「ジャッキー映画で育った世代にはたまらない一作」ライド・オン 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
ジャッキー映画で育った世代にはたまらない一作
ジャッキー映画で育った人にとってはたまらない作品だ。と言ってもこれはアクション映画というよりヒューマンドラマと呼ぶべきか。その端々にジャッキー流の思わず微笑んでしまうコミカルな身のこなしと、主人公が長きにわたって情熱を注ぐスタントマンとしての矜恃が描かれ、さらには仕事の相棒、いやそれ以上の家族にも等しい愛馬との息の合ったコンビネーションが観客の胸を温かくさせる。たえず音楽が叙情的に高鳴り続けるなどの演出上の勿体ない点は多少あるのだけれど、時にそれらがモリコーネ風味に聴こえてくる箇所もあり、映画文化を支え続けてきたスタントマンや動物たちへの敬意を「ニュー・シネマ・パラダイス」的に表現しようとする作り手の思いに気付かされる。そして、ジャッキー映画の伝説的なアクション・フッテージをそのまま引用して主人公のキャリアの軌跡を描く趣向もまた、ファンにとってノスタルジーを誘う格別の場面となるはずである。
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