劇場公開日 2024年8月9日

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「物語のテーマであるはずの「情熱」と「努力」が今一つ伝わってこない」ブルーピリオド tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0物語のテーマであるはずの「情熱」と「努力」が今一つ伝わってこない

2024年8月9日
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たとえ天才でなくても、情熱と努力で成功できるという話は美しいし、主人公が「好きなこと」に巡り合い、それにのめり込んでいく姿には胸が熱くなるのだが、ひねくれた性格のせいか、世の中、それほど甘くはないだろうとも思ってしまう。
実際、主人公には、「天才と見分けがつかなくなるほど努力できる」という「才能」があった訳で、やはり、そうしたところは、そこらの凡人とは違うと思えるのである。
ただ、その割には、主人公が絵画に打ち込む情熱や、人一倍努力する様子が、映像表現として、今一つ伝わってこなかったのは、物足りないとしか言いようがない。途中、乗っていたバスが赤熱化したり、絵筆から火花が飛び散ったりする場面も出てくるのだが、こうした、VFXを活用した「情熱がほとばしる」ような描写がもっとあっても良かったのではないかと思う。
それから、予備校の油絵科の生徒として、せっかく個性的な面々を揃えたのに、そうしたキャラクターがほとんど活かされなかったのも勿体ない。彼らがもっと活躍していれば、後半になるにつれて物語が失速し、退屈に感じられることもなかったのではないかと思えてならない。
ラストの、東京藝大の受験のシーンでは、絵画の技量もさることながら、いかに個性を出すのかという「アイデア」の勝負であるということが分かって面白かったし、1次試験で主人公が描いた自画像も、その着想の妙を実感することができた。
その一方で、2次試験で主人公が描いた裸婦の絵については、確かに「素敵」とは思えるものの、こちらに芸術を解する鑑賞眼がないせいか、どういったところに「裸の薄っぺらさ」が表現されているのかが理解できず、やや釈然としないものを感じてしまった。
それから、受験の時に、主人公の腕に浮き出ていた湿疹のようなものの正体や、体調不良の原因についてもよく分からなかったし、それが、ストーリーに影響することもなかったのだが、あれは一体何だったのだろうか?

tomato
tomatoさんのコメント
2024年8月19日

もっと「がむしゃらさ」や「泥臭さ」が感じられれば良かったのですが、映画そのものが洗練され過ぎていたように思います。

tomato
Mさんのコメント
2024年8月19日

「努力」が画面では感じられませんでしたよね。何かこの作品そのものの方が薄っぺらい感じがしてしまいました。

M
tomatoさんのコメント
2024年8月13日

なるほど。
だとすると、体調不良の原因は「風邪」だったのですね。
風邪気味で、2日間、風呂に入らなかったということなのでしょうか?
それにしても、特に1日目は、体調不良のせいで全く絵が描けなかったといった展開にするなど、もう少し盛り上げてもらいたかったと思います。

tomato
uzさんのコメント
2024年8月12日

体調不良の原因は、海に入ったこと(+裸で絵を描いたこと?)だと思います。
ストーリーには全く活きてませんでしたが。
小田原に行ったのは“2日前”なのにまだ「海の匂いがする」のが不思議です。

uz
tomatoさんのコメント
2024年8月10日

そうだったんですね。
貴重な体験談を、ありがとうございました。
東京藝大を受験するとはどういうことなのか、お陰様で理解を深めることができました。
こうした実情を知るにつけ、映画は、やはり「出来過ぎ」であったと思わざるを得ませんね。

tomato
ジルバさんのコメント
2024年8月10日

37年前に受験して砕け散った私です。
共通一次試験は足切りも無くただ受ければいいだけのものでした。
一番辛かったのは予備校の先生の講評。一浪の夏まで床に作品を置かれ何も評価は無かった。
素人があんなにうまくブルータスはえがけません。もっと屈辱的な辱しめられる描写があってもよかった。原作の山口さんは天才で合格したんでしょう。
映画ならではのあり得ないことを可能にしてしまうところがクスッとしてしまった。
私は工芸の2次までいきました。粘土で落ちました。苦手な手と布とコンクリートタイルがモチーフでした。

ジルバ