劇場公開日 2025年8月1日

美しい夏のレビュー・感想・評価

全39件中、21~39件目を表示

3.5原作と比べ、いろいろ惜しい

2025年8月4日
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鑑賞方法:映画館

チェーザレ・パヴェーゼによる原作小説は、1940年に書かれた。
映画では、1938年という設定。
場所はイタリア北西部、トリノ。イタリア第2の工業都市。

16歳のジーニアと、19歳か20歳のアメーリアの物語
と、原作ではなっているんだけれど、
映画では、
ジーニアがとうてい16歳には見えず、
下手するとアメーリアより物腰(と声)が大人っぽくて、う~む。

――そこ、いちばん肝心なところですから、
もうちょっとキャスティングを何とかしてほしかった。

あと、
いくら「1938年」と画面に表示しても、
観客は21世紀の人なので、
どうしても現代の視点が入り込むのを避けられず(コンプライアンスを含め)、
当時としては一大事だったことが理解しづらく、
制作側もそれを乗り越えたとは言いづらい。

* * *

映画を観てから原作を読んだ。
邦訳は岩波文庫にある。

イタリア語で原文を読むのはワタクシには無理なので検証はできないんだけれど、
不自然な日本語がちょいちょい気になった。が、それはさておき。

映画で違和感を感じるのはたいてい、
脚色であらたなエピソードを加えたところ。
この映画も例外ではない。

たとえばジーニアが洋裁店で才能を認められて大事な仕事を任された、
なんてくだりは原作にはない。

こういうのはだいたい、
展開にメリハリをつけてドラマチックにしようという意図なんだが、
違和感しか感じない。

また、女性の置かれている立場が、この90年近くで
(本質的に変わっていない部分はあれど)
かなり変わったことは言うまでもないだろう。

* * *

それからこの原作は、
ジーニアの視点で見えないことは書かない、ということに徹している。
つまり作者の「神の視点」は排除されている。

だから読者は、否が応でも
ジーニアと同じ立場でリアリティを感じつつ読み進まざるを得ないのだが、
映画ではそういう芸当は無理だから、その辺でのユニークさは表現し得ない。

さらには、
作者はこの小説を書く5年前「反ファシズム」のカドで3年間の流刑に処せられているので、
この作品の執筆も監視にさらされていたのは間違いないだろうから、
ファシズム批判を明確に表現することなど、たとえ思っていたとしても不可能だったはず。
(チラホラと、象徴的、比喩的に読み取れないわけではないが)
映画は、さりげないショットをいくつか入れてた。ファシスト党の黒シャツとか。でもそれ以上のツッコミはなく……

そんなあれこれをいろいろ考えると、
この小説を今、映画化する意味って、何なんだろう……

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島田庵

3.5人生の夏に

2025年8月4日
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難しい

ドキドキ

1938年のトリノが舞台。
16歳のジーニアは兄と2人で住んでいて、洋裁店で働いています。
イタリアでは若い人たちは、こんなふうに一緒に夏を過ごして知り合うんですね。
湖に飛び込んだり、夜に戸外で集まってワインを飲んだり。
ジーニアが出会う3歳年上のアメーリアは絵のモデル
をしている、という設定もまさにイタリア的。
原作は以前に読みましたが、もう一回読んでみようかと思いました。
ジーニアがアメーリアより若くは見えなかったのが、ちょっと残念。

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マリエル

2.5兄妹映画

2025年8月4日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

癒される

ドキドキ

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いぱねま

2.0不治の病

2025年8月3日
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悲しい

単純

1938年トリノを舞台に、洋裁店で働く16歳の少女の、憧れと恋愛感情をみせる話。

恋愛感情をまだ知らない主人公が、兄やその仲間と遊びに行った湖で、美人でせくしぃなオネイサンに出会いときめいちゃって巻き起こっていくストーリー。

その日はそれで終わったけれど、偶然カフェで再会し、あれ?アメーリアもジーニーが気にかかってる?

