「理不尽を捩じ伏せる『命の濃さ』」サユリ ナックさんの映画レビュー(感想・評価)
理不尽を捩じ伏せる『命の濃さ』
他の方も書かれてると思いますが、この映画は前半と後半でテイストがガラリと変わる異色のジャパニーズホラー映画です。
前半はオーソドックスなジャパニーズホラーなのですが、後半から流行りの呪◯廻◯よろしく悪霊をフィジカルを駆使し祓おうとするバトル漫画的な展開に変わります。
この切り替わりがあるためにB級感やギャグ感が強くなっていくのですが、前半がそもそも主人公が家族を悪霊に惨殺される暗いパートでギャグらしいギャグ描写もほとんどないため後半の展開の切り替わりがいい意味で清涼剤となり映画全体を観やすくしています。
更に言えばただ奇をてらったりふざけたりするためにそのような展開にしているのではなくちゃんとテーマがあってこのような展開にしているのではないかと考えています。
それはこのレビューのタイトル通り理不尽を捩じ伏せる『命の濃さ』が生きていくうえでどれだけ大切なのかということです。
昨今、世界情勢は不安定で日本でも痛ましい事件が毎日のように起こっています。理不尽な災害も毎月のように起こります。今作の主人公もその例に漏れず理不尽な災害といえる悪霊に家族を奪われてしまいました。最初はその状況に塞ぎ込み、自身も悪霊に呑まれつつありました。しかし、お祖母ちゃんが覚醒し発破をかけてくれたため『命を濃く』できたため呑まれずに理不尽に立ち向かう決心をすることができました。
ただでさえ理不尽なのにこれからの世の中は更に理不尽なことが起こるかもしれません。それでも命を濃くして明るく前を向いて理不尽に負けず立ち向かっていけ!俺たちのようにという今の時代を生きる我々への力強いメッセージを今作から感じ取りました。
作品としても伏線もあらかた回収し多少の強引さはあれどコンパクトにまとまっていて観ていてスッキリします。
こんなスッキリしたホラー映画を観るのは初めてでした。
悪い点があるとしたらB級感が強いためそういうのが嫌いな人にはオススメできないことと登場人物がゲロを吐いたり下ネタを繰り返して言ったりするシーンがあるためそういうのが苦手な人にも視聴はオススメできません。
そういう万人受けはしないだろうという意味で5点をつけたいところを敢えて4.5点にさせていただきました。
ホラー好き以外の方でも上記の描写が平気な方であれば観て損はない作品だと思います。
元気溌剌!お◯◯◯まんまん!