ブルーピリオドのレビュー・感想・評価
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その一本の線の生命に 心が開花し それに震えた!
前に ”線は、僕を描く” を観たけども
あれ以来だろうか、こんな思いにさせてくれたのは。
今日は「ブルーピリオド」観に行ったのだわさー。
チョット気になってて、毎度何も予備知識一切持たずに作品鑑賞に挑むのやけども、この東京藝術大学に行こうって言うのに惹かれちゃってね。
ただそれだけっす。
美術のネタものってあんまり無いかな。向き合う姿勢ってのが観ていて好きでね。
どうしてもネタ的に 理数系、スポコン系は多いのやけど、
こう言う 一般人がボ-っと見ても良さが伝わり難いので競うのが 更にイイかな。
漫画アニメの作画系ネタは有るけど、結局視聴率とか購買数とか数値で競ってるから理数系の流れでしょかね。
誰なんよ この白髪頭の主(矢口八虎)は??
あぁ~ 眞栄田郷敦さんなのね。歳は別としてカッコイイね。
そして、高橋世田介:(板垣李光人さん)メッチャ賢そう。
森まる:(桜田ひよりさん)主より歳上には見えんなぁ。
大葉真由:(江口のりこさん)居そうな先生。
佐伯昌子:(薬師丸ひろ子さん)配役 そう来ましたかって感じ。
兎に角、絵を描いて、描いて 描きまくる!!
この熱意には恐れ入った。
普通の受験勉強じゃ絶対受からない。
記憶する勉強なんて意味が全くなくて それがまた興味そそる。
自分で常に考えなくっちゃイケないんだね。
ほぇ~ って感心するばかりでしたわ。そこが衝撃的かな。
(良かった所)
・ブル-タス像のスケッチをさせた時、皆のを一堂に並べて視てゾクってしたな。
主のは わざと下手に描いてあった。
高橋くんのは スッゴィ 一目で感動したな。
確かに 心打つよね。皆 同じ石膏像なのに。この違いw
ここのシーンは ホントに絵を描くって凄さが心底に刺さったね。
・母が東京藝術大学への進学を反対して 諦めさせようとした時、主の心が折れたのを察して友人がスイ-ツ店へ誘った所かな。友人が言う~
お前は何やっても天才で何処か手を抜いてて、楽勝で大学進学するだろうと思ってたけど、真剣に絵に向き合った姿勢を見て凄く震えたんだよ。
だから俺は大学行かずにパテシエに成るって決めたんだ!
ここの 友人の矢口に向けた言葉は深いなと思ったな。
・母が疲れて台所のテーブルに伏せて寝ているスケッチを 母に見せる場面。
両親とも一生懸命働いてくれて 国公立大学なら何とか行ける様にしてくれていて、自分の将来が母の思う方向に重なって無くて ゴメンと言う所ですね。
あそこは 心から泣けましたわ。
そして母に絵の方向(東京藝術大学)に進学することを認めて貰う・・・。
(もうちょっとな点)
・ユカちゃん:(高橋文哉さん)の存在が 案外重いのだけども、人物の背景描写があっさり目かな。もう少し深めで出てる方が良いと思うのだけど。
二人して脱いだ点に目が行ってしまって、この感情が惜しいかなと感じましたね。
・最後の試験に合格した絵。
これが どうも私的には仕上がりに納得できてなくて。なんでコレ?って思ってますね。特に下半身なんですよね。うーーん?って言う表現に思えました。
それと肌の色ね。 こう言う点が難しい所でしょうかね。
言葉やセリフじゃなくて 描写(絵)で総てを描き切る。
眞に映画の神髄。チョイと難しいかもだけど
そう想えた所がGoodでしょうか。
興味ある方は
是非劇場へ!!