そして交流が始まって、アメーリアの住む世界にハマって行く様子とかを遠回りにみせていくけれど…作中で裸を晒すのは主人公の方っていうのはなかなかの妙ですねw

そしてこれはどうオチをつけるのか?と思っていたら、ミエミエのアメーリアよフリがまさかのそんな話し?まあ、時代背景的にはそれも有るのだろうけれどちょっとビックリ。

でも、治るか治らないかみたいなことを言っていたけれど、その時代じゃ…そこはちょっと中途半端でまあやっぱり恋愛映画という枠なんですねという感じ。

ところで、今週公開で緑の妖精ならぬ緑の悪魔の登場が入国審査に続き2作品目…ちょっと飲みたくなったw

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Bacchus

3.025-098

2025年8月3日
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イタリアの美しい建築物と
若々し登場人物たち。

若いが故に
煌びやかな世界に憧れ、
自分に無いものを欲しがり、
夢中になり過ぎて本当の自分を見失う。

若者は過ちを犯すもの。

幸せになれ、
不幸な人生なんて無意味だ。

大人たちの言葉に導かれ、
愛を知り、
少しずつ成長する。

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佐阪航

4.0間違ってレビュー消しちゃったのでまた書いてます 前半何書いたか覚え...

2025年8月2日
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間違ってレビュー消しちゃったのでまた書いてます

前半何書いたか覚えてないけど、

後半でアメーリア役の女優さんがとても良かったと書いた気がする

綺麗なだけじゃなくて、いい雰囲気があるというか、

美の影に何かある感じ

他の作品も見てみたい

映画自体のストーリーも好きでした

最近、私的にはイタリア映画がいい感じです

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jung

3.0私には良くわからない映画でした。

2025年8月2日
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鑑賞方法:映画館

原作も読了しました。もう古典と言っていい小説でしたが、よくわからず読み終えました。その勢いで映画を鑑賞しましたが、これもよくわからずです。

青春の一時期、ただ何となく生を謳歌できるような時があったような記憶がしていますが、私には50年も前のことなので、共感には至りませんでした。歳を取りすぎた証拠ですね。

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いなかびと

4.5クラシックなイタリア映画に乾杯

2025年8月2日
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驚く

ドキドキ

カワイイ

国宝もよかったけれど、こんなクラシックな映画が今のイタリアにあるとは。
自転車泥棒もあったし。
フィルムの暗い撮影と抑えた音楽効果が身にしみた。

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kubonbich

4.0盗んだチャリで走りだす

2025年8月1日
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鑑賞方法:映画館

アメリアの病気(咳き込みまくるから結核かと思った)に重ね合わせるのは流石に穿ち過ぎで下品だけれども、誰かに惚れてしまうというのは感染症みたいなもので、予防していても罹る時は罹るしそもそも誰も予防なんかしない。免疫のなさそうなジーニアなら尚更だ。人生を謳歌しているように見えるアメリアは大都会トリノの象徴のようだが、「軽薄な男達より女同士」と吐露したり、性的に奔放にふるまいながらジーニアとだけは心身の距離を取って守ろうとするのはなんと「男前」なことだろう。「ドマーニ!」でも描かれていた当時のイタリアの男社会ぶりはここでも男達の無遠慮で高圧的な態度の描写や性行為を舐めるように露骨に撮ることで浮かび上がっているのだが、この男達にアメリアほどの「おとこ気」が無いのが皮肉というか情けないというか…
直前に観た「私たちが光と想うすべて」とは都会の扱い方が正反対みたいで面白かった。

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ひろちゃんのカレシ

4.0夏で始まり、秋冬過ぎてまた夏🌻

2025年8月1日
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鑑賞方法:映画館

癒される

ドキドキ

何度も予告編を見てとても楽しみにしていたので原作も読んだ。筋らしい筋がない小説なので、どんな映画になるんだろうと思った。

映画は二人の女の子、ジーニアとアメーリアが中心。二人がダンスホールで踊る箇所と、二人が出会って二度目の夏の湖畔でハグするシーンで流れるドイツ語の歌 "Walzer fuer Niemand"(「誰の為でもないワルツ」)がいい雰囲気を映画に与えている。ただ、その歌の歌詞は寂しく孤独で悲しい。どんどん自分が消えていってしまう。視点はジーニアでもありアメーリアでもあると私は思った。アメーリアがジーニアの年齢の時に初めて経験したことをジーニアが順々に経験してゆく。煙草を吸う、都会のワクワクを経験する、アーティストの世界を垣間見る、自分のヌードを描いてもらう・・・。少しずつ大人の世界に足を踏み入れるジーニアを、アメーリアは共感と懐かしさと喪失感でいっぱいになって見つめる。二人で一人になる愛おしさを胸に抱いたのだと思う。ジーニアより経験もあり年上のアメーリアが、どうかするとジーニアに包み込まれて幸福感に満たされる顔にアメーリアの幼さと頼りなさが見えかくれした。それは、ジーニアと兄のセヴェリーノとの関係にも当てはまる。家事も収入も実家への手紙書きも妹頼り。黒シャツが沢山干されているのを見て、ジーニアはわかったろう:兄は大学の勉強もしないで、ムッソリーニに入れ込んでいる。そんな兄も、妹の成長と喪失を見守っているけれど。

