「原作自体を否定したい」ブルーピリオド nakajiさんの映画レビュー(感想・評価)
原作自体を否定したい
アニメを全話視聴済み
美大受験という一般人では想像もつかなかった内容を知って、興味津々だった
そういう意味では面白い話だし、映画は短い時間をやりくりしてよく出来ていると思う
ただし、よくよく考えてみると・・・
これ、成功体験ですよね、受験の
”ドラゴン桜”のような受験ものなんですよ
東京芸術大学の油絵科に入学するための
科目が特殊なだけ
となると
なぜ、東京芸術大学を目指す必要があるのかな?と考えてしまう
もっと油絵を学びたいとか
尊敬する画家が講師にいるとか
才能のある人達と交流したいとか
それとも
東京芸術大学出身という箔をつけたいのかな?
高校2年で急に絵を描きたくなった
それはいい
なら、トップの東京大を目指す
ですよね
なんか、エリート意識が鼻持ちならない
純粋に絵が描きたいんじゃないのではなかろうか
絵が描きたいだけなら、そもそも絶対に学校行かんといけない必要は無いだろう
目標はなんなんだろう
なんか、思っているほど純粋な心ってないんじゃないだろうか
いや、東大に入って日本を改革してやろうなんて大志を抱く学生に比べれば、東京芸大に入らないと始まらないなんて考えている学生って・・・・
なんなん?
課題の自画像
”ここで目立たないと落ちる”
これは受験のテクニックですよね
”俺の絵で全員殺してやる”
だったかな
芸術ってそんな相対的な物だったかな
油絵を書くには、もちろん技術もいるでしょうけど、東京芸大にいかないと学べないのかな?
彼らの成功ってなんなのかな?
絵が売れて金持ちになること?
賞を獲ること?
生きている間に絵が売れるような人は少ないし、それは実力だけじゃなくて、運だったり、プレゼン能力だったりするんじゃない
流行もあるしね
入試自体も運要素が大きい感じ
と、ふと原点に立ち返ってしまった一般人でした
実写映画はなぜ作ったのかな?
あのメンツで作ったって観客が入るわけがない
まあ、頑張ったほうです
原作の力かもしれないけれど、それ自体を否定したい
テレビでアニメーションやってるだけで良かったんですよ
なにか裏事情でもあったのかな
一定数の作品を作らないといけないとか、誰かを売り出したいとか
はっきり言ってロードショーでこれが放映されたのが意味わからん
40日間で5億円弱
配信に売ったりすれば黒字なのかなあ
タイトルに反応した原作ファンで映画とアニメ未読の通りすがりです。
藝大を目指す内的動機が伝わってこないので不満に感じるんだと理解しました。
実際、原作でも八虎が数ある芸大から藝大を選んだのも、親の経済的な制約の中で学費が最も安いという安易なものでした。先生の口車という雰囲気に流されて、という要因が大きいと思います。そこだけ切り取ったら、なんでそんな理由で始めてお前は成功するの?と天才肌の彼にイラッとするかもしれません。
しかし、映画やアニメと違い、原作は大学編という続きがあります。そっちの方が既に長いです。そこで八虎はそれまでの大学受験が根本から否定される経験をします。慣れない大学生活にもがきつつ、八虎はどうして絵を描きたいのか?という内的動機を再構築していくのですが…という後の八虎を知ってると初期の彼の青臭さや鼻につくところ(今でもありますが)がなんか親目線で許してしまうんです。原作は受験編と大学編でセットで八虎の成長を追うべきで、大学合格ですっぱり切るのは原作が伝えたかったテーマへの否定です。
なので、原作まで否定しないでください…