「ねじふせられる快感」ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
ねじふせられる快感
これは参った。圧倒的な論理性にねじふせられる快感を満喫できるドキュメンタリーでした。
映画が如何に長い間「男性のまなざし」によって語られ続け、それが男女の雇用格差、性暴力の容認に繋がって来たのかを多くの名作映画を例示しながら徹底的に分析します。その筆致の見事な事。カメラの視点・動き・照明の当て方・スローモーションまで男女でこんなに違うのかと驚きが続きます。これまで何となく感じていた事が映像と共に言語化されて行く過程にドキドキします。
ヒッチコック、ゴダール、デパルマ、PTアンダーソン、スパイク・リー、タランティーノらの有名作にも鋭い矛先が向けられます。また、女性監督である、キャサリン・ビグロー(女性初のアカデミー監督賞受賞)、パティ・ジェンキンス(女性ヒーロー『ワンダーウーマン』監督)、ソフィア・コッポラ(多くの女性主人公映画を制作)らの作品にも潜む「男性のまなざし」をも指摘します。それは、ブラックジャックの様なメス捌きです。
映画作りに関わる人は勿論、映画を学ぼうとする人、そして我等映画ファンは必見の一作ですが、本作で描かれた事を丸呑みするだけでなく、自分の頭で消化する事が求められるでしょう。また、本作で批判された監督らの意見・反論も聞きたいな。
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