年上のアメーリアは美しい。年下のジーニアはアメーリアより身長も低いし声も低い。年上設定のアメーリア役のディーヴァ・カッセルは2004年生まれ、年下のジーニア役のイーレ・ヴィアネッロは1999年生まれ。イーレ・ヴィアネッロは映画「墓泥棒と失われた女神」(ロルヴァケル監督)で初めて見て、その美しさと無垢に胸打たれた。これほど美しい顔が世の中にあるのかと思った(彼女の横顔はギリシャ型というのだろう)。

若い俳優に期待!ヴィアネッロとディーヴァ・カッセル、そしてジーニアの兄セヴェリーノを演じたニコラ・マウパ(1998年生まれ)のこれからがとても楽しみ。

おまけ
誰もいないトリノの長い長いアーケードを雨の中、二人で走るシーンが気持ちよかった。それから、女性の衣装(帽子、ワンピース、ブラウス、スカート、カーディガン、靴、下着)のデザインと色彩が役割に合っていて美しかった。原作で、ジーニアはアメーリアのことを「ストッキングも履かないで」という印象を述べていた。映画ではジーニアもストッキング履いてないじゃない!と思ったが、履いていた。モデルとして初めて描いてもらうとき、衣服を脱ぐ場面でわかった。

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talisman

3.5アブサンが飲みたくなる

2025年8月1日
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お酒やタバコ、性体験
憧れの美しい女性
少女から大人になる瞬間
美しい季節と人々の営み
忍び寄る戦争の影

ディーヴァ・カッセルが美しすぎた

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m m

4.01930年代のイタリア•トリノを舞台にした “A girl meets a girl”の物語

2025年8月1日
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2020年代の日本の都市部で生活していると、四季のうちで「美しい」という形容詞がいちばん似合わない季節は夏なのではないか、と思うようになります。ただひたすら暑く、時折り「ゲリラ豪雨」とかいう、なんの情緒もない言葉で呼ばれる土砂降りの雨がコンクリートの路面に降り注ぐ季節…… でも、時間を90年近くさかのぼり、場所をイタリアのトリノに移せば、そこには本当に「美しい夏」がありました。この作品での美しい夏の描き方にヨーロッパ映画の伝統のようなものを感じます。序盤と終盤に出てくる湖のシーンは秀逸でした。ヨーロッパの地図では比較的南に位置しているようにも見えるトリノの緯度が北海道の稚内とほぼ同じということからわかるように、全体的に緯度が高く、夏冬の日照時間の差の大きいヨーロッパでは夏は美しくなければならない季節なのかもしれません。

この物語は1938年の夏に始まり、翌1939年の夏に終わります(もっとも、翌夏の風景は主人公の見た幻かもしれませんが、それはさておき)。主人公はトリノで兄と暮らす16歳の少女ジーニア(演: イーレ•ヴィアネッロ)。服飾店でお針子しています(フィアットの企業城下町で自動車産業のイメージが強いトリノですが、そこはそれ、ファッションの都 ミラノの西100kmちょっとぐらいのところに位置する街。この作品でも服飾店でオーダーされたり、登場人物が身に着けたりするファッションが素敵でした(私は主人公の帽子に目がいったかな)。そして、主人公が仲間たちと湖畔にピクニックに出かけたときに出会うアメーリア(演: ディーヴァ•カッセル)。アメーリアは自由奔放なタイプでジーニアより3歳歳上です(という設定なのですが、演じている役者さんの年齢は逆のようです。イーレ•ヴィアネッロは20代後半の年齢で16歳の少女を演じているわけですが、作品内容からしてホンモノの十代に演じさせるにはコンプライアンス上の問題があると思われ、二人の身長差とヴィアネッロの演技力の高さを考えると彼女でよかったと思います)。アメーリアは複数の画家たちのヌード•モデルをしています。

二人は惹かれ合い、いっしょに行動したりするようになります。アメーリアに憧れたジーニアは、田舎出の純朴な少女、兄思いのいい妹、仕事熱心なお針子、といったそれまでの人生の軸を大きく方向転換し、アメーリアがその年になるまでに体験してきたことを追体験してゆくようになります。

アメーリアはノワール映画におけるファム•ファタルのような役目をこの物語で果たしてゆくわけですが、アメーリアを演じたディーヴァ•カッセルが本当に魅力的でまさにファム•ファタルの典型のようでした。ただし、ノワールのファム•ファタルがその魅力で男を破滅に追い込んでゆくのに対し、ここでは女であるジーニアが道を踏みはずしかけますが、破滅の道をたどるのは実はアメーリア自身だったということになります。

