「夏で始まり、秋冬過ぎてまた夏🌻」美しい夏 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
夏で始まり、秋冬過ぎてまた夏🌻
何度も予告編を見てとても楽しみにしていたので原作も読んだ。筋らしい筋がない小説なので、どんな映画になるんだろうと思った。
映画は二人の女の子、ジーニアとアメーリアが中心。二人がダンスホールで踊る箇所と、二人が出会って二度目の夏の湖畔でハグするシーンで流れるドイツ語の歌 "Walzer fuer Niemand"(「誰の為でもないワルツ」)がいい雰囲気を映画に与えている。ただ、その歌の歌詞は寂しく孤独で悲しい。どんどん自分が消えていってしまう。視点はジーニアでもありアメーリアでもあると私は思った。アメーリアがジーニアの年齢の時に初めて経験したことをジーニアが順々に経験してゆく。煙草を吸う、都会のワクワクを経験する、アーティストの世界を垣間見る、自分のヌードを描いてもらう・・・。少しずつ大人の世界に足を踏み入れるジーニアを、アメーリアは共感と懐かしさと喪失感でいっぱいになって見つめる。二人で一人になる愛おしさを胸に抱いたのだと思う。ジーニアより経験もあり年上のアメーリアが、どうかするとジーニアに包み込まれて幸福感に満たされる顔にアメーリアの幼さと頼りなさが見えかくれした。それは、ジーニアと兄のセヴェリーノとの関係にも当てはまる。家事も収入も実家への手紙書きも妹頼り。黒シャツが沢山干されているのを見て、ジーニアはわかったろう:兄は大学の勉強もしないで、ムッソリーニに入れ込んでいる。そんな兄も、妹の成長と喪失を見守っているけれど。
年上のアメーリアは美しい。年下のジーニアはアメーリアより身長も低いし声も低い。年上設定のアメーリア役のディーヴァ・カッセルは2004年生まれ、年下のジーニア役のイーレ・ヴィアネッロは1999年生まれ。イーレ・ヴィアネッロは映画「墓泥棒と失われた女神」(ロルヴァケル監督)で初めて見て、その美しさと無垢に胸打たれた。これほど美しい顔が世の中にあるのかと思った。
若い俳優に期待!ヴィアネッロとディーヴァ・カッセル、そしてジーニアの兄セヴェリーノを演じたニコラ・マウパ(1998年生まれ)のこれからがとても楽しみ。
おまけ
誰もいないトリノの長い長いアーケードを雨の中、二人で走るシーンが気持ちよかった。それから、女性の衣装(帽子、ワンピース、ブラウス、スカート、カーディガン、靴、下着)のデザインと色彩が役割に合っていて美しかった。原作で、ジーニアはアメーリアのことを「ストッキングも履かないで」という印象を述べていた。映画ではジーニアもストッキング履いてないじゃない!と思ったが、履いていた。モデルとして初めて描いてもらうとき、衣服を脱ぐ場面でわかった。
talismanさん 共感&コメントありがとうございます。
あの歌ドイツ語だったんですね。ちょっと意外な気もしますが、2人のシーンにぴったりの、雰囲気のあるいい曲でした。
代替品でペルノというほぼアブサンと同じ味わいのものがありますが、それでも40度あります。
私はストレート派ですが、ファウンテン等で加水したり、ペロケ等カクテルにしても良いと思いますが、結構独特の味わいなので好き嫌いが分かれるイメージです。
ということで、手を出さないのが賢明かもw
コメントありがとうございました。
あのアーケードのシーン、良かったですね。
自転車泥棒するシーン(さすがイタリア)、小雪舞う大通りを行くシーン等々、本当にセンスの良さを感じます。