明日へ、未来へ、何かを自分でしか刻めない色を描きたい人々に超お薦めです
『YOASOBI』さんの『群青』に今さら刺さって偶然に毎日聞いていた最近。その名曲はこの物語にインスパイアされて誕生したという。
『お前なんて器用で人に合わせるのが巧いだけ、努力と戦略だけだろ!』『あなたが青く見えるならりんごもウサギも青くていいんだよ』
『好きなことをする努力家は、最強なんです』
『1位の画じゃない、最高の画を目指しなさい!』
『天才にはなれない、だったら天才と見分けがつかなくなるまでやるしかない』
『悔しいと思うならまだ戦えるね』
書ききれない程の名言炸裂。『群青』で最も響く言葉『全てを賭けて描く自分にしか出せない色で』も含めて
明日へ、未来へ、何かを自分でしか刻めない色を描きたい人々に超お薦めです。
"今年の最高傑作" これは見るべき‼️""好きなことををする人は最強なんです‼︎""
本作品はブルーピリオドの原作を実写化した物で、私の正直の感想をレビュー致します。
ズバリ、私が最近見た作品の中で本作品はダントツに素晴らしい作品でした‼️
一つの映画としての完成度はかなり高いと思います。ですが
正直、アニメや原作を見てる方からしたらカットしている部分がかなり多いです。原作を知っている方から見たらより感動的になりますが、原作を知らないで初めて本作品を見る方にはキャラクターや内容が少し薄いと思います。原作を知っている方はわかります通りブルーピリオドは人間的感情や視点などが他のアニメや漫画と違って人間性が深く描かれている作品です。
なので一つの映画で2時間弱だと出演している主人公とキャラクターとの関係はやや薄いのがわかります。ここまで書いたら評価は4にしていましたが、本作品(映画)のキャッチ所は
"努力"
努力する人間は最強だということだと思います。確かにキャラクターとの関係は薄いですが、この映画では東京藝術大学を約2年で目指す物語です。アニメとは別の視点で見たら完成度が高すぎるです。2時間っていう長さで2年間の矢口(主人公)が東京藝術大学までの道のりを描いたのは凄いことです。最終的に私はあと1評価をあげた理由としましては魂が動いたからです。
深い理由はないですが、この作品を見たら人生が変わる可能性がただある。いろんな映画を見てみましたが、日本での映画は過去最高傑作だと思います。音楽や映像やキャストは全て完璧でした。ぜひレビューを見た方は劇場で見て欲しいです。
映画では時間が足りない
原作よりリアルな人間のリアクションになったが
漫画表現の歪さや、女性作家から見た男性像の歪さが映画でどうなっているのか気になったので観てきました。
ほぼ歪さが無くなって、キャラの感情がスムーズに共感できるようになった反面、絵の技術に対する情報が削られて魅力が減ったように感じがしました。60点の仕上がりで、昨今の原作無視批判を気にしている感じがしたのは残念です。
個人的に引っかかったのは、ヨタスケ君が主人公を嘲笑ったシーンと、二人が全裸になってスケッチをしたシーンで。
ヨタスケ君は自己の価値観にほぼ完結している人間で他人の作品を嘲笑う姿に違和感があり、恋人でもない2人が全裸を見せ合う事に違和感がありました。原作では視線はほぼ遮られていたと思います。相手を性として捉えるなら配慮が必須で、配慮しまくる主人公とは思えない行動に感じました。そこだけが残念でした。
原作をいつか読みたいと思いながら読めずで、映画になったので観に行...
原作をいつか読みたいと思いながら読めずで、映画になったので観に行きました。漫画の表紙(外見)からもっとツンケンした感じの主人公かと思っていたのですが、なかなかどうして熱くて、優しくて、感受性高い人柄に好感。作品も軽い感じかと思いきや結構重たいところはしっかり重たい。一方で原作では描かれていたであろう、夜間生の仲間たちそれぞれの葛藤にもっと尺が取れたなら、合格発表時の感情移入も増したのにとも思います。まあ、2時間枠では難しいですね。原作のポイントとなるエッセンスと最低限の人物表現、人間関係は満たしての作品になっているのではと思います。これ観て、やはり原作を読みたくなりました。
