「歴史を語り継ぐ意義と、あらたにはまり込んだ泥沼を思う」ドマーニ! 愛のことづて 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
歴史を語り継ぐ意義と、あらたにはまり込んだ泥沼を思う
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この映画が描いていることはただの昔話ではないし、えらく昔に感じる人もいるかもしれないが、現実にはそうではないんですよというメッセージは時代考証を気にすることなくジャンルレスで流れる音楽によく現れていると思う。また、かつての女性たちが勝ち取った権利の大切さと、彼女たちの歴史を語り継いでいくべきという思いもよくわかる。明るいタッチの「ジャンヌ・ディエルマン」とも言えるいい映画だった。
だが、選挙によって担保される民主主義の価値や社会の進歩みたいなことが絵に描いたモチだったのではないかとどんよりすることが多い昨今では、選挙という権利を行使するには社会的な責任や知識もセットで考えねばならないのではないか、選挙権の大切さを描くだけではもはや足りないのではないか、と頭を抱えてしまって、正直、彼女たちがつかんだ喜びが、今また別の袋小路にはまり込んでいることに暗澹としてしまった。
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