「この熱さ、情熱、素晴らしい!」ブルーピリオド Qooさんの映画レビュー(感想・評価)
この熱さ、情熱、素晴らしい!
ブルーピリオド
何となく周りに合わせて適当に砕けながらもしっかり勉強もして、将来も国公立の大学を確立させるかと思われた八虎。順風満帆に見えるが何か手応えがない。
しかし出会ってしまう。
森先輩の絵をみて感動を知ってしまい いてもたってもいられなくなる。
絵を描くことで、やっとそこに自分を見いだし、受かるかどうかも分からないが倍率200倍の東京藝術大学、東大よりも狭き門に挑戦する。
まず自分のやりたいことをやれてる人なんてどのくらいいるのだろう。
中学、高校生のうちにやりたいことがハッキリしてる子なんてそんなにいないだろう。
だがしかし八虎は絵と出会ってしまい、芸術の素晴らしさに触れてしまい、あんなにも真っ直ぐに夢中になれるとは どんなに素晴らしいことか。
森先輩の絵に対する情熱が、美術教師の佐伯先生の、八虎の可能性を広げる優しい語りが、好きなことを選んだ八虎をみてパティシエになろうと思った友達、八虎を嫌いだというライバルで才能ある世田介が八虎を認めるくだり、初めは八虎のことを嫌悪していたゆかちゃんこと龍二も、だんだんと八虎の努力を認めて何かと支える存在になり、そんな八虎のまわりの数々の言葉がすごく突き刺さり、何度も目頭が熱くなる。
性的マイノリティに悩む龍二の辛い思いも、今の時代一番の理解者が親であるべきなのに。
八虎の将来を心配する母親の気持ちもものすごく分かるが、そうやって自分の子供が苦労しないように、失敗しないようなレールを植え付ける親も多いのではないか。
何となく親の期待に答えようとしていた八虎が、自分の好きなことが明確になり、最終的にその思いを母親に伝えられた事が良かったし、反対していた母親も、八虎の強い決心を受け入れ、信じて父親とともに応援する姿も良かった。
藝大の狭き門をくぐる為には 在り来りな発想では残れない。凄まじい努力でひたすら絵を描き続け、学び、色んな感性を身につけ、絵を通して自分を見出していく。
なかなか自信を持てず右往左往する八虎のその成長が素晴らしく、自然と応援している自分がいた。
藝大の1次試験の結果が出た時、2次試験も終わり合否を決めた発表を見る時も
一緒にドキドキし、結果に「よし‼️」と喜ぶことができた。というか声に出てしまいそうだった。
日本の将来が懸念される今、若い人に響いて欲しい作品。