作品内に出てくる道具やモチーフに向かう学生の目線の動き、筆使い、講評会風景に懐かしさを感じながらも驚くのは、昔も今も芸大・美大受験の勉強も試験もあまり変わっていないということ。つまりは劇中でも語られた「本質」の有無を見極める方法として、時代が変わろうと揺らぐことのない完成形ということなのでしょうか。そのような観点で、かつて受験経験のある方が見ればなおさら共感することも多いでしょうし、経験の無い方でも、東大と慶応&早稲田の差以上に私立美大と距離を置く(リスペクトする演出はありましたが)孤高性、二次試験からの天才同士の競い合い、運次第の受験課題、加えて親の不理解、多浪前提など、一般大学入試とは異なるこの世界を知って楽しめるのではと思います。
刺さる言葉、名言集、人生のバイブル
映画を見るまでは若干不安な点がありました。
それは、原作コミックやアニメだと感情移入した読者が絵の部分は補完するが、実写化だと油画がそのまま油画として出てくるので、そこで冷めてしまうのではないか?と。
そんな不安も軽く払拭するほど、よい映画でした。
きっかけから受験まで、家族や友人、美大を目指す仲間との出会いや数々のエピソードを、上手に取捨選択し一本の映画に綺麗におさめた脚本や映像もさることながら
演技がとにかく素晴らしかった。
正直、眞栄田郷敦を舐めてました、すみません。
セリフが少ないだけに、余計に表情や息遣い、間をつくる演技が重要になるわけですが、
目線、息遣い、間・・どれも凄すぎて、八虎の心情がすごく伝わるし
魅入ってしまう。
コミックやアニメよりも場の空気感・・熱量を感じました。
そして、ブルーピリオドといえば数々の名言
何かに打ち込む側、導く側、見守る側すべての方に留めておいてほしい名言の数々・・・
「好きなことをする努力家はね 最強なんですよ!」
「あなたが青く見えるならりんごもうさぎの体も青くていいんだよ」
「悔しいと思えるなら まだ戦えるね」
「この数ヶ月 君たちは自分の弱さと強さに向き合った そして描き続けた それは結果ではなく必ず君たちの財産になるわ」
などなど、映画に登場する名言はほんの一部だけど
感情、熱意が乗っかって、ほんと言霊の力を感じます。
そりゃ確かにね、八虎だって色々器用にこなすタイプだったから元々の才能があったんでしょ・・な見方もあるでしょうよ。
でも、好きなことがあるということは強いし、努力し貫くことはもっと強い
努力の部分を見ずに「才能」で一括りにするのは違うし、教える側は特に努力の部分を見てあげなければならない。
何かをやり始めるのに早いも遅いもない
いくつになっても、何かに打ち込んでいる時は
青春です。
あとやっぱり、ブルーピリオドは教職につく方や親御さんたちにこそ観て欲しいし
佐伯先生や大葉先生みたいな先生がもっと増えるといいな、と思います。
満点じゃないのは、名言をもっともっと聞きたかったし、ユカちゃんのエピソードとかいっぱいあるから。
最後のひと言にしびれた
正直ほとんど期待していなかった。注目のキャストとしては桜田ひよりの名前があるが、出番は大そうではなく、もちろん眞栄田郷敦に興味は無いし(笑)
が、夏休み大作は既に前週までに公開が済んでいる状況なので、今週公開作は他に目ぼしい作品が無いので仕方なく・・・
しかし、これが意外と良かった。
【物語】
矢口八虎(眞栄田郷敦)は平凡な高校生。仲間と適当に遊びながら、大して勉強もしない割には成績は上々。しかし、真剣に打ち込むものは無く、空虚な思いを抱えていた。あるときたまたま美術の授業の課題で一枚の絵を描いたとき、初めて本当に自分が好きなことに出会ったように感じる。
それまでは金にならない美術に打ち込もうとする奴をバカにしていたが、絵を描くことに興味を持ち始めた矢口は、芸大受験を決断する。ライバル達に自分よりはるかに高い才能を見せつけられたり、芸術という正解の無い答探しにもがきながらも、やっと見つけた好きな道をがむしゃらに進んで行く。
【感想】
意外だったことが2つ。
予告編を眺めて思っていたのは(眞栄田郷敦の実年齢もあり)高校生の話とは思わなかった。てっきり大学生の話かと。
もう1つは、観始めて高校生の話と分かってからは所謂“スポ根”を絵画に置き換えた展開、つまり初心者同様の主人公が人並外れた努力で周囲を驚かせる大金星(芸大合格)を挙げて感動させる、そういう王道青春モノかと。しかし、そういう単純感動ものではなかった。
