「とにかく綺麗な映画」ブルーピリオド 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく綺麗な映画
予告編が印象的だったので、原作未読で観に行きました。高校2年で突然東京藝術大学に入学することを思い立った主人公・八虎と、同級生や母親との葛藤を題材にしたお話でした。お話そのものは大変面白く、また絵を描くという、この世で私が最も苦手とすることを、戦略的にやっていくという八虎の行動は、中々興味深いものでした。
友人関係では、完全に女子に変身していたユカちゃんや、端から敵対的な世田介らと、徐々に理解し合えるようになり、また母子関係でも、当初藝大行きに反対していた母親の理解も得るなど、”相互理解”をテーマにしたところに共感したところです。
また、八虎を演じた眞栄田郷敦や、ユカちゃんを演じた高橋文哉の美しさが際立っており、映像美と相まって劇場で観てよかったと思える作品でした。
一方、高校2年から3年を演じた彼らの実年齢が二十歳を数年超えており、実際ちょっと高校生には見えないところはちょっと残念ではありました。序盤で渋谷の飲み屋で同級生同士で飲むシーンがありましたが、昨今では年齢確認が厳しいので、実際こんなことが出来るのかしらという疑問もありました。
さらに、ユカちゃんが”小田原の海”と言っただけなのに、八虎がピンポイントでその場に行ってユカちゃんを助けたり、入学試験中に鏡が割れ、その割れた鏡を見て絵のヒントを得たことなど、偶然性に依拠するというか、ご都合主義的な展開もあり、その辺はもう少しセーブして欲しかったように思いました。
そんな訳で、本作の評価は★3とします。