道を踏みはずしかけの妹のことをよく見守っていたのが兄のセヴェリーノ(演: ニコラ•マウパ)です。終盤にある兄と妹の会話はなかなかよかったです。妹の兄への問い「最近、物語は書いてるの?」から、私は実はこの兄というのはこの映画の原作小説の作者 チェーザレ•パヴェーゼ自身の姿が投影されているのではないかと思いました(私自身は原作小説は未読ですが)。パヴェーゼはトリノとジェノヴァの中間ぐらいに位置する田舎の出身でトリノ大学で学んでいたそうで、職を得るためファシスト党に入党したこともあったようです。ただ、彼自身はマルクス主義者だったようだし、1938年時点では既に30歳でファシスト政権によって投獄された経験もあり、その時点で黒シャツ隊の活動をしているように描かれているこの物語のセヴェリーノとは完全には一致はしていないようです。まあ、いずれにせよ、彼にしろ、画家たちにしろ、この物語に登場する男たちは親の財産を食いつぶしてゆく没落ブルジョワジーみたいに描かれています。

そして、女たちのほうは、ジーニアはアメーリアに自分の未来を見、アメーリアはジーニアに自分の過去を見ていたようなのですが、ジーニアの成長と喪失、アメーリアの病いによってその関係が変化してゆきます。

ということで、この映画、ヨーロッパ映画の伝統みたいなものを感じ、私は好きでした。ミラノの街並みに雪が降るシーンでは日本の岩井俊二の作品がちらっと頭をかすめました。繊細でセンスのある映像、絶妙な音楽の入れ方あたりに共通点がありそうです。ラウラ•ルケッティ監督は今回が初見でしたが、次の作品も観てみたいと思いました。

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Freddie3v

3.0アメーリア役の女優の演技はよかったが、映画としては退屈

2025年8月1日
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イバラニカ

3.0デーヴァ・カッセルの存在感

2025年8月1日
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16歳の少女が、年上の女性との出会いを通して、戸惑いながらも少しずつ、少女から大人になっていく過程を描いた作品。

ジーニアは、憧れの女性に近づきたい一心で、アメーリアの生き方を真似しようとする。
彼女のその自由さに惹かれ、美しさに見とれ、距離が縮まっていくたびに、心が高鳴っていく。
アーティストたちと過ごす時間、初めての恋愛、そして好奇心と不安が入り混じった初体験…
仕事に通い、どこか大人びて見えるジーニアではあるけれど、彼女はまだ16歳の設定。
夢のように見えた世界は、やがて自堕落になっていく生活や、過酷な事実を突きつけていく。

そして印象的だったのは、アメーリアを演じたモデルのデーヴァ・カッセル。
モニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルの娘の存在感ったら!
凛とした佇まいのなかに、ジーニアへの感情を通して垣間見える、心の弱さと陰り。
大胆だけど、どこか繊細で、目が離せない女性を演じてました。

若さゆえの過ちや揺れる気持ちを、まるで一冊の上質な装丁の本のように、美しく静かに描いた青春映画。

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kinako-cat

3.0Tette

2025年7月18日
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ブレミンガー

3.5本当の自分を見つけて描かれたい

2025年7月18日
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悲しい

幸せ

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カズユキ

3.5大好きだった、六十年代の欧州映画。

2025年6月9日
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イタリアの戦前の「アオハル」が瑞々しくてかわいい作品でした。成長して<ひとかわむける少女の季節>というテーマ。60-70年代くらいまでの旧き良き欧州映画の雰囲気。
少女が落ち葉のなかで指先に蝶の幼虫を這わせる、わかりやすい象徴カット。観客にむけて「易しい説明」とともに丁寧に作られた良作。

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t2law

5.0美しい感情を美しく描いた映画

2024年5月2日
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パヴェーゼの原作にインスパイアされながらも、かなりオリジナルな設定がされた作品のようだ(上映後の監督談)。1930年代のトリノのブルジョワ社会や労働環境を再現し、自然の風景も登場人物の衣装もシックで美しく目に優しい。背景の音楽も敢えてドイツ語の曲を選び主人公の内面の声を表したという(監督談)が、実際にとても効果的であった。古い時代を描きながら古さを感じさせない現代的なアプローチをしているようである。若い女性の瑞々しく痛々しい感情を美しく描いた完璧な映画である。設定を少々変えてもパヴェーゼの原作に恥じない素晴らしい映画である。

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Boncompagno da Tacaoca
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