「やはり原作。だけど良作。」ブルーピリオド とまとまとさんの映画レビュー(感想・評価)
やはり原作。だけど良作。
原作が大好きで何度も読み返しています。アニメも視聴済み。
申し訳ないですが、順位を付けてしまうとすれば
原作>アニメ>実写 かなと個人的には思いました。
評価できる部分やリスペクトも感じましたが、原作の良さを最大限表現しきれていないなあという感想です。
ただ原作を知らない人が観れば(元々内容は素晴らしいので)評価が高くなるだろうなと感じました。
良かった点
・映画冒頭部分
渋谷に向かう地下鉄とノリの良い音楽から入るところでオシャレな入り方するなあと思いました。
・森先輩との掛け合い
一緒に描くシーンが追加されていたことで、卒業時にお互い描いた絵を交換するシーンのエモさと2人の関係性が際立っていました。無理な恋愛展開にしなかったのもよき。
・縁の絵
実写映像ならではの表現で興奮しました。かっこよかったです。ただ火花散らしながら描くシーンは「ガリガリガリガリ!」と激しく描くというより、ゆっくり線を引いているところに激しく火花が散るイメージだったのでちょっと解釈違いでした(細かすぎ)
・母親との和解シーン
あそこは内容を知っていても感動しますね。役者さんの演技もあってうるっときました。泣いてる方もちらほらいらっしゃってなぜか嬉しくなりました。
・演技
演技っぽくない自然な演技が良かったなと思いました。作品の雰囲気にマッチしていたと思います。
残念な点
・台詞回し
原作リスペクトは分かりますが、自然な演技をさせたいのに漫画っぽい言い回しをそのまま使っているところが多々あり、浮いていたと思います。特にユカちゃん役の高橋さん。キャラ自体が現実っぽくないので難しかったとは思います。どちらかと言えば台本の問題かなと素人ながら感じました。そのあたりは逆に先生役の薬師丸ひろ子さんが圧倒的にに上手でしたね。まんま先生でした。
・世田介君のキャラ
うろ覚えですが、公表の時八虎の作品を馬鹿にしたように笑っていたシーンがあったと思います。世田介君ってあんな風に笑うか...?とちょっと引っかかりました。ここは僕の解像度が低いのかもしれませんが。そこ以外はとても世田介君でした。
・橋田君
桑名さんに比べて出番少なくね!?美術館に絵を観に行くシーンは一緒に行って解説してくれるみたいな展開にしてくれても良かったと思います。変な髪型したモブみたいになってました。悲しい。
・端折り
映画の長さにまとめなければならないので非常に難しかったとは思いますが、結果的にユカちゃんがなぜあそこまで悩んでいたのかとか、八虎の苦悩とかの描写が若干浅いなと感じました。「手段で手段の絵を描いていたんだ」のところとか、ちゃんと観客に伝わったのかな。
総評
細かいことを言い出すとうざい原作厨になってしまいますので終わりにします(すでにうざい)
やむを得ずカットしてしまったシーンがあったり、都合上八虎がクール過ぎたりと色々気になる点はありますが、いわゆる失敗作ではなく、よくまとまっていました。
原作未読の方には特に刺さってくれたのかなと思いますし、作品の良さを世に知らしめ、「好きなことに一生懸命になることへの苦悩」を抱える人を励ますような作品になったと考えればとても良い映画だと感じます。
愛ゆえ、細かいことを言ってすみません。
引き続き映画スタッフの皆様と、山口つばさ先生のご活躍を心より願っております。