「彼にしかできない映画」ライド・オン komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
彼にしかできない映画
クリント・イーストウッドの声を今でも山田康雄さんの声で脳内再生してしまう様に、私にとってジャッキー・チェンの声は石丸博也さん。だから今作は替版にて鑑賞。
中台統一という政治的なアピールの為か、家族の再生話まで詰め込み、ストーリーは少々強引になっているが、そこは御愛嬌。
老いを隠すことなく、笑いありアクションありとジャッキーらしい要素で楽しませてくれる。特に酔拳の特訓を娘の彼氏相手に施すシーンと、馬泥棒に来た借金取り達との大立ち回りは好きなシーン。
スタントについて、ジャッキーが口にするからこそ重みと説得力を持つセリフの数々。身一つで命懸けの演技をしてきた香港映画のスタントマン達の歴史を背負う身として、今と折り合いをつけるのは容易ではないはず。しかし、制作意欲と肉体年齢が上手く落とし所を見つけてくれた様に思える。
映画の楽しさを教てくれたのは彼の作品だった。ニューシネマパラダイス風に流れる過去の名シーンを眺めながら、不覚にもハンカチを握りしめずにはいられなかった。
コメントする