「圧倒的な熱量で描く青春」ブルーピリオド タカヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的な熱量で描く青春
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主人公を完ぺきに自分目線で観ていました。
八虎の焦燥感、葛藤、決意、喜び。
多感な高校生を勢い良く表現していて素晴らしいです。
才能なんかなくていい。
自分がこれがやりたいと決めたら、その思いで突き進めばいい。
龍二の言葉じゃないけど、
「悔しいと思えるならまだ闘える。」
そう信じて努力を重ねる八虎に心を揺さぶられます。
特に印象的だったのが、親友とタルトを食べてるシーン。
母親に反対され、失意の中で彼を奮い立たせたのは、絵に打ち込む姿を見てパティシエになることを目指す、友達の言葉だったというくだりです。
自分の歩んでいる道は間違ってない。
そして友の優しさに、思わずタルトを無我夢中でかぶりつくしかない。照れながら。
「これ旨いぞ」という所が八虎の人柄が垣間見えて熱いです。
そんな純粋な思いだから、受験に反対していたお母さんをも味方にできたんですね。
母親演じる石田ひかりさんが、息子への接し方や空気感が凄く素敵でした。
息子の進路に理解を示した最後
に、書いてくれた絵を見つめ一言、
「ご飯食べなさい」
もう最高です。
母ちゃんはこうなんです。
久しぶりに泣いてしまいました。
話の時間経過があっという間でポンポン進んでいくのに、1つ1つ丁寧に作られているから、どのシーンも見応えがあります。
そして何より、東京芸大合格を単なるサクセスストーリーのような共感しにくい物語ではなく、人間ドラマとして昇華させたのは、ひとえに八虎演じる眞栄田さんの作品に没入する熱量だと感じました。
いい映画でした。
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