「"進化系"じゃなく、ずっと白石晃士がやってきたこと=作家主義」サユリ とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
"進化系"じゃなく、ずっと白石晃士がやってきたこと=作家主義
原作未読ながら白石晃士監督らしい味付けで、ピッタリの題材だったと思う!しっかりと怖い前半から緊張の糸を解くような強烈キャラに笑えるポイント満載の中盤、そして楽しめるエンタメ性だけでなくヘビーな題材も扱う表現の責務と可能性をまとったドラマ性、おまけに触手も…?珍しい作りをした家の高さも活かした長回しや階段シーンに象徴される、予算に勝る演出面での独創性やバランス力。
自身の代表シリーズ『コワすぎ!』も彷彿とさせるように、ずっとキレキレな白石晃士ユニバースはここでも健在!! その後の人生に大きな影を落とすショッキングで死ぬほど苦しい出来事からも目を背けないで、きちんと尺を割いて描く。描き方・温度感は難しく、そこからの切り替え方が本作の場合、ポンポンといきすぎて軽視しているようにも見えかねず、自分的には『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』のほうがよかったが、それでも日本のNetflix作品みたいに小手先で扱っているわけではない。
例えばコーマック・マッカーシーによる原作「血と暴力の国(ノー・カントリー・フォー・オールド・メン)」をコーエン兄弟が『ノーカントリー』として映画化したように、本作もまた適材適所な必然性すら少し感じられたかも。内藤瑛亮監督による『ミスミソウ』の(舞台挨拶行った)映画化もよかったし、きちんとやれる才気煥発な監督によるところが大きいかもしれないけど、押切蓮介いいね。食って寝て、命を濃くする!元気ハツラツぅ〜?
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