劇場公開日 2024年8月23日

「人間讃歌は勇気の讃歌」サユリ つめけんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人間讃歌は勇気の讃歌

2024年8月25日
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楽しい

怖い

興奮

「祓って済ませるつもりは無ェ…!」

理不尽な幽霊の暴挙に立ち向かう話。

個人的にはずっと幽霊の理不尽さにそこそこな憤りを感じてきた方で、「呪怨」なんかを見てる時も怖いより憤りの方を感じていたレベル。 故にこういう作品はもっとあっていいと思う。我々は怪異にビビりすぎている。ただ怖がるだけのホラーも良いけど、ファイティンなホラーも良いじゃない。
人間は幽霊なんていう意味のわからん存在の、呪いなんていう曖昧なものにやられるだけの存在ではないってことを忘れてはならない。俺たちの心は幽霊なんかより強いってことを見せつけてやろうぜ!

幽霊への対抗手段が「飯を食ったり体を動かしたりして命を濃くする」なのが、単純ながら説得力があって面白い。心の強さで幽霊から身を守る感じも良い。「弱気になっちゃいけねぇ!飯を食え!体を鍛えろ!」ってね。本当にその通り。
インターネットには「幽霊とか1度死んだ雑魚に俺らが負けるわけねーだろ 死ぬような雑魚は死んでろ」っていう乱暴な名言があるけど、この考え方を忘れてはいけない。俺たちは生きている。

…と、原作時点で相当面白い話なので、下手に弄らなければ傑作になれることが約束されているようなもんで、さらに良いことに、この手の作品が十八番の白石監督がメガホンを取るというのだから、凄く楽しみにしてたんだけど、結果良かった。

原作のガチホラー→バトル の構成をしっかり引き継ぎ、怖がらせる部分はとことん怖がらせ、熱くするところはしっかり熱くできていた。

やはりこの作品の見どころは、強烈最強ババアに尽きる。ババアをどう描くかが、この映画のキモ。その点今作は最高だった。原作より視覚的に強烈な印象を残すババアを全力でぶつけられた。満足満足。「衣装協力:チャイハネ」のクレジットを見た時にどの衣装のことか一撃でわかる特徴的な色彩の衣装、丸グラサン、ファンキーな髪型、爆煙タバコ、カッコ良すぎる声。やりすぎ。素晴らしい。「婆ちゃんが助けてやる」の頼もしさが凄い。

メインヴィラン・サユリの設定が結構思いっきり変わってたので、それに伴って終盤の展開も変更になってた。これがまあ…なんと言うか、悪くはないんだけど、ちょっとくどかったかな。原作が異様にあっさりしてるからその差で余計にくどく感じる。原作のあっさりさもやや拍子抜け感あって思うところがないではないけど、あんな全開でバトルになるとは思ってなかった。特に触手ね、あれは流石にバカヤロウじゃない?やりすぎやりすぎ…。間をとったらちょうど好みな塩梅になりそう。

あと太極拳要素。原作には影も形もない完全なオリジナル成分なんだけど、これは悪くはなかったと思う。バトルで映えるからね。ただし、別にそこまで取り立てて褒めるほど良くも…ない。

つめけん