筆頭に、黒木瞳、田中健、吉瀬美智子、市毛良枝らが、友情出演で馳せ参じたのであろう。
◆感想
・今作品は大作ではないし、派手なシーンも控え目に描かれているが、正に平泉成さんの俳優人生の様な作品ではないかな、と思ったのである。
・平泉さんが演じる武骨なカメラマン鮫島が営む古びた写真館。そこに、鮫島の"音が鳴る"写真を見て、衝撃を受けた新進気鋭のカメラマン太一(佐野昌哉)が、弟子入り希望でやってくる。太一は人物写真が苦手なのだが、ホスピスに入院している祖母のために、昔の家族写真を求める孫の想いを叶えるために、夜中、瀬戸内迄車を走らせる鮫島の姿を見て、彼の写真への思いが変わって行く様。
・鮫島の息子は自身の吹奏楽の大会を含め、家族の節目に、海外に写真を撮りに行っていた父に蟠りを持っていたが、父の写真に対する思いを間近で見て、父を見直す姿。彼は自分の結婚式は質素に行う積りだったが、フィアンセのウエディングドレスが着たいと言う本音を聞き、母(黒木瞳)が勤める式場で皆に祝福されながら、式を挙げるシーンも良い。
・太一の表情も、序盤と違い笑顔に溢れていく。それは自分が撮った父(田中健)とケーキ屋を営むけーきちゃん(咲貴)が作ったケーキの写真をインスタグラムに挙げたことで、お客さんが戻って来た事を嬉しそうに語る姿を見て、写真の力を知ったからであろう。
◼️鮫島は妻(市毛良枝)と、結婚した後も式を挙げていなかったが、太一の粋な計らいで二人の結婚式を、写真館に縁のある人達が集まり式を挙げるシーンも良い。
<今作品は平泉さん出身の旧額田郡(現岡崎市)をメイン舞台にして、描かれているのも良い。長年、俳優を続けられて来た平泉さんにとっては、正に"故郷に錦を飾る"作品であろう。>
◼️私事で誠に恐縮であるが、私は今作品のメイン舞台になった都市で暮らしている。鮫島写真館として、劇中度々映される写真館では、人生の節目節目で様々な家族写真を撮って頂いた。特に感慨深かったのは子供達が成人式の写真をこの写真館で撮って頂いた時である。出来上がったアルバムを見て、少し涙が出たからである。
歴史のある写真館のあるこの街が、私は好きなのである。そして、平泉さん、素敵な映画を有難うございます。