劇場公開日 2024年9月13日

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「遅くはない 仕方なくもない」シサム 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0遅くはない 仕方なくもない

2024年9月19日
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 「ゴールデンカムイ」を観た方で、この映画を観ようと思った方が何人いるのか、甚だ疑問ですが、少なくとも私は、この映画を併せ観ることは、私の役割のような気がしたので、映画館へ。
 例えば、今の私達が、今のイスラエルを非難することは容易です。しかし、今のイスラエルを改めさせることは、ほぼ不可能。それは、過去の私達が……。…この先は、余りにもデリケートな話題なので、私から述べることはありません。

 「…染まったな…。」
 そうですね。確かに、今の私、何かに染まっています。ただそれが何なのか、知りたくもないし、知ったところで、今の私がどうなるものでもない。ただ、染まった私が此処にいる。それを自覚できるかどうかで、次の私が見えてくる。次の私が唱えます。
 「遅くはない、仕方なくもない…。」

 ところで、孝二郎さん、不死身のボディでもなければ、腕っぷしも強くない。機転が効くキャラでもない。お陰で、周りの方々の思いが、主人公目線のフィルター無しでダイレクトに刺さります。そんな孝二郎さんが遺そうとしたものですが、あれ、誰に、何の目的で遺そうとしたんですかね。そして、私が孝二郎さんと同じ立場になった時、私は孝二郎さんと同じことができるの?。
 劇中、シャクシャインの名が出ましたね。シャクシャインがその後、どうなったのかご存知の方なら、この後、北の大地で何が起きたか分かりますよね。このお話、楽しくもなければ、面白くもありません。では、何故、この映画は創られたのでしょうか。誰のための映画なのでしょうか?。
 いつか、後世のヒトは、多様性とか、グローバリズムとか言いながら、分断と不寛容な世界を築いた私達を非難するでしょう。確かに褒められたものではない歴史を造りました。それでも後世に、何か遺すものがあるのなら、何か伝えたいものがあるのなら…。
 本作がその一欠片になってくれることを、切に願います。
 孝二郎さんの思いが託されたこの映画、皆様はどう受けとめますか?。

 追記
 繰り返しになりますが、やはり「セディック・バレ」を、お勧めします。ちなみにセディック・バレとは、「真の人」と云う意味らしいです。併せご覧下さい。

機動戦士・チャングム