内面的成長の物語だった。若者が自分の生きる道を悩みながら見つける物語であり、予想外に見応えがあった。自分の好きなものを見つけても、将来の仕事に繋がらないかも知れない道をつき進むには勇気がいる。迷う中で指導者の言葉による気付き。自分より才能のある者を前にしたときのあせり。 それでもがむしゃらに頑張った末に辿り着いた新たな境地。
美術の先生の「好きなことをする努力家は最強」という言葉も予告の中で聞いても響かなかったが、最後まで観ると、なるほどと思えて来る。好きな道を見つけても諦めればそこで終わるが、自分を信じてやり続け、やり切れば、それまでとは違う世界が見えて来る。そう感じた。
それを強烈に感じたのがエンディングのひと。これが作者の言いたかったことなんだと気付かされる凄く素敵な言葉だった。
もっとチャラい映画かと思って見たけど…⭐︎
若手の役者が結構出ていて、もっと軽めの作品かと思って見たけどすごくマジメ(?)な作品になっていた。
何でもそつなく出来る眞栄田郷敦演じる谷口八虎が美術の時間に描いた青の渋谷の風景が
きっかけに自分自身思いもよらず絵の世界に魅了され、東京芸大に挑戦する物語。
彼を取り巻く高校生活も丁寧に描かれているし、脇を固める大人達(女性が多い)の薬師丸ひろ子、
江口のりこ、石田ひかりのポジションも良い。
八虎が絵が好きになり のめり込んで行くさまに、結構引き込まれていく。
好きになることが一番強いんだなぁ…と。
絵を描くシーンも丁寧で、モチーフやエピソードも多様な作品が次々に表現される。
多数の絵画の協力者がエンドロールに表示され、絵を志す人には沁みる作品なんだろうと
思う。
眞栄田郷敦の高校生には無理がある気がするし、板垣李光人、高橋文哉もちょっとだけど
それでも充分にこの作品の世界観を表現している気がした。
思ったより印象に長く残りそうな映画。
原作未読だから、レンタルしてみよう。
ただ、BGM!ホントうるさいよー!
原作の良さが伝わってこない
作中で描いた自画像やヌードの絵は迫力があり劇場で観る価値があると思います。キャラクターも実写化によくある違和感みたいなのは少なかったです。
肝心の内容はとりあえず受験の最後までやった、という感じで薄っぺらく感じました。
原作を読んで感じた良い所が映画では端折られていたり変わっていたのは残念です。(恋ちゃんとのシーンとか2次試験の描き方に辿り着くまでがあっさり過ぎる…)
合否結果を観に行くとこの橋田と桑名さんも緊張感0に見えますし…
あと世田介くんが徹底的に嫌な奴にされていたのは何なんですかね?出てくるたびにイラッとしました。
お受験だと芸術はスケールダウンする
原作の漫画は未読です。
なぜか成績優秀だけど髪を金髪に染めて日頃、不良仲間とつるんで空虚な日々を送る主人公の八虎君。
彼がたまたま美術室で天使っぽい絵画に触発され、またその描いている女子の先輩の絵に向き合う姿勢にも共感し(というか恋心抱いて)、一念発起して倍率的には東大より入るの難しいという東京藝術大学の油絵科?を目指すお話です。
まず導入部の話しの流れ的に絵ごころがなく、好きな絵画さえその時点ではっきりしていない受験生がなぜ急に油絵を描こうとするのか・・・好感持つ女子先輩の素晴らしい絵が気づかせたって言ったらそれまでなんですけど、ゆったり話は進みながらも何か判然としないものがありました。
また、家がおそらく共稼ぎで経済状況はよくなく、ただでさえお金がかかる美術系大学(行ったことないので予想)が、国立大一本になってしまうのは良しとして何故、いきなりトップオブトップの藝大(たぶん)なのか。
私、主人公が行く気にならないといったさらにランク下の文系私大卒なので、このあたりの知識がなくて主人公の志望動機がなんだか理解できませんでした。
納得いかなかったので調べたところ原作者さんが藝大卒って情報があり、このあたりはフィクションを織り交ぜながら本音は隠しつつ、作品の中で自分語り始めちゃった感はありますね。これも原作者としての一種の自己投影なんでしょうね。
それはさておき、とてつもなく高い目標を乗り越えるために努力を重ね、何度も何度も挫けながら立ち上がり、ライバルと切磋琢磨し、少しずつ上昇していく様は何か清々しいものがありました!
