劇場公開日 2025年3月14日

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「そう来たか!」ドマーニ! 愛のことづて 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0そう来たか!

2025年6月2日
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鑑賞方法:映画館

笑える

驚く

原題は「まだ明日がある」。
映画の中の重要な台詞。

舞台は1946年、第2次大戦直後で
まだ米軍が駐留しているローマ。

男性は女性を愛でてはいても、
人間扱いはしていない。
夫は妻を自分の所有物だと思っている。

それは階級も貧富も年齢も問わないんだが、
デリアの夫は、中でも最悪の暴力ゲス野郎。

たとえば
デリアは夫の許可なしには何をすることも許されないし、
朝、目覚めるのが夫より遅いというだけで、いきなり平手打ちをくらう。

娘のマルチェッラが中学へ行きたいと言っても、「女に教育は要らん」。
おまけに金にセコくて「行くなら自分の金で行け。え? 無理だろ?」

もうとにかく、唾棄すべき男尊女卑の見本市。
観ていて辛くなるんだが、
DVのシーンなどは、辛くなり過ぎないように工夫して撮られているのが助かる。
(それ以外は、かなり笑えるし)

デリアは、軽やかに受け流して忍従するしかないんだけれど、
そういう母に、娘のマルチェッラは批判的。
自分がその幸せを願ってやまない娘からの批判は、
デリアには辛いことこの上ない。

* * *

そんなある日、
自分宛てに手紙が来るなんてことはないデリアに、一通の手紙が届く。

この手紙の謎は、最後の最後に明かされるんだが、
いろいろ意味深な伏線が、上手い。
(監督は、デリアを演じたパオラ・コルテッレージさん)

ひたすら娘の幸せを願い、
デリアは勇を奮って2つの行動に出るんだが、

それは観てのお楽しみ。
なんたって、
これ以上の予断はなしに観るのが一番。

少なくともワタクシは、
「そう来たか!」と膝を打ち、
快哉を叫んだのであります。

島田庵