ただ、ストーリー的に芸大受験の合否までが切りとられ、受験日までカウントダウンなんかしはじめるから個人的には好きじゃない「お受験映画」みたくなってしまいました。せっかく構築しつつあった芸術的な空間の広がりが制限をつけられ追い込みかけられて矮小化され、一気にスケールダウンしてしまった感覚があります。原作もこんなノリなんでしょうか?
一方、個性的な脇役はなかなか良い味を出していましたし、薬師丸さんとか江口さんとか演技力あって大好きな役者さんが好演していてこのあたりは、手放しで高評価したいですよ。
では。
あなたが青く見えたなら
あなたが青く見えたなら、りんごもうさぎも青くていいんだよ。
こんなことを優しい声で言われたら射抜かれちゃうよね。
桜田ひよりの醸し出す雰囲気が良かった。
眞栄田郷敦の抑え目な演技も素晴らしく惹き付けられた。
高橋文哉はこんな役もできるのか!同時にドラマで伝説の頭翔を観ているので、可愛い学ランスカートミックス制服に目を奪われる。
カメレオン俳優だ。素晴らしい!海のシーン、裸を描くシーンがこの映画のいちばんのキモでインパクト大。
板垣李光人の好敵手を出すことで、天才型と努力型を対比するのも見やすく面白かった。
両親のバランスは石田ひかりが強すぎておかしいけど、まあ、ほのぼのした両親ですぐ慣れた。
学校の先生、薬師丸ひろ子の進路の考え方優しいひとつの選択肢としての導き方、美術館予備校の先生、江口のりこの具体的な熱血指導、どちらも若者に取って大切な大人のアドバイスだ。
子どもが好きなこと、時間を忘れて打ち込めることを見つけたら、それが例え職業にならなくても食べていけない世界でも、やがて応援したくなるのが親心。現実の世界では応援して貰えないことも多いけれど応援した方が伸びるのは間違いない。
親目線で観たり、若き日の受験や舞台演劇に一生懸命だった自分や美大や芸大に通っていた友達を振り返って思い出して観たりしていた。
周りに合わせて、周りの期待に応えて生きていく人生より、自由に好きなことを伸ばして生きる人生の方が悔いがない。
ブルーピリオドは、今、好きなことを仕事にして、好きと食べていくの狭間で、本当に好きなことをやれているのか、心の原点を思い出させてくれるような映画だった。
原作未読だが、この映画の話の続きが気になる...
「カンハレ」 鑑賞動機:予告7割、原作2割、ユカちゃんを相応の説得力持たせて実写にするのって難しいのでは1割。
映画予告に触発されて原作の一部(4-14巻)を読んだ状態で臨む。(大事なところ読んでない…。)
「カンハレ」では、濁点からいくかそのまま本体へいくかドキドキしてしまった。いただきまーす♪
国立大学で芸術を学べるところは、別に藝大以外にもそれなりの数あるだろうに(筑波の芸専とか)と思ってしまうが、教育学部の系統とは方向性が大きく違っているのだろうか。
眞栄田郷敦は安心して見ていられる。モノローグで補強されてるとはいえ、視線の彷徨わせ方とか、目の泳がせ方とか、特に自身の気持ちが定まらないときの表情はよい。
高橋くん、いやユカちゃんは役柄として非常に難しかっただろうけど、一人称をおそらく意図的に変えていて、揺らぎというかグラデーションをうまく出せていたと思った。
色々と削ぎ落としたことで、特に脇役陣の人物像が薄くて物足りなく思うところもあるが、セルフヌードの場面は…途中驚いたけど納得です。ああっ?! 郷敦が鏡に!
でも好きなことが仕事になると、それはそれで逆に辛くなることもあるからなあ。
芸術は深い
描くと言う事
原作はずっと気になって、買うか迷ってたヤツ。本作を観るにあたって2冊だけ試し読みした。
本作は勉学も人間関係もノルマをこなすのは得意ではあるが、ふとしたきっかけで美術の世界にふれ、芯の無い自分に気付いて絵にのめり込む主人公と周りの人々の話で、原作は群像劇的部分もあり既刊15巻でまだ続いている。
映画は東京藝大受験をメインとしている。
映画鑑賞中ずっと思っていた事は、芸術大学を目指した人以外はどう感じ、面白いのだろうか?って気になってました。
主人公が絵を描いてみて、初めて他者に理解される所が原作より割とアッサリ描写されてて、もっとエモーショナルな演出を予想してたので、透明じゃ無い自分の発露から描きまくるには弱いと思いました。
藝大の存在を知り予備校に通いだす中で、主人公以外の人の絵をちゃんと見せないので(石膏像デッサンは比較描写があるけど)、他者の技量や才能の差が分からない。
予備校内での順位に説得力が無いので、高橋クン(原作ではデッサンは抜群だが色を塗るとそれほどでは無い)が予備校を辞めるのも唐突に感じました。
新しい世界を知った主人公が、その熱量で才能を超えた努力(それも才能だけど)で成長する様で見る者を引っ張り結果感動する話なのですが、映画においては結局、勉学や人間関係のノルマを起用にこなす様に受験をこなしたとも感じました。
高橋クンの言う『美術じゃ無くても良かったクセに』は正にその部分で、その熱量が自己表現から受験にすり替わってる指摘と私は思ったのですが、映画の主人公は怒るだけでした。
原作は15巻も続いているので、触れていると思いますが、受験に於ける自己表現や対策等と自分の作品と言える自己表現は根本が違う事が映画では誤魔化されていると感じました。
主題や課題を他者に与えられて描く事と、自分の内や外の問いや答えを魂から引き出し描く事は全く違ってて、それこそ芸術に正解は無いところです。
映画で表現されてた事は、自己表現の喜び苦しみから、いつの間にか受験合格がゴールの様になってました。
そこに感動を持ってくるとお受験映画になってしまいます。
これから始まる自己との戦いを匂わして終わって欲しかったです。
5×200ー5=995のその後
映画として観るものの興奮を呼び覚まし満足させる。
という意味では、主人公はこれ以上ない達成を得ますし、実際感動しました(自分A)。
以下は、感動したのとは違う、もう一人の冷めたところのある自分Bの感想です。
私には、この主人公の藝大合格は、キングダムの主人公 信が天下の大将軍になることに匹敵するほど稀有なことのように見えてしまいました。
合格枠5人に対して200倍ということは、毎年995人前後の若者が涙を呑んでいる。そして浪人したり武蔵野美大や多摩美大や専門学校などに入ったりアニメスタジオの門を叩いたり、アルバイトしながら別の職業を模索したり…
ということになるのでしょうか。
『好きなことで食っていける』人はどんな仕事でも少数なのはみんな分かっているのに、いつしかそれが強迫観念のようになって、いつまでも自分探しをやめられない人ってどれくらいいるのだろうか。
『食っていける仕事が、いつの間にかそれなりに好きな仕事になっていた』という人のほうが多いと思うし、仕事を通して出会う人との縁が自分を成長させてくれることに気がつけば、それで十分豊かで幸せな人生だと思います。
合格できなかった多くの人たちのその後についての描写がまったくないのが、とても気になって仕方がないのです。
文哉くんと郷敦くんのヌードが美しい
原作はこの作品と同期するところまでは読んでいた。
その上で、キャストもストーリーも再現度が高いと思いました。
しかし、八虎くんの周りの魅力的な人物がいるのに、あまりに深掘りされてなくて、表面的になってしまっているのが惜しいと思いましたね。
ユカちゃん(高橋文哉)は、女装している美形のおとこの娘。好きなものは女性と変わらないのに家族からは認められない。友人たちはみんな自然に受け止めているのに⋯。
ヨタスケ(板垣李光人)くんは、天才肌の美術オタク。桑名マキ(中島セナ)は藝大に首席で合格した姉を持ちプレッシャーに潰されそう。恋ヶ窪晋(兵頭拓海)は八虎の不良仲間(でもとても良い奴)。
それぞれとても魅力的だけに、置いていかれるのは⋯。だから連ドラだと良かった。かも。
前に見た流星くんの「線は、僕を描く」のように静かな文系映画だ。
一言言うなら藝大に合格するのに2年の努力でできるのは天才レベルの話に見えてしまう。できる人だったんだと思えてしまうのが惜しかった。
そういえば郷敦くん自身も、藝大を受験して失敗したんだよね。映画とはいえ合格出来てよかったね。
どこかでそのサックスを聞かせて欲しいな。
画の凄みを映像化する離れ業をやってのけた傑作
まるで期待しておりませんでした、ただ予告編で主演の眞栄田郷敦の「目力」が何やら私の心を刺し、鑑賞を決めた次第、大正解でした。原作が漫画なんてまるで存じ上げず、本映画としての感想です。なにより予告もなしに突然開けるその瞬間を映像化し得たことが傑作の証なのです。東京芸術大学の入試の難しさなんてまるで知らず、現実はこんなもんじゃないかも知れませんが、こんなケースもあり得ると思わせてくれたのですから十分です。
今時の高校生の生態がこんなにチャラいの?と驚きではあるけれど、スポーツバーでビール? 朝帰り? 髪染めなんて当たり前? それらを飲み込んでしまえば、その先は私の高校生時代と意識はさして変わらない。ダチとつるんでの行動を無意識の安全牌だと言う事、そしてその輪から逸脱する微妙な個の飛躍を遠慮気味に、しかししっかりと描き、涙すら催す輝きをしっかりと私は受け止められました。言葉にすれば簡単でしょうが、水彩絵の具が水面で一瞬にして拡がるさまで表現する映画的悦楽に、萩原健太郎監督ってこんなに巧かった?って嬉しい驚きでした。吸ってもいないタバコを常に持ち歩く、この感覚だけで一瞬で我が青春の痛みが蘇るのです。
お話は芸大受験一直線のスポ根もどきですが、努力すれば報われる世界ではない。けれど感性を研ぎ澄ますに、方程式はまるでない、結局のところご当人が紆余曲折、足掻いて叫んで見つけ出せるか否かの狭間の物語。そこに至るにまずは高校二年の段階での好きな事の発見が第一、第二は目標定めたら一気呵成、美術の予備校での切磋琢磨、そして第三が受験の修羅場と大きく三つに分かれる。
先輩の女高生、武蔵野美大の推薦合格に至るまでの交流で、課題と出された風景画で確実に答えに至るプロセスが圧巻です。「あなたが青く見えるなら りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」って凄いですよ。プッシュする美術の教師役の薬師丸ひろ子が付かず離れずの温か味で主人公を包む。「好きなことをする努力家はね 最強なんですよ」ここで主人公は自ら気付く。
美術予備校での天才との出会いは強烈で、確かにそれを観客に判らしめる形で提示される。ごもっともごもっともと。江口のりこ扮する講師の衣を着せない物言いも納得で、比較される絵画も違いが判るのが絶妙で。ユカちゃんこと鮎川龍二の造形も何の違和感も感じさせません。「悔しいと思うなら まだ戦えるね」は言い得て妙。本人も一挙に目覚め「才能がない人間でも天才と見分けがつかなくなるまでやればいい」とのめり込む。高校でつるむ一人が廊下から沢口の変容が気になるシーン、しっかり後から「俺パティシエになる」と伝える素晴らしい連鎖反応に、涙ボーだです。
いよいよの受験が振るっている。一次が「自画像」二次が「裸婦像」、いきなり筆を走らせるのではなく、意識を言葉にしそれを文字として書き留める、この作戦が実に分かり易い。一次は偶然のアクシデントによる鏡の破損によるアプローチ。二次はその直前でのユカちゃんの失踪に絡み、全裸で己の自画像を描くシーンが本選で活きる。ご都合主義といわれればその通りですが、プロセスを映像で積み上げる手段として巧く活きている。ちなみに、裸婦のモデルさんが登場しますが、モデルの全裸正面ショットくらいあって当然とも思うのですがね。
こうして、いよいよの発表シーンもお見事で、事業に失敗し今は夜勤の父と母に静かに伝える。この母には前段で母のスケッチのシーンがあり、奥行きを感じさせる画づくり。ついで予備校講師のサプライズ笑顔、そしてつるんだ仲間達の歓び爆発シーン、最後に高校の恩師がまさに二次試験の作品を観、観客にも初めて見せる仕掛け。
前述した刺さるセリフも原作由来でしょうし、夜明けの渋谷の街に浮遊するシーンも漫画由来でしょう。と言うことは映画に登場した絵画の数々はどう表現されてたのでしょうかね、漫画では。この辺りが、漫画原作の映画化において絵コンテがわりになってしまっている事が、いいのか悪いのか悩ましい。それにしても眞栄田郷敦の圧巻の美しさと憑依したような熱演が確実に本作を支え、彼無しには成し得なかった境地が確かに本作に息づいてました。
全284件中、161~